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和レゲエ数珠繋ぎ-第28回- 副島 隆

岡山県倉敷市 副島 隆
アーティスト名 古澤良治郎
曲名 カナカナ
発売年 1982年


副島(そえじま)と申します。テクノDJとしての四半世紀のキャリアの傍ら、近年は和モノの7インチの蒐集に明け暮れつつご当地レコードのコレクターとしてのラジオ出演等、いよいよ活動実態の説明も面倒な事務用品販売会社勤務の44歳です。年内の目玉出演は先鋭若手集団(商工会議所青年部)による1000人規模の屋内レイヴ(某アリーナでの市民綱引き大会)での監修(肉体労働)兼DJ(即興音効)です。どうぞよろしくお願いします。
趣向の変化の経緯は端折りますが、個人的には2018年の西日本豪雨での自宅の被災と数千枚のレコードの廃棄、そして全国の旧知の人々からの支援(食べ物や着る服がないというのに避難先にレコードを送ってくる優しい人達)や偶然コトを知ったアーティストさんやレーベルオーナーさん達からの寄贈支援により、2010年代以降デジタル化で完全に失われたかのように思われた自身のレコード熱が再燃した事が一つの節目になりました。結果として被災前よりも所蔵量が増えてしまった膨大な資産(レコード群)を町外れの友人のガレージに隠しつつ、当局(家族)の摘発をのらりくらりとかわし続ける静かな日々を片田舎で送っております。

和レゲエもまた私にとっては惹かれ続けて止まない宇宙のようなもので、その中心には到底辿り着けず延々と周辺を漂うのみでしょうが、そんな私が今回ご紹介させて頂きますのは"古澤良治郎リー・オスカー"の1982年のEP、『いま春』のB面の『カナカナ』です。
先頃1977年の名盤『ラッコ』が透明盤にて再々発(?)となった氏のあまり見かけない?EPですが、どちらかと言えば1983年の『たまには』に収録の『Moonlight Slumber』の方が有名かとは思います。この度また再発となるPECKER氏の『INSTANT RASTA』にも追加収録されているので手に取りやすくなった近年ではよりお馴染みかと。
この『カナカナ』もA面に引き続いての非常に牧歌的なインストですが、和ジャズのイメージを良い意味で裏切るほのかに裏打ちなリズムは終始小春日和の如く心地よく、MANNAの『椰子の木陰で』のようなトロピカルな流れにも、福沢もろの『Rainbow Star』のようなスペース系和レアリックな白レゲエにも相性はよろしいと思われます。
ちなみに1981年のLP『あのころ』にも収録されていますので他曲での冴え渡る渡辺香津美のソロと併せて是非ご堪能を。
ではでは!

♨︎
副島さん、ありがとうございました!当局の摘発については共感。平然としておくのが良さそう。

早速いきましょう、2011年に亡くなった日本のジャズドラマー・古澤良治郎の7インチ。ジャズ/フュージョンに分類されがちな古澤良治郎ですが、多ジャンルに渡り活躍していました。

メジャーな作品にスタジオ・ジブリ「平成狸合戦ぽんぽこ」のサントラがあります。今回選曲いただいた「カナカナ」を収録したLP「あのころ」はレゲエ色の強いアルバム。

ジャケットからは想像つかないから侮れない

古澤レゲエ、2つのキーワードはかなり深いよう。そのため、今回はLP・あのころについて触れてみます。これはゲストにリー・オスカーを迎え製作したアルバムです。
リー・オスカーはバンド「WAR」でハーモニカを担当していました。

WARAJIの元ネタ

WARの持つ黒いファンク感と、古澤レゲエのルーディーさには近いものを感じるような……なにかと親和性のありそうな彼らですが、完成までに相当な苦労があったとライナーノーツに製作過程が書かれています。

タイトル曲・あのころに登場するSoul VendorsSwing Easyをアレンジしたような一節も印象的。一方でカナカナはキラーな牧歌チューン。幅の広さに貫禄を感じます。

余談ですが兵庫のサックスプレイヤー「SHIRAS」が昨年発表したソロ楽曲にもSwing Easy×Tempo Riddim使いのクラシックがあります。それぞれの解釈がおもしろい。

レコードの話に戻りまして……副島さんが書いてくれているようにこのEPなかなか見つかりません。まずはLPが買いやすく曲数も多くおススメです。

カナカナの最後、拍手が入ってるのが泣けます。今週もありがとうございました!

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