自宅に手すりが必要になってきた時に、知っておきたいサービスや補助金制度について。

介護保険サービスには、福祉用具レンタルや自宅を介護する環境に整えるための費用の一部を補ってくれる制度があります。また、各市区町村などが独自に行っている補助金支給制度もあります。ただし、介護保険サービスを利用するためには要支援・要介護認定が必要になります。認定を受けていない方は、まずは「市区町村窓口」または、「地域包括支援センター」の窓口で申請することから始めましょう。

福祉用具レンタルと購入

介護保険を利用すると、利用者は費用の1割~3割(所得に応じて変動)の自己負担で用具をレンタルすることができます。レンタルできる福祉用具は全部で13種目です。ただし、それぞれの種目に適用基準が設けられており、レンタル可能な福祉用具はその基準に合ったものに限られます。購入の場合は、年間10万円まで該当する商品を1割〜3割負担で購入することができます。ただし、上限の10万円を超える部分は自己負担となります。

レンタルもしくは購入をする場所は、都道府県または市区町村の指定を受けた「福祉用具貸与事業者」になります。事業者を選ぶ際は、まずはケアマネジャーに相談しましょう。

レンタルできる福祉用具
【対象介護度:要介護2~5】
■車いす
自走用・介助用車いす、電動車いす・電動四輪車
■車いす付属品
車いすクッション、姿勢保持用品、電動補助装置など車いすと一体的に使用されるもの
■特殊寝台(介護用ベッド)
サイドレール(ベッド柵)付き又は取り付け可能なベッドで、背上げ又は脚上げ機能、もしくは高さ調整機能が付いたもの
■特殊寝台付属品
マットレス、サイドレール、立ち上がりをサポートするL字型ベッド柵など特殊寝台と一体的に使用されるもの
■床ずれ防止用具
体圧分散効果をもつ床ずれ防止用の静止型マットレス、エアマットレス等
■体位変換器
起き上がり補助装置、寝返り介助パッドなど要介護者の体位を容易に変換できる機能があるもの
■認知症老人徘徊感知機器
認知症外出通報システム、離床センサーなど
■移動用リフト
自力または車いすなどでの移動が困難な人のための工事不要の移動用リフト、バスリフトなど

【対象介護度:要支援1〜2、要介護1~5】
■手すり
工事不要で設置できる手すり、任意の場所に置いて使用できる手すりなど
■スロープ
段差解消のための工事不要の設置・撤去できるものやスロープなど
■歩行器
歩行を補う機能と移動時に体重を支える構造をもつ固定型歩行器や四輪歩行車など(シルバーカーは対象外)
■歩行補助つえ
サイドウォーカー、松葉づえ、多脚杖(3~4本の脚)、ロフストランド・クラッチなど(一脚杖のステッキ(T字杖)などは対象外)
■自動排泄処理装置
ベッドに寝たままの状態で排せつを処理する装置で、排尿、排便をセンサーで感知し、吸引・洗浄・乾燥を自動的に行う(レンタル対象は本体のみ)

※対象介護度に合致しない軽度者であっても、医師の意見に基づき福祉用具の利用対象像に該当すると判断され、保険者である市区町村が必要と認めた場合、例外的にレンタルが可能になることもあります。

購入できる福祉用具
■腰掛け便座
■入浴補助用具
■特殊尿器
■簡易浴槽
■移動用リフトの吊り具
■自動排泄処理装置(交換可能部品)


ワンポイントアドバイス

福祉用具を選ぶ際に大切なことは、「適切な用具」を選ぶことです。
ケアマネジャーや福祉用具専門相談員はもちろん、利用者の状態に応じて、医師、看護師、理学療法士などからもアドバイスを受けながら選ぶといいでしょう。


住宅改修費の支給

介護のために住宅改修する際にかかった費用を一部負担してくれる制度です。要介護度に関係なく、要介護認定を受けている被保険者が自宅の住宅改修を行う場合に、その工事費用(20万円まで)の7~9割(所得に応じて変動)が「住宅改修費用」として支給されます。上限の20万円を超える部分は自己負担となります。

また、支給対象となるのは自宅(介護保険被保険者証に記載されている家)に住んでいる方です。施設に入所している方、病院に入院中の方などは支給の対象とはなりません。ただし、退所・退院の日が明確であり、その後住むために自宅を改修する必要がある場合などは、支給金を受けられることもあります。

住宅改修の種類
■手すりの取り付け
■段差の解消(スロープの設置、床のかさ上げ、通路等の傾斜の解消)
■床材等の変更(滑りにくいものに加工または移動の円滑化のために床または通路面の材料の変更)
■扉の取替え(開き戸から引き戸・折り戸等への変更、扉の撤去)
■便器の取替え(和式便器から洋式便器への取替え)


その他の制度について

介護保険以外にも、各市区町村が独自に行う補助金支給制度もあります。
介護保険の併用が認められている場合もあれば、要介護認定で「非該当」となった方に対して行う予防給付もあるようです。ただし、サービスの種類や料金、利用条件などは市区町村により異なりますので、こちらは一度お住まいの自治体に確認しておくといいかもしれません。


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