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遺言書の書き方と基本(北海道新聞連載㉞)

(2018年2月21日掲載)

民法の相続に関する分野が約40年ぶりに見直されようとしています。
超高齢社会に対応できる内容の変更が盛り込まれる見込みです。
まだ改正案の要綱の段階ですが、自筆証書遺言の新制度創設などが盛り込まれています。


そこで遺言に関する問題を用意しました
次の文章のア~オのカッコ()内から正解を当ててください。


そもそも遺言書の作成ができるのは、ア( ①15歳、②20歳 )からで、
年齢制限は、イ( ①75歳までです、②ありません )
そして重要なこととして作成するには意思能力があることが必要です。


代表的な遺言には、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
公正証書遺言は公証役場で作成し、原本は公証役場で保管されます。


一方、自筆証書遺言は遺言書全文と、ウ( ①氏名と日付、②氏名と本籍地 )を自筆し、これに押印することで成立します。


証人や立会人は不要のため、遺言者一人で作成できます。


ただ、自筆証書遺言は自分の責任で保管しなければなりませんでした。
そして、遺言書は、エ( ①市区町村、②家庭裁判所 )で書式が法定通りか確認し、偽造などを防止するための「検認」という手続きが必要でした。


今回の改正案に自筆証書遺言に関する見直しが盛り込まれています。
そして、自筆証書遺言書の保管制度も新たに創設されます。


保管は、オ( ①家庭裁判所、②法務局 )でできることになります。
申請時にこの遺言書は、画像情報で保存されるため封はしません。
このように保管された遺言書は、検認の手続きが不要となります。


今まで自筆証書遺言については、せっかく書いたのに紛失や変造、隠匿などの危険があるのが短所でしたが、保管してもらうことで安心に繋がります。

また、今回の改正案では自筆証書遺言に財産目録を添付する場合、その目録についてはパソコンの印字でも可能としています。



正解は
ア①、イ②、ウ①、エ②、オ②


このように制度が改善される自筆証書遺言ですが、記載漏れや書式の不備などにより遺言者の思いが通じない場合が多いのも事実です。

遺言にはこの他、秘密証書遺言などもあります。
それぞれに長所、短所があり、遺言書を各理由にあったものを選ぶのが良いと思います。
いずれにせよ、遺言を残す場合は相続手続きに詳しい専門家に相談することをお勧めします。

2018年(平成30年)2月21日(水曜日)北海道新聞連載
「遺言」

2020年7月から法務局による保管制度が始まりました。
とはいえ、その使用はひと月2000件程度と伸び悩んでいるようです。


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