辞めることを辞める事

たくさん悩んで考えて出した結論。

決定したことを覆すなんてはずかしくて情けないことだと思っていた。いや確かにその通りだ。でも、時として、辞めると決めたことを辞めたっていいじゃない。


【ピアノを辞める】

好きで始めたピアノだけれど
自閉症スペクトラムの特性を持つ息子は
練習中に決まって癇癪を起こし
私の方が限界だった。

3年続けてそこそこ弾けるようになったし、もういいだろう。
これ以上難しくなったら、本当に癇癪とイライラしかないのではないか。
いっそのこと辞めたほうが、息子や自分は幸せな時間を過ごせるのではないか。

以前からよぎっていた「辞める」という選択肢。
決して思い付きではない。
辞めようと決めて、先生にも年内で辞める事を伝えた。

でも、辞める事を伝えた後、
本当にこれでよかったのか、
辞める他に選択肢はなかったのか、
そもそも息子の気持ちをしっかり聞いてなかったこと、
練習中に癇癪は起こすが、弾けるととてもうれしそうにしていたこと、
情けない話、辞めると伝えるまでは考えが及ばなかった。
悩んでいるということは、視野が狭くなっているからだ。

もやもやな気持ちを抱えながらも、
辞めると伝えた後でやっぱり辞めないなんてことは言えない。

なぜなら、いい歳した大人だから。

そんな子どもみたいなことはできない。

最終レッスンの日。
少し早くいって外からガラス越しに見学した。

今まで夕方は忙しくて、しっかり見てこなかった息子の練習風景。

特性を持つ息子にとって
ピアノ教室は、唯一一人で行ける場所だった。
その場所を、私が奪ってしまったのではないか・・

息子に対しての申し訳なさで、感情があふれてしまった。

そして先生にありのままを伝えた。
大人になって人前で涙するなんて初めてかもしれない。

いい歳した大人だって、その時にならないとわからないことがある。
わからないというのは、その時にどういう感情になるのかが想像できないこと。

状況が大変であればあるほど、目の前の現実、対処に追われていて、先のことを想像するのは難しい。自分の感情は後回しになりがちだ。

辞めると決めたことだって、
いざその時になって辞めたくないと思ったら、
辞める事を辞めたっていい。

よく、辞めるのは簡単、続けるほうが難しいというが、
辞めるのは本当に簡単だ。
おそらくみんな頭ではわかっている。

理性的に、合理的に考えて、
こうすべき、こうあるべき。
そうやってしっかりと下した決断でも、
その時にならないと自分がどういう感情になるかわからないことがある。

もし、想定していたものと違う感情が沸き上がったのなら
それは大切にしてほしい。

一度決めたことを覆すのはバツが悪いかもしれないが、それは自分で受け入れてその後の行いは自分で変えていくことができる。

辞めることを辞めたあとは、新たな気持ちで再出発が送れるはずだ。

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