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木村龍のお誕生日を短歌で祝ったよ2024備忘録

 5月5日は『アイドルマスターSideM』に登場するアイドル『木村龍』のお誕生日です。
 彼の所属するアイドルユニット『FRAME』は私の担当ユニットなので、ぜひとも何かしらのお祝いをしたい。
 というわけで、木村龍を短歌でお祝いしました。以下の二首です。

「傷を知ってたぶんよかった」の「たぶん」を君ごと抱き締められたらいい

炎へと飛び込んでいく君の背に確かな援護放水がある

 このnoteでは、この二首の短歌について、作者がどのような流れで詠んだのかをふわっとした感じで書いていきます。大事なことなので二回言いますが、ふわっとしてます。

 少し話がそれますが、2024年5月現在、Discordのサーバー『SideM短歌』におきまして、アイドルのお誕生日お祝い企画を随時開催しております。
 もしサーバーに参加したい、SideM短歌を詠む・読む場がほしいという方がおられましたら、このnoteを書いた人間にTwitter上で一声おかけいただければ幸いです(@wasaoct222)。
 サーバーに入ったとしても必ず企画に参加しなければならない訳ではありませんので、お気軽にどうぞ。

 本題に戻ります。
 木村龍お祝い短歌を作るにあたり、まずはとっかかりとなる単語をメモアプリに書き出しました。
 (私の場合、メモ書きから作歌本番まで、全てGoogleドキュメント上で完結させています。横書きになってしまうので、他のメモアプリ等も検討すべきかなとは思っています)
 とりあえず書き出したものはこんな感じです。

木村龍の短歌を詠むにあたってのワードメモ(スクショ切り抜き)

不幸ではなく不運


火、炎、焔

消火
オレンジ
絆創膏
という単語群を思い付くままに書き出しました。
 ここからどのように短歌の形にしていこうか……と考えてみますが、ピンとくるようなひとかたまりのフレーズが浮かばず、正直この時点でちょっと困っています。
 しかし、とりあえず57577の形に当てはめていかないと(私の場合)一歩も進めなくなってしまうので、とにかく作ります。
 ウンウンうなりながら単語を当てはめようとした流れがこちらの画像です。

とにかく詠んでみたもの。下の句が最後まで入っていないものもある。(スクショ切り抜き)

ほっぺたに貼る絆創膏 描かれた特大笑顔は君と同じの

滝登り以上の試練乗り越えてきた君は正に龍なのだろう

 とりあえず音に当てはめてみたものの、やはりもうちょっとひねりが欲しい。短歌初心者だとしても二回転くらいは跳びたいというのが人情というもの。

 というわけで、もうちょっと悩みます。
 「絆創膏」と「鯉・龍」の単語からはこれ以上ひねれなさそうな予感がしたので、別のところから攻めようと思いました。
 どうしようかな……と悩む中で、ふと思い出したのはこちらのサイスタのLINK画面でした。

サイスタLINKの、木村龍のホーム画面。ヘッダーが寄せ書きの写真になっている。(スクショ画面)

 木村龍のホーム画面のヘッダーは、木村龍宛の寄せ書きの写真になっていました。ゲーム内では特に言及がなかったように思いますが、おそらく前職の消防士仲間から贈られたものなのでしょう。
 このヘッダーが出る前までは、世間から非難を受けて消防士を辞めざるを得なかった木村龍のことを、同僚達がどう思っていたのかを知る機会はなかったと記憶しています。
 でもやっぱり、木村龍はずっと木村龍だったんだと思います。今私たちが知るような、一生懸命で真っ直ぐで真面目でツイてなくてそれでも前を向く木村龍を、消防士の同僚達はちゃんと見てくれていたんです。だから、アイドルになる木村龍に、こんな寄せ書きを贈ってくれたんだと思います。
 この同僚達からの激励を短歌にしたい。そう思ったら、すぐに言葉が浮かびました。びっくりするくらい、するするっと出てきました。

メモアプリにはこの一行だけが残っている。

炎へと飛び込んでいく君の背に確かな援護放水がある

 「炎へと飛び込んでいく君の背」=アイドルという厳しい世界に飛び込む木村龍。
 「確かな援護放水がある」=一緒に炎(アイドル界)に飛び込むことはできないけど、少しでもその厳しさ・辛さから身を守れるように、励ましてやれるように、前職の同僚達が後ろから声援を送っている。
 そんな意味をこめて短歌にしました。「炎」「水」という最初に挙げていた単語も組み込んでいます。
 「援護放水」というのは造語です。「援護射撃」から連想したような気がします。言わんとする意味は伝わるだろうと思ったのでそのま使いました。消火用ホースの水圧を人に当てたらたぶん吹っ飛ぶと思うのでみんなは真似しちゃダメです。
 また、水をかぶって炎の中に飛び込んでいくという描写はおそらくフィクションの中にしかない(少なくとも消防士はしない)ものと思われますが、例えの話なのでまあいっか!と開き直りました。木村龍、現場では無茶なことをしないのを叩き込まれていそう(無茶なことをしそうなので)。

 さて、これで一首できました。
 でももう一首くらい作りたいな……。去年は五首も詠んだからな……。

2023年の木村龍お祝い短歌。

 というわけで、もうちっとだけ粘るんじゃ。
 残った単語から考えようにも、使えそうなのは「オレンジ」くらいしか残っていません。なので、完全に別のものを持ってくることにしました。
 そう、困ったときのソロ曲頼み。
 曲の歌詞って作詞家の方が要素を抽出して言葉に落とし込んでくださってるものなので、そこから言葉を拝借するのってあんまりよくないよなあ……と思いつつ、ついやってしまいます。今回は時間もなかったのでどうか許してつかあさい。

 さて、せっかくなら新しいソロ曲を題材に考えたいので『SPARKLE SIGN』を採用。歌詞の中で、自分の感情がぐわっと揺さぶられるところってどこだったかなと思い出します。

 私が注目したのは、「傷を知ってたぶんよかった」の部分でした。
 この中の「たぶん」という言葉、木村龍の葛藤を的確に表していて、すごいなと思います。
 この後に「涙にほら寄り添えるから」と続くので、「自分が辛い目にあった分、人の苦しみも分かってあげられるから、辛いことも経験してよかったんだ」という歌詞なのだと思いますが、「たぶん」が入ることにより、手放しで「よかった」と言えない木村龍の苦い思いも伝わってきます。
 辛いことなんて経験しないほうがいいことくらい木村龍も分かっていて、本人も経験したくてしたわけではない。それでも、その辛さを知った自分だから、人の苦しみに寄り添ってあげられる。だからこれでよかったんだ。
 木村龍はそうやって笑うんだろうなと考えたらめちゃくちゃ泣けてきました(今もちょっと涙腺が怪しい)。
 よし、この気持ちを短歌にしよう。

短歌の形にしていく過程。上二つは途中で没にしている。

 最初と二つ目の案では「本来傷は知らなくていいもの」ということを言いたすぎてそのまま短歌に入れてしまっています。それはわざわざ言わなくても前提としてあることなので、削ります。
 最後の案では「たぶん」に注目したということをそのまま入れ、その「たぶん」に込められた木村龍の気持ちを想像して「抱き締めてやりたい」と思った、ということを書きました。
 「抱き締められたらいい」の部分はかなり悩んだところで、最初は「抱き締/めたくて○○○」「抱き締/めたい○○○○」等、締めをどうするか考えていたのですが最終的にシンプルな感じになりました。

「傷を知ってたぶんよかった」の「たぶん」を君ごと抱き締められたらいい

 初句の「傷を知って」は字余りですが、ここは歌詞をそのまま引用したかったので変形させていません。
 反省点としては、全体的にもうちょっとリズム良く読める短歌になったらもっとよかったなと思います。今後の課題ということで。

 これで、二首完成しました。

今回詠んだ二首。(SS名刺メーカー様にて画像作成)

 振り返りというか備忘録のようなものは以上です。
 自分でもなかなか言語化が難しい部分があり、途中よく分からない記述になってしまっていたかもしれません。すみません。
 また別の短歌でも記録をつけられたらいいなと思っています。
 ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

たこわさ子

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