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生きた証を刻む。映画「あんのこと」

想いを綴る#001

映画「あんのこと」を観た。前々から気になっていた実話に基づく映画だ。幼いころから壮絶な人生を背負ってきた少女あん。一人の刑事との出会いで自分を、そして他人を「信じること」を覚えた矢先に、コロナ禍に飲み込まれ、仕事も居場所も奪われる。再び人生を狂わされたあんの前から、ようやく灯った希望の光がまた閉ざされてしまうのだ。

なんという切ない終わりなのか。劇場にいた2時間、心が疼きっぱなしだった。「あなたは何も悪くない」と何度、心の中で叫んだことだろう。社会の不条理を一手に引き被って、受けなくてもいい罰を受け続ける、それを理不尽な罰とも知らずに。多分、いや、きっと、あんのような子どもは山ほどいるに違いない。社会の陰に隠れて見過ごされているだけなのだ。

どうすればいいのか、私に何ができるのか。社会の多くの人と同じように、見て見ぬふりをしてきた私。重い現実を突きつけられ、息苦しい。痛々しい姿を見るのがつらくて、逃げ出したくなる。

普段、私が関わっている施設の子どもたちも、そんな現実を生き抜いてきたのだろうか。私はあの子たちのことを何も知らない。何を背負って施設にたどり着いたのか、ボランティアが子どもたち一人ひとりの背景を聞く機会はない。これは施設と交わした取り決めだ。あの子たちも、あんのように壮絶な虐待を潜り抜けてきたのだろうか。

あん、映画になって多くの人に語り掛けてくれて、本当にありがとう。あなたの生きた証が、多くの人の心に響きますように。まずは、この思いを伝えることから始めよう。

#あんのこと #虐待 #生きた証

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