『OCTOPATH TRAVELER』 世界を救いに行かないRPG
今年の7月13日で発売2周年なんですね。
発売当時はいろんな人が話題にあげていて、そんなに面白いのか?と思っていました。
僕はターン制バトルがあまり好きではなくドラクエやFF、ポケモンなどには触れず、テイルズシリーズのようなゲームばかりやっていたので、当然のことながらターン制という点で最初は買わなかったです。
ですが、最近急にRPGがやりたくなったタイミングで試しにプレイしてみたらめちゃくちゃ面白かったです。
ストーリ、音楽、独特で綺麗な2Dグラフィック、ネックだった戦闘のどれもが満足でした。
中でもストーリーが個人的に興味深かったので感想を書こうと思います。
このゲームのキャッチコピーは「旅立とう。きみだけの物語へー」ですが、ここで言う「きみ」はプレイヤーだけでなく8人の主人公でもあると思います。
主人公たちはそれぞれに目的があり、世界中を旅しながらそれを達成していきます。これはパーティを組んで進むRPGなら普通にあることです。こうしたRPGはキャラクターごとに独立した目的がありつつ、最後は1つの目標、例えばラスボスを倒して世界を救うみたいなものがあります。
ここで不思議なのはオクトパストラベラーは全員に共通する目的が無いことです。
ストーリーは一貫してそれぞれの主人公だけの物語になっていて、途中で他のキャラクターと関わることがありません。一応酒場での交流は描かれますが、ストーリー本編では出てこないですし、基本一人で乗り越えたように描かれます。このゲームはこうしたストーリーの構造上、キャラクター全員を仲間にしなくても進められるようになっています。なので一応パーティに仲間はいるけどストーリーは操作キャラクターだけで進んでいきます。
ですが、ただ8個のストーリーを寄せ集めただけかというとそうではなくで、ちゃんと背後に繋がりがあります。表向きはキャラクターそれぞれの目標、師匠探し、秘宝探し、旅、復讐などを進めていきますが、途中に出てくる組織やエネミー、重要人物がストーリーを横断して関わってきます。
そして8個のストーリーをやり終えると、水面下で進んでいた計画が頓挫し、いつの間にか世界を救っていたということがわかります。
蝶が羽ばたくと嵐が起こるみたいな感じですかね。
実際は特定のサブストーリーをクリアし、隠しボスのところまで行くとまだ世界の危機は残っていたことがわかるので万事解決していたわけでは無いですが。
なのでこのnoteのタイトルも若干ズレているとも言える。
この隠しボスのいるフェニスの門はメインストーリーに残された謎の解説も兼ねていて、ゲームの世界のより詳しい状況を知ることができる。
逆に本編は可能な限り、主人公たちのストーリーに集中させたかったってことかな。
そして隠しボスのところで主人公は誰一人として言葉を発しなかった。どのキャラクターにも関わる重要な要素がいろいろありましたが、完全に無言。本編の方でもそうだけど、プレイヤーによって誰を最初の操作キャラにして、どの順番で攻略していくかが自由である辺り、プレイヤーが細かい部分の会話やキャラクターの反応なんかを想像しながら進められる余白になっているのかもしれない。
そう考えると、キャッチコピー通りプレイヤー毎に体験が変わるんだろうと思う。
程よく余白があって、ただストーリーを追うだけでも楽しめるってすごく良いですね。無限に楽しめる。
サブストーリーのキャラクターも印象深いというか、それぞれにちゃんと人生があって、街を跨いで繋がりのある人たちもいたりするというのがリアル。そもそも唯一強制で発生するサブストーリーはチュートリアル兼隠しボスへの伏線であり、しかも主人公たちとも見えないところで関わりがあるというのは、まさかお前が、という感じで驚きました。
個人的にはとても新鮮な印象だったけど、他にもこういった方法を使っているものはあるんだろうか。
知っている感じなのに、ちゃんとアップデートされて新鮮なところが多い良いゲームでした。
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