見出し画像

不動産売却、保有するには(北海道新聞連載⑪)

昨今の相続トラブルで目立つのは、家や土地に絡んだものです。

不動産の売却、保有には正しい知識が必要です。

「自宅は子に残す」という考えも、長寿化に伴い子は既に自宅を持っている例が多く、実情に合わない場合もあります。

不動産について今一度考えてみませんか。


Q 太郎さんは、亡くなった親が住んでいた実家を
 相続人全員の話し合いで、相続することになりました。

    誰も住む予定が無いので売却をしようと思います。
 正しい認識は?

    ① 相続をした人(太郎さん)に名義変更をしなければ
  売却依頼はできない。
 ② 亡くなった親の名義のままで売却ができる。
 ③ 固定資産税を負担していた人が売却できる。


A 正しいのは①です。

相続しても不動産の名義変更に法定の期限はありませんが、登記上の名義を変更しないと売却できません。

リフォームのローンを組む際にも名義変更を求められる場合はあります。

固定資産税を支払っている人が登記上の名義人とは限りません。

「近所の人に固定資産税を払っているから問題は無いと言われたから何もしていない…」という声もよく聞きます。
 名義をそのままにすることは、次の世代に問題を先送りすることになりそうです。


Q 不動産を所有している時にかかる支出の考え方で適切でないのは?

 ① 固定資産税や都市計画税がかかる。
 ② 戸建てなら外壁補修などの維持費用、
  マンションなら管理費、修繕積立金などの支出が生じる。
 ③ 所有しているだけで、住んでいなければ費用はかからない。


A 適切でないのは③です。

所有している時に費用はかかります。

固定資産税や都市計画税は特別な条件のもと、かからない場合もありますが、不動産の維持管理費用は必要です。


Q 不動産を売却する時にかかる費用について間違っている認識は?

 ① その不動産を購入した価格よりも高く売却できた場合には
  税金を考慮する。
 ② 不動産会社に依頼した場合の仲介手数料や、境界線を画定する場合は
  費用がかかる。
 ③ 購入するときと違い、売却の時に費用はかからない。


A ③が間違いです。

不動産を昨年売却した方は、確定申告の時期が近づいたので要注意です。

境界線は子ども世代に相続する前にはっきりさせておくことが望ましいでしょう。



参考までに、売却を検討する時おおよその金額を知りたいなら不動産会社に査定依頼するほか、最近の取引価格を国土交通省の「土地総合情報システム」で知ることが出来ます。

ただし、値段は欲しい方がいて付くもので、欲しい方がいなければ付かないのも現実です。

2016年2月3日(水曜日) 北海道新聞掲載
「不動産」

この記事から5年が経ち、相続登記の義務化の方向で法整備が進みそうです。内容は相続から3年以内に相続登記をしない場合に10万円以下の罰金が掲載されていました。所有権の放棄も盛り込まれるのか見ていきたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?