和レゲエ数珠繋ぎ-第24回- 平澤伸也

2022年9月12日 08:37

東京都　平澤伸也
アーティスト名　RANKIN TAXI feat. CHIEKO BEAUTY with LITTLE TEMPO
曲名　夢で逢えたら / 夢で逢えたらDUB
発売年　2006

レコード販売業から離れ180度方向転換をして美容師になり15年近くになります。和モノ再発見的な概念も全然わかっていない私なので、和レゲエを理解できていない感があります。しかし他の方も大らかな視点でチョイスされているようなので、数珠の一粒に加えて頂こうかなと思います。

私が渋谷宇田川町のレコード屋で働いていた時に担当させてもらっていた盤になります。
大瀧詠一による言わずもがなの名曲、あらためて確認するとカバー天国(もしくは地獄)なほどいろんな人にカバーされまくっているんですね。

コチラは日本のレゲエのレジェンドな二人による1枚。曲の後半はヴォーカルの合間にテンポ良くトークオーヴァーするスタイルですが、前半はルーツ期のDJモノもしくは「昭和のデュエット歌謡スタイル」よろしく、交互に長めのパートがくる形になっているのが印象的。ラストはランキン節なおフザケ強めで、自分が「夢で逢いたい」と想われていた人じゃなかったっていうオチがつきます。

チエコビューティーの歌声は吉田美奈子よりもシリア・ポールや石川ひとみのよう。輪郭のハッキリとした甘く美しい歌声とランキン・タクシーのトーストの組み合わせは、「合っているようで合ってない、でも合ってる！」というキワキワの中毒感があります。

「君に夢中、君に夢中、君に夢中」
久しく聴いてなくても、フとした時に思い出すのは、キレイな歌声でなくランキンさんのパートなのも不思議です。

そして何より素晴らしいのはLITTLE TEMPOの手掛けたオケ。浮遊感のあるリズムとスライドギター、スティールパン、トロ〜っとしたベースはまさに夢心地。海辺の夕暮れといった感じでしょうか。

さらにB面の内田直之氏によるエコーマシマシなダブがホント最高。まどろみから完全に熟睡して、深〜い夜更けの夢の中で聴いてる感じ。ランキンさんとチエコさんには悪いのですが、チキチキのリズムとスティールパンがメインの「インスト8割」なこのダブヴァージョンの方を当時はよく聴いてました。

それと和レゲエとは筋違い、全くの余談なのですが、最近プロ野球界で話題になっている「きつねダンス」。アレの印象的なフレーズに既聴感があったので思い出してみると、2006年に小ヒットしたダンスホールL.O.C. / Ring ding dingとソックリでした。このアホアホなフレーズの両者に繋がりがあるのか、共通の元ネタがあるのか、奇跡のアホチャネリングなのか...わかる人がいたら教えてください。

♨︎
平澤さん、ありがとうございました！

RANKIN TAXI、CHIEKO BEAUTY、LITTLE TEMPO。B面ダブに内田直之と鉄壁のフォーメーション。内容が日本の名曲・レゲエカバーとくればなんぼあっても困りません。平澤さんが当時担当していたタイトルである点も興味深く、その頃のお話などもっと伺いたいぐらいです。残念ながらYouTubeに音源がなく楽曲は貼り付けられず。聴いてみたい方はレコードを探してみてはいかがでしょうか。

また、邦楽ポップス・ヒットソングのレゲエカバー曲はたくさん存在しますが、その中の半数以上はレコード化されていません。レコードが存在しているかどうかは非常に重要。私のような古いDJは現場で未だにレコードを使うため、レコードが存在してなければその曲をかけることすら出来ないのです。

いや実際には、適した機材を使えばデータ音源を使用することは容易。しかしおじさんはレコードにこだわります。その理由は単純で、習慣のような部分の話しなんです。機械化された作業なのに手作業の方が慣れているから楽だというおじさん、なにかで見たことありますよね。あれと同じ感覚です。こういった話は尽きないのでこの辺で……。

それでは本題？に。平澤さんの疑問に話を移しましょう。日本ハムファイターズの球場パフォーマンス、きつねダンスの話題。使われている楽曲はノルウェーの兄弟ユニット「Ylvis(イルヴィス)が歌う「The Fox」本業は歌手ではなくお笑い芸人らしい。2013年リリース。実際のきつねダンスと合わせてご覧ください。