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インゴ・スワン「リアル・ストーリー」(32)

第12章  カーリス・オシス博士 - 1971年から1972年冬


シュマイドラー博士と一緒にサーミスター実験に取り組んでいる間、私はクリーブ・バックスターの研究所にも出入りしていた。

私たちは電極が挿入された小さな金属容器内で加圧されたガスに対して「psi プローブ」をテストした。ガスがプローブの影響を受けた場合、ガスの原子は「励起」と呼ばれる方法で移動する可能性がある。この種の設定は標準的でよく知られた科学で、測定装置における励起性ガスの使用はよく理解されている。

たとえば、ガスは放射線を測定するガイガーカウンターに利用される。この場合のガスは酢酸アミル、エーテル、アルコールなどである。ガイガーカウンターが X 線とガンマ線の存在下にある場合、それらの線がガスを含む管を透過してガイガーカウンターを励起する。管内の電極装置はガスの電子励起を測定する。

したがって、私たちの実験の唯一の型破りな側面は、ガスを励起するために「マインド光線」またはそれに類似したものが使用されたというだった。

クリーブはまた、生物学的実験に進むことを提案した。それには最初、標準的な生物供給会社から購入した単細胞動物を使用した。 クリーブは、めったに掃除も滅菌もされていなかった建物の小便器の底から生物物質をかき集めたりもした。

さらに実験は大胆なものになり、人間の血液と精液という非常に重要な生物学的物質に関する psi プローブのテストに進んだ。

実験があまり成功しないこともあった。 一方でプローブ効果が顕著で否定できない場合もあった。ターゲットに「より精神的に精通する」につれて、効果の頻度は増加した。ほとんどすべてのものに何らかの電位変化が見られたが、一部は再現性を欠いていた。

私自身の血液(自分の指に滅菌ピンを刺して採取したもの)は、私自身の投影されたプローブに対して非常に敏感で、血球が弱って死ぬまで反応し続けることが分かった。

今考えてみれば、この種の現象には「サイキック脅威」の可能性があることに気づく。クリーブとその周囲の少数の人々もそのことに気づいていた。 私たちはタイムズ・スクエアでジャンクフードを食べながら、これらのことをじっくり考えた。クリーブは司法行政機関や CIA 内に広範な人脈を持っていたため、こうした方面の知識を持っていた。

「まあ、」彼はフランクフルトを詰めた口から突然口走った。
「君がやっていることは、ソ連が長い間取り組んできたことと同じことというわけだ」
私はよく理解できなかったので、彼に説明してもった。
彼はそれを「精神だけで人の体に侵入する能力」と呼んだ。

しかし、精液は非常に奇妙な反応を示した。プルーブによって冷たくしたり熱くしたりしても、その反応は「あまりにも微か」なものに見えた。つまり、電位活動が失われたようで、チャートは直線、つまり「死んだ」線を表示した。これは、psi プローブが精液内の精子の生命力に影響を与えることを意味しているようだった。

私はクレーブに、それらの実験に関する論文は提出しないように提案した。 「心配する必要はない」と彼は答えた。しかし、これらすべてが私が時々主賓として出席したベニット家のディナーパーティーでの会話を弾ませ、ビューエルのサークルを興奮させ、そして何よりも、ほんの少しでも性的な意味を持つものならどんなゴシップにも魅了されていたゼルダのサークルを興奮させた。 すぐにゴシップが炎上し、あらゆる種類の刺激的な情報、時には滑稽な情報が飛び交うことになった。

これらの実験中のある時点で、ジョン・ウィンゲート博士は、私がアメリカ心霊研究所(ASPR) に行って「そこで検査を受けるべき」だと考えた。

あまり深く考えずに、私は非常に重要な発言をした。
「私は、よく設計された実験について研究者と協力するのでなければ、いかなるテストも受けるつもりはありません。」
それでこの問題は取り下げられた。あるいは少なくとも私はそう思った。

だがそのとき、ASPR には綿密に計画された実験があり、カーリス・オシス博士はその準備とボランティア被験者の募集をしていたのである。

私はそれに参加を申し込む気はなく、周囲には就職先を探していると言っていた。だが実際には、私は就職活動はしていなかった。

1971 年 10 月初旬、ASPR の他のメンバーと相談して、ジョンは私に招待状が出ていると伝えてくれた。彼は ASPR 理事会のメンバーだったが、私には何も言わずに、他の理事数名に電話して「招待」について話し合ったのである。

私はウィンゲート博士のことが好きだったが、その話を聞いて面白くはなかった。ASPR の職員は、ASPR 協会が超心理学システムの権威として伝統的に重要な存在であると信じていた。

一方、超常現象に興味を持っている他のグループは異なる感想を持っていた。 ビューエルたちは、ASPRを陰謀、クーデター、復讐、その他士気を低下させるものの悪臭を放つ汚水溜めとみなしていた。通常は誰も非難しないゼルダたちも、この見解にある程度同意した。


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