見出し画像

基本的な帰属のエラーによる判断ミスを減らしたい

はじめに

NOISEという本を読んでいます。この本は、組織がなぜ判断を誤るのか?どうすればよりよい判断をできるのか?について書かれている本です。著者の一人は、人間の直感による判断の仕組みを書いた名著「ファスト&スロー」の著者ダニエル・カーネマンです。
本の中で「基本的な帰属のエラー」という言葉に出会いました。これは判断を誤る理由の一つです。身の回りの事例を見ながら、どのようにして判断のミスを減らすかを整理してみます。

基本的な帰属のエラーとはバイアスの一種

想定外の結果が発生した時に偶然や客観的な状況の要素を軽視して、行動の当事者に原因を求めたがる傾向を指すようです。心理学における帰属バイアスの一種であり、根本的な帰属の誤りなど別の呼び方もあるそうです。基本的な帰属のエラーがなぜ起きるのかを説明する定説は存在しないとされています。

基本的な帰属のエラーが強く現れる人は、意思のみが結果を左右するという信念を持っている

まず大前提として、こういう特徴を持つ人と持たない人に分類したいわけではありません。誰しもこのような性質は持っているはずで、ただ特性が強く現れる人とそうでない人がいるなと思っていて、その違いについて考えています。

悪い結果は他人の悪意によると思っている

なにか悪い結果が起きた時に「行動の当事者が悪意を持って(あるいは怠惰の結果)起きてしまった」という結論に行き着くことが多いように見えます。

もちろん行動の当事者が悪意を持っているケースもありますが、悪い結果になる原因はそれだけではありません。自分が見えていなかった状況によって悪い結果になったことは十分に有りえます。行動の当事者の判断と自分に見えていない状況は等しく疑うべきですが、そうならず視野狭窄になっている印象を受けます。

自分の行動はもっと評価されるべきと不満を持っている

自分の行動の結果よい結果が起きたときは、自分が評価されるべきであるという信念を持っているように見えます。

悪い結果の反対に、自分が見えていなかった状況によって良い結果になったことは十分にありえます。思ったように評価されていないため、なぜ評価されないのかという不満を持ちやすい印象を受けます。


まとめると、結果は行動の当事者の意思と強く結びついているという信念を持っています。それだけなら大きな問題はないのですが、自分はすべてのことが見えていると思ってしまうと、他社の失敗や自分の成功をに過剰な評価をしてしまう傾向がありそうです。

繰り返しになりますが、基本的な帰属のエラーを持つ人と持たない人に分けたいということではありません。基本的な帰属のエラーという要素を聞いた時に、そのような要素を持つ人で自分の周りにいる人を探してみたらこんな特徴があるなというものをまとめてみたものです。

基本的な帰属のエラーによる誤りの影響を低減するには

基本的な帰属のエラーは判断を誤る一つの理由になります。なぜなら「見えている範囲・自分が理解できる範囲に(こじつけでも)要因を作ってしまう」ということです。逆に言えば「見えていない範囲に要因がある」という可能性を潰してしまうことでもあります。

そういった判断の誤りを避けるために私が気をつけていることは3つあります。

  • できる限り客観的に評価できる事実を集めること

  • 事実を元に考察できる選択肢を持つこと

  • 選択肢の最後には「思いつかない原因である」という選択肢を入れること

人間の見える範囲には限界があるからこそ、なるべく多くの情報を集めてそれらの事実が成り立つ理由を考え、しかし自分がすべての事実を見れているわけではないということも忘れないようにする必要があるのでしょう。

この記事が参加している募集

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?