田代雅也という男

各地で波乱が起きたJ1第15節。
世間的には川崎の大敗が注目されているが私は鹿島対鳥栖に目を向けたい。というのも観戦していたこともあって、一人の選手に目に入ったからだ。鳥栖側からすると3−0から、3−4にされ、試合をひっくり返されそうになった中ラストワンプレーでゴールを生んだ。
その殊勲の同点ゴールを挙げた選手が田代雅也である。

鹿島と鳥栖に縁のある選手として、鹿島の樋口、鳥栖の小泉・ファンソッコがいて活躍していたが、中でもヒーローは田代であった。

背番号30は控え選手、少なくとも重要ではない選手を思わせ、大柄で首が長く頭がやや前傾(ストレートネック?)しているのが肩幅の広さを強調し、頼もしさを感じさせる。
また、修行僧のように刈上げた頭は吉田豊に似ているのがなんともいい。かつて鳥栖にいた明るいキャラクターの守備職人を思わせる。

ヘディングマシーン田代

この試合は特にヘディングがよかった。自身もサッカーをやっているのでわかるが制空権を持っている選手がたまにいる。ロングボールに競りに行っても取れないだろうな、と思わせる選手である。田代がそれだ。落下地点の予測がよく、まずボールが落ちてくる場所を確保するのがうまい。そして飛ぶタイミングがよく跳躍力が高いのでボールが超えそうで超えにくい。鹿島の選手を寄せ付けず、ロングボール・クロス・コーナーキックと空中にある全てのボールを跳ね返し続けていた。特に鹿島のコーナーキックはチャンスになるかどうかはボールが田代を超えるかどうかという印象すらあった。

世界的名将ユルゲン・クロップはロングボールで競り勝てることを前提に守備の設計をするそうだ。かつて率いたドルトムントでも強靭なフンメルス・スボティッチのコンビを好み、リバプールでも長身のファンダイク・マティプ・コナテからコンビを組んでいることからそれがわかる。田代もまさしくそんなタイプではないだろうか。
ひたすらエアバトルに徹し、ボールを遠くに跳ね返し続けることができる。そんな仕事ができるタイプである。

不祥事の過去

田代についてはまずサラッとこれを読んでもらいたい。

2016年より、FC岐阜へ加入。(中略)3月26日怪我を負い戦列を離脱し(中略)6月に復帰後は、レギュラーセンターバックとして出場を続け、J2残留に貢献した。
2017年3月27日未明に石川県小松市において飲酒運転による自損事故を起こしたとして、同月31日付けで岐阜との契約が解除された。岐阜との契約解除後は地元・埼玉に戻って工事現場などのアルバイトをしながら、社会人のサッカーの試合に参加していた。
2018年2月16日、J2に復帰した栃木SCに新加入することが決まった。https://ja.wikipedia.org/wiki/田代雅也

そしてこれが時系列に並べたものである。

ここで考えさせられることがある。愛されることとは何か、ということだ。地域に愛され、応援される選手とそうじゃない選手の差は何か。それはサッカーができる素直な喜び謙虚な心、そして周りへの感謝だと思う。田代のコメントにはそれが溢れている。

菊池の存在

鳥栖には巧みな守備とクレバーなプレーで鳴らした菊池直哉コーチがいる。
彼も不祥事の経緯をもつがJリーグに復帰し長くサッカーを続けた。
彼の元で学び、さらに名を轟かせてほしい。

(菊地直哉コーチのプレー集はこれしかない・・・)

終わりに

鹿島戦の活躍か、以前はすぐ上がってきた不祥事の過去のニュースは探さないといけなくなってしまっていた。29歳と若さ全振りの昨今のサッカー界においては若くないが、日本代表になることや海外のリーグを目指すことだけがサッカー選手の本懐ではない。この先新たな何かを求めて移籍するかもしれないが、チームのために戦えてどこに行ってもサポーターから愛される田代をこれからも見ていたい。







本当の終わりに

動画の00:00:32あたりを見るとわかるが鹿島戦の二点目の方は田代ではなく藤田のゴールでは?

スクリーンショット 2022-05-28 13.44.09

VARすべきでしたね(大きな小言)と思ったが、誰の得点かというのはVARの介入要件ではないらしい。


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