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図鑑の魅力、図鑑絵の面白さ【美の壺「未知への扉 図鑑」を観て】

こんにちは、NHK Eテレを日々の癒しにしているわさまいです。
NHKの番組『美の壺』の「未知への扉 図鑑」が面白かったので、感想を書いていきたいと思います。 

美の壺「未知への扉 図鑑」 <File482>

今、空前の図鑑ブーム! 1800冊集めた“図鑑コレクター”のイチオシの図鑑とは? 図鑑の原点の原画公開! どこまでも細密に、どこまでも美しく。「ボタニカルアート」の制作に密着! 解剖学者の養老孟司さんが、少年時代夢中になったドイツの昆虫図鑑。 虫の命を未来に届ける「サイエンティフィック イラストレーション」とは? 図鑑ブームの火付け役となった出版社の、図鑑開発現場に迫る! 


図鑑の魅力

一番に思ったのは、図鑑は世界の広さを感じ、知るきっかけになっているということ。

自分が普段生活しているだけでは知り得ないことや、反対に毎日見かけるようなものの新たな一面など、自分に多くの出会いをもたらしてくれることが図鑑の魅力だと感じました。

雑草図鑑を見れば、雑草という言葉で今までひとくくりにしていた植物の小さな花の美しさに気づける。

街角図鑑を見れば、電柱の上部にたくさん付いているあの機械が何なのかが分かる。

何のためにこれがここにあるのか
これにはどういう意味が込められているのか

ひとつひとつの意味や背景が分かれば、見慣れているものでも違う見方ができて、新鮮な毎日を過ごせそうです。

私にとって、気づきを得た瞬間は何とも言えない嬉しさがあります。「ここにこんなものがあったんだ」「いつも見かける謎のあれにはこんな意味が!」毎日が気づきの連続なら、きっと楽しい!私もそんな日々を送りたいなぁ…


図鑑絵  ボタニカルアート

ボタニカル - アート 【botanical art】
植物細密画。草花を科学的に精確に描出する。
                                                     ー デジタル大辞泉 

植物図鑑の挿絵に使われている絵のことです。そのため、美しさに加えて科学的な描写が必要になります。

ボタニカルアーティストの杉崎夫妻は、制作において、実寸でスケッチし、構造を正確に描くことが大事だと仰っていました。

さくらんぼを描く制作では、全体のラフスケッチをする前に、さくらんぼ一粒の寸法、構造、模様 、断面などを細かく描きます。

その様子は絵を描いているというより、さながら設計図を書いているように感じました。

さらに、色塗りではさくらんぼ一粒に1日、一枝塗り終わるのに3週間かかるそうです。その理由は、最終的に見えなくなったとしても、一粒一粒細かい模様まで描いているから。さくらんぼの植物としての特徴を忠実に表現しているのです。

色を表面的に塗るのではなく、模様から描いて色を重ねていく姿に、「この人にはここまで見えているのか!」と衝撃を受けました。

美術の先生が、人物を描くときに服の下でも骨→肉→服の順番で描くようにと言っていたことを思い出し、さくらんぼの描き方と重なって見えました。どちらにおいても、構造を理解して描く、本質を見て描くことが重要だと感じます。

図鑑の挿絵として植物学的な機能を描写しつつ、美しいアートでもある。ボタニカルアートのそんな立ち位置がとても面白く感じました。


写真よりも「リアル」
サイエンティフィックイラストレーション

サイエンティフィックイラストレーションでは、芸術的な美しさよりも、科学的に精確であるかが追求されます。写真よりもリアルさを感じる作品たちは、美しさを意図していなくても科学的な美を感じます。

以前、透明標本(生き物の体が透けて骨まで見える標本)を見に行ったのですが、サイエンティフィックイラストレーションの美しさはそれと同じベクトル。人の表現物としてではなく、生物自体の造形に美しさを感じました。

サイエンティフィックイラストレーターの木村政司さんは、標本は命を奪った形であり、その生物の生きていた姿を生き生きと表現するのが、写真家やイラストレーターの使命だと語ります。

科学的な資料として記録したいのなら、写真の方がいいのでは?始めはそう思っていましたが、話を聴いて、写真が写すものが全てではないと気づきました。写真で見るよりも実際に見る方が圧倒的に綺麗に感じるように、サイエンティフィックイラストレーションでは人の目を通して表現することが大事なんだなと思いました!


ここまで、ご覧いただきありがとうございました!
特に、芸術性と科学性を兼ね備えた図鑑絵は興味深かったです。
家に眠っている図鑑が結構あるので、今度眺めてみようかな…

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