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ドナルド・トランプとロバート・ビゲローの会談が意味するもの

米大統領候補ドナルド・トランプは1月29日に実業家ロバート・ビゲローRobert Bigelow と会談し、ビゲローはトランプの訴訟費用として100万ドルを渡し、さらに2000万ドルを選挙運動目的で親トランプ派の外部団体に寄付することに同意したと報じられた。

ロバート・ビゲローはアメリカの大富豪の一人であるが、UFO界隈ではよく知られた人物であり、CBSの全国番組『60ミニッツ』で「地球上には地球外生命体が存在する」と述べるなど、UFOと宇宙人の存在を強く信じていることで知られる。

ビゲローがトランプを支援する動機の裏に、UFO/UAP機密情報の扱いに関する何らかの意図が含まれているのは間違いないと思われる。

ただしそれが現在盛り上がっているようなディスクロージャーの動きにつながるものかどうかには疑問が残る。

この点を見極めるにあたっては、ロバート・ビゲローという人物の来歴について考察する必要がある。

1999年、ビゲローは「ビゲロー・エアロスペース社」を設立し、世界初の商業宇宙ステーションの開発を企てたことで知られる。同社は2006 年と2007 年に2つの実験用宇宙モジュールを打ち上げ、ホテル、研究所、工場からなる本格的な宇宙ステーション計画に乗り出していた。2016年4月にはビゲローのBEAMモジュールがSpaceXの貨物補給ミッションで国際宇宙ステーションに打ち上げられたが、2020年3月、ビゲロー・エアロスペースは88人のスタッフ全員を解雇し、20年以上の事業を停止した。これはコロナウイルスのパンデミックが部分的に原因となったとされる。

ビゲローのもう一つの注目すべき活動は、UFO研究に対する熱心な取り組みである。

ビゲローは1995年、超常現象、特にUFOの研究に資金を提供するために全米ディスカバリー・サイエンス研究所(National Institute for Discovery Science、通称NIDS)を設立した。この組織は牛の切断事件(いわゆるキャトル・ミューティレーション)と「ブラック・トライアングル型UFO」を調査し、最終的に後者は軍が運用する秘密の最新鋭航空機によるものと結論付けた。同研究所は2004年に解散した。

1996年、ビゲローは超常現象が起こるとされるユタ州の512エーカー (205ヘクタール)の牧場、スキンウォーカー牧場を20万ドルで購入し、2016年に売却するまで、そこでUFO現象を含むさまざまな調査を行った。

「スキンウォーカー牧場」についてはアメリカで超常現象特番の人気シリーズにもなっているが、実際にそこで何が起こっているのか、何が発見されたのかははっきりしない。

2017年12月、ビゲローはハリー・リード上院議員に対し、UFOの研究を目的として2007年から2012年まで実施された政府研究である高度航空宇宙脅威識別プログラム Advanced Aerospace Threat Identification Program (AATIP)を開始するよう促したと報じられた。AATIPはルー・エリゾンドが勤務していたことでも知られる。

先にも述べたように、ビゲローは全国放送のテレビ番組で「宇宙人は絶対に存在する」と断言するなど、著名な大富豪としては珍しくUAP問題への関心を隠そうとしない。同じく宇宙開発に熱心に取り組みながらUFOについては揶揄的な発言を繰り返すイーロン・マスクなどとは対照的である。

ビゲローとトランプの結びつきが何を意味するかは、トランプが大統領になったときに分かるだろう。個人的にはそのような事態は歓迎できるものではないと思っているが・・・

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