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人にやさしく、自分につよく。

去年の1月、クールヘッドの新たな「理念」と「行動指針」ができました。「理念」も「行動指針」も、やわらかい言葉でさらっと書いてありますが、いざ実践してみようとすると、かなり難しいものです。
特に、行動指針『やさしく、つよく、冷静に。そして、あたたかく。』の、「やさしく、つよく」の部分は、凄くバランスが難しいと思います。

この行動指針の中で謳われている「やさしく」は他者に対してのやさしさ、「つよく」は自分に対しての強さです。確かに、いつもキリっとしていて約束を守ってくれるけど、周りにそれを強要せず寛容な人は、みんなから信頼され、「人格者」なんて呼ばれたりもします。でも、この「やさしさ」と「つよさ」のバランスが悪く、周囲へのやさしさと自分へのつよさが過剰になってしまうとどうでしょうか。たとえば、周りに気を遣いすぎてしまい、サービス残業をしたり、自分の体力を明らかに上回る量の仕事をこなしたりすれば、体調を崩してしまいます。


先日、医師の稲葉俊郎先生の著書『学びのきほん からだとこころの健康学』を読みました。この本では、「あたま」と「からだ・こころ」の関係について書かれています。稲葉先生によると、「からだ」と「こころ」はさまざまな刺激に対して素直な反応をする一方、「あたま」は“〜しなければならない”と強制的な表現で無理をする働きをします。「からだ」や「こころ」がS O Sを発しても、「あたま」がそのS O Sをシャットアウトしたり、間違った受け取り方をしたりすることもあるそうです。

また、「あたま」が生み出した強制的な言葉に従っていると、自分の中に湧き上がる「こころ」や「からだ」のS O Sを押し殺してしまい、それが心身の不調に繋がることもあるとも書かれています。先ほど例に出した、サービス残業や過労で体調を崩すというのも、「あたま」が「からだ」や「こころ」のS O Sを無視して、「からだ」や「こころ」が頑張りすぎてしまった結果です。

人へのやさしさと自分への強さのバランスを保つには、基盤として、自分へのやさしさがなければいけないのです。自分にやさしくするというのは、「眠いから仕事休んじゃおう」とか「怒られたくないからミスを隠しちゃおう」というような、自分を甘やかすこととは違います。自分の「からだ」と「こころ」が出すS O Sにいち早く気づいて対処してあげることが「自分へのやさしさ」です。S O Sに気付く、つまり、いつもと違うことに気付くためには、「いつものからだとこころの状態」を知らなければいけません。

「いつものからだとこころの状態」をどう知るか、そのやり方については、稲葉先生も本の中でいくつか紹介しています。一例として、自分の身体に触れてみるというのが紹介されていました。たとえば、左胸に手を当てると「いつも」の鼓動の速さが把握できるし、口元に手をかざして「いつも」の呼吸の深さがわかります。

いつものからだとこころの状態を把握し、S O Sに早く気づいて対処できるようになると、そのうち「自分のからだやこころはこういうときに悲鳴をあげる」というのもわかるようになってきます。そうすると、そもそもS O Sを出させない、無理のない状態をキープできるようになってきます。そうやって、自分にやさしくできてようやく、周りにやさしく、自分につよくいられるようになるのだと思います。

偉そうに書いてしまいましたが、私も自分の「からだ」と「こころ」のことが全然わかっていません。でも、生まれてから今まで、そしてこれからもずっと付き合っていくものなので、ちゃんと向き合って、大事にしていきたいです。そして、少しずつでも、人にやさしくて自分に強い人間になっていこうと思います。

(上條)


【今月の一言】
うどんの値段は同じであっても、客を大事にしてくれる店、まごころをもった親切な店には、人は自然によりついてゆく。(松下幸之助)

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