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(58)「いじめ」という呼称は優しすぎる。

 昔は単に「夫婦喧嘩」で片付けられたことが、一方的かつ過剰であれば「家庭内暴力」「DV」と呼ばれるようになった。
 昔、私の実父(故人)が実母に振るっていたのは近所中に響き渡る怒声と暴力。今であれば、警察を呼ばれるレベル。
 それが昔は、
「またあそこの旦那さんは・・」
で済まされていたんだろうな。
 振り返れば、あれは間違いなくDVだった。 
 今では呼び方が変わり、犯罪だと認識されている。 
 
 例えば「万引き」という呼称も何処かに甘さがある。ちょっと、イタズラの延長的な。 
 立派な「窃盗」なのに。
「万引き」だと、謝れば初犯なら許してもらえるんじゃないか、とか子どもなら見逃してもらえるんじゃないかって響きがある。
 お店は被害を被るのに。
「万引き」の呼称を廃止して「窃盗」でいいと思う。 
 
「いじめ」もさ。解決は当事者同士か、学校内で済ませてしまおうって雰囲気がある。
「校内暴力」「誹謗、中傷」「名誉毀損」とか呼んでいいんじゃないか。
 もうそれは立派な犯罪で、警察呼ばれるレベルですよって教育した方が被害者が減るんじゃないか。
 なんで「学校内ならいじめで済まされる」んだよ。
 被害者が学校に行けない位傷ついているのに、加害者側は「いじめ」とすら認識しないで「いじり」とか言い張る。 
 子どもにだって人権はありますよと教育しながら、子どもだから刑罰は免れるっていうのは矛盾してないか。 
 
 ・・・って偉そうに、今は言うけれど。

 娘は今は成人しているが、中学には一年しか通ってない。思い出すのが、すごく辛いけど、ちょっとしたいじめというか、揶揄われていたというか、変なあだ名をつけられていた。それを担任から聞いたことがあった。 
 
 あの時私は、相手ととことん戦うことが出来なかった。
 事態に戸惑って、自分だけの腹に収めてしまった。旦那にも言わなかった。
 どうしてあの時、旦那に相談して、弁護士でも雇って、とことん戦ってやれなかったんだろう。どうしたらいいか分からなかった。誰にも言えなかった。
 
 娘はどう思っただろう。母親が、自分の為に反撃してくれなかったことを、今でも恨んでいるんだろうか。
 そしてあの時娘に酷いあだ名をつけた子どもは、今はどこかで社会人として働いているんだろうか。 
 
 そのことがあったから、私は高校で娘が嫌な経験をした時は、担任に電話をかけて抗議した。内容は詳しく書けないけど、
「これが会社ならセクハラですよね!?」
とギャンギャン電話口で抗議した。担任には厄介な母親だと思われただろう。 
 
 中学の時に戦ってやれなかったから、担任に嫌われても面倒だと思われても、娘に対して自分は味方だとアピールしたかった。 
 それを本当は、中学の時にしてやりたかった。 
 
 (話が自分のことになってしまった) 
 
 言いたいのは表題の通りで、「いじめ」って言葉は軽いよなって。
 そんなの、いじめた側も「俺もガキだったからさー」で済ませてしまいそうで。「いじめ」という言葉遣いをやめて、犯罪行為として定義して欲しい。
 そんなことを思いました。
 
 

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