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相続の昔とこれから(北海道新聞連載㉟ 最終回)

民法改正で配偶者居住権も(2018年3月29日掲載)

約40年ぶりに相続関連の民法が改正されようとしています。
人生100年の時代になり、相続のルールが大きく変わりそうです。


私の連載の最後は専門の相続に関する問題です。


Q 約40年前まで、相続人が配偶者と子の場合の法定相続分は何番だったでしょう。


 ① 配偶者2分の1、子2分の1
 ② 配偶者3分の2、子3分の1
 ③ 配偶者3分の1、子3分の2





A 正解は③です。

 子の方が多くありました。


 ちなみに1947年までは家督相続の時代で、男の子ども優先でした。
 今回は配偶者優遇の改正になっています。




Q ここからは改正案が成立した場合に、どのように変わるのかという問題です。
  今回創設される権利は何番でしょう。


 ① 配偶者の分割権
 ② 配偶者の居住権
 ③ 配偶者の財産権





A 正解は②です。

 例えば、子どもたちが自宅の所有権を相続しても、配偶者は住み続ける権利を確保できます。



Q 相続人ではない親族が遺産を残した人に特別な貢献をした場合、相続人に金銭の支払いを請求できるようになります。それに当てはまる人は?


 ① 長女
 ② いとこ
 ③ 子供の配偶者





A 正解は②と③です。

 長女は子ですので相続人です。


 これまでは長女の妻が献身的な介護をしても相続人ではないので、争いになることもありました。




Q 自筆証書遺言書を法務局で保管する制度も設けられます。
 遺言をした方が亡くなった場合の対応は。


 ① 公正証書遺言書の場合、
   原本を保管する公証役場が遺言書の存在を相続人に知らせてくれる。

 ② 自筆証書遺言書の場合、
   法務局が遺言書の存在を相続人に知らせてくれる。

 ③ 亡くなっても相続人にお知らせは行かない。





A 正解は③です。

 お知らせは行きませんが、遺言書を残しているか不明な場合、遺言書の存在を確認できるのは公正証書遺言書だけでしたが、自筆証書遺言書も確認できるようになります。



さて、連載を続けた3年間ご愛読いただきありがとうございました。


2018年(平成30年)3月29日(木曜日)北海道新聞掲載
「相続」

3年間、毎月新聞に掲載するにあたり、なんとなくわかっていたことに関して、その根拠を確認する貴重な時間になりました。

当然ですが2021年のいまもこの姿勢を続けています。

「相続の話をしよう」関根稔先生の本、実務をすすめるに当たりとても勉強になりました。相続に携わる方にはオススメです。


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