価格交渉

商売の基本は安く仕入れて高く売ると言われていた。
大阪では値切ってなんぼだと言われた。
そうだ。20年前ある建材メーカーで働いていた時、日本全国で一番手ごわいお客さんは大阪人だと言っていた。そのメーカーは大阪に本社あった。

フリーマーケットや市場では値引き交渉が楽しみ。みたいな風潮は今でもあるのかな。

自分も商売するようになって、値引き交渉ってダサいなと思うようになり、年々その思いは強い。

でも、交渉の持って行き方ってあると思うし、交渉もコミュニケーションだから楽しければ歓迎派である。”楽しければ”である。

商売の基本は安く仕入れて高く売るだけど、win-winじゃなきゃだめだと思う。相手にとって値引きを受け入れてもらうだけのメリットをこちらがどれだけ提供できるのか。沢山買えるのか、長く取引できるのか、相手の宣伝ができるのか、交渉の時間で自分がどれだけ相手を楽しませられるか。交渉を申し出るなら、相手にとってのメリットをできるだけ沢山用意して臨みたいものだ。

ずいぶん昔の職場で、電話で価格を問い合わせた二言目に
「お値引きできますか?」と言い放った人がいた。
先方は少し値引きしてくれたのだが、納品の成果が良くなかった。
ただただ値段下げさせたことが納品の結果なのでは?と私は意見したが、周りの同僚はそうは思わないと言う。この値段で引き受けると言ったのだから責任を持つべきだと。彼らの言うことはわからなくもないけど、やっぱり私は相手の状況を考えずに自分たちだけの都合で価格を下げたことがまずかったと今でもたまに思い出す。

価格の設定は、どんな商売でも闇雲に利益を貪っているわけではないはず。自分たちが商売を継続していくために必要な利益と競合する価格帯とを天秤にかけながら提示価格の着地点を見定めている。高いと思うなら買わなきゃいいだけのこと。店側はこの価格を理解して買ってくれる人に誠心誠意尽くしたいと思う。だから何も考えずに値引きしろと言ってくる人に費やす時間なんかない。

お客様は神様じゃない。その人が欲しいものを店は等価で提供しているに過ぎない。対等な関係だ。会社だって労働者と雇用主は労働力を等価で交換している対等な立場。目線揃えて価格交渉は楽しく行きたいものだ。


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