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同人誌に落丁があった話

落丁をしてしまった

私は同人歴もうすぐ30年という奴で 今のところ出してきた同人は全て大きなトラブルも無く、一番軽い紙を選んだのに一番重い紙で印刷されてきたとか、他人の原稿が一緒に製本されていたという豪快な印刷所側のミスぐらいしか経験がなかったのですが、ここに来て落丁という同人誌でかなり致命的なミスをしてしまいました。ので経緯と対処の記録をここに残しておこう、という記録と反省を込めたnoteです。

自分の反省も兼ねてですが、同じように落丁乱丁でどうしたらいいか困ってしまった方へ「一つの解決方法」として届けばいいな、と思って書きます。
なおこの話は落丁(特定のページが無い)で 乱丁(ページはそろっているが順番が間違っている)とはまた違うという認識でお願いいたします。




状況

本は186ページで 2冊分の本を1つにまとめた再録本でした。
印刷所よりとらのあなに納品し その数週間後のイベントで頒布する…という流れだったのですが、イベントより先にとらのあなに納品した分を買った方からのお申し出で落丁が判明した、という状態でした。
落丁内容は 16ページ目が無く、代わりに18ページ目が2回ある、というもので「1ページ存在しないが左右のズレは生じてない」という落丁でした。
(なおこの時点で本はまだイベントで頒布はされていませんでした)

状況の流れとしては
①とらのあなに印刷所より本が納品される
②予約購入者様の手元に届く
③そこで落丁が判明し購入者様がとらのあなに問い合わせ
④とらのあなから私の方に状況確認

という感じでした。

この時点でとらのあな側で在庫の中身を確認をされており 落丁は全冊に発生していると報告がありました。
慌てて入稿されたデータを確認したところ、やはり私側のミスで全冊に落丁が発生しており この時点でとらのあなより

①WEBコメントに落丁の件を追記し仕様として販売再開
②全数、印刷所様orサークル登録住所宛に返送(着払い)
③全数、とらのあな側で廃棄

のどれかを選ぶように求められていました。

さらに問い合わせのあった購入者様への対応はこちら側に渡され「メールアドレスや問い合わせページ(印刷所のミスだった場合印刷所が対応するため)のお知らせは購入者様側へできるがそれ以上はできない」という事が書かれていました。




相談と決断

正直頭が真っ白になっていました。
もうある程度の数が予約され頒布されてしまっていること。全冊が落丁であったこと、予約してまでお手に取ってもらった方に本当に本当に申し訳なく 早くお詫びしたい、でもとらのあな経由のため購入者様の住所もお名前もメアドもわからない という状態。
このパニック状態で自分一人では判断が危険…と直感し、まずは友人一同に相談しました。

この時点での自分の判断は全冊破棄と再版だったのですが、運が悪いことに印刷所がこの時点でコミケに向け一時的に休業を発表しており、また特殊印刷が多い本で 時間がかかるものが重なってしまい 即発注しても発行は2か月後以降になってしまうと判明。
さらに使った特殊印刷の1つが受付終了しており 完全に同じものを発行するのは不可能になっていました。

この時点で頭が真っ白になりパニック状態になってしまったのですが、友人一同「冷静になれ、安易に破棄はするな、まずはお詫びと該当の落丁ページをweb公開しろ」とアドバイスをもらいました。

「読み手はその抜けたページをまず見たいのだから、最初にお詫び+抜けたページをできる限り早く公開」

この一言でだいぶ冷静になれました。友人一同ありがとう…
というわけでまずはgoogleサイトで落丁の告知と落丁ページを作り公開しました。

①該当本がどれであるかできるだけ明確に記載
②とらあなの該当本のリンク
③落丁ページ前後のweb公開
④該当ページのpdf配布
⑤ネットプリントへの登録

以上をまとめたページを作成。
後日に「落丁ページを直接イベントでお渡し」を追加しました。

問い合わせのフォームを作るか迷ったのですが この時点でとらのあなからの購入者様しか該当する方がいなかった事で 申し訳ないのですが全公開ではなくとらのあな経由の問い合わせにしていただくようにしました。

このページをXにて何度かリポストし、ありがたいことにいろいろな方にこのサイトへのリンクをリポストしていただきました。ここで再度お礼申し上げます、ご協力ありがとうございました。

同じ内容でpixivにも上げ、なるべく多くの方の目に留まるようにしました。





落丁ページの差し込み

ともかく全冊落丁なのでこのまま頒布するわけにはいかない。とらのあな側も落丁判明後即通販を止めていました。

まずはとらのあなには全て自宅へ送ってもらうようお願いし、その間に落丁ページを別の印刷所に発注。落丁ページを1枚差し込みで対処する事を決断しました。

この決断はかなり迷ったのですが、1ページ追加で一応ストーリーを追う事が出来た事、また見開きやクライマックスのページではなかった事 そして再版は時間もかかり完全再現も難しい、という事で決断しました。
しかし今でもとらのあなで購入された方にはこのページ追加がデータでしか出来ない事が申し訳なく、心苦しく思っております。本当に申し訳ありません…

差し込み裏面に経緯を記載
表面に落丁したページを印刷して差し込みました

A5より数ミリ小さいサイズで印刷をお願いし 本からはみ出ないようにしました。

イベント頒布では落丁の旨を値札に記載し、できるだけお声がけする事にしました。お品書き告知にも記載。もっと告知する場があったかもしれませんが…



とらのあなからの返送(サークル向け情報)

なおとらのあなの問い合わせ/返送などの時系列は
6/14 こちらに問い合わせが来る→全破棄希望→同日に「返送」に変更
6/15 返送受付のメールが来る(予定返送冊数がメールに記載)
6/24 返送分が届く(予定冊数より2冊販売してしまい減った数が届く)
とそこそこ時間がかかる事と 書店販売まで本が出てしまっている場合即時対応は難しい感じでした。冊数が多いとさらに時間がかかるかもしれません。
なお本はすべて袋に入った状態で届いたため作業には袋から全部出す、の作業が必要となりました。箱数もこの袋の「かさ」があるため通常の2倍の数となりました。


とらのあなに再度預ける場合(サークル向け情報)

この時点で「補填ページを入れ、再度通販お願いはできるか」の問い合わせをしました。結果
①可能である
②WEBコメントに落丁がありペーパーで補完している旨を記載すること(とらのあな側からの特定の記載は無い模様)
③同IDで追加委託扱いでOK
④補填ページはデータ上「オマケ」扱いとなる
⑤特定のページに入れる場合はこちら(私)の方で作業を行う
とのことでした。状況によって違うとは思いますが、今回の例として書いておきます。

└かなり文字数制限のあるコメント欄に記載するしかない模様。★マークを入れるなどしてなるべく注意喚起をしました。




何が正解なのかはわからない

この判断は一例であり 何が正解なのか…となるとなかなか難しいと思います。いろいろアドバイスを受け、考えた結果でしたが やはり最初に予約してまで購入していただいた方が一番不利益を負ってしまっている事が申し訳なく、今も「もっといい方法はなかったのか」と反省しています。

今回落丁がイベント2週間前に判明し、いろいろ対応できた事はとても幸運だったと思っています。それは予約購入していただいた方の迅速な問い合わせのおかげですので、この場で再度 とても助かりました、ありがとうございます、そして大変申し訳ありません…とお伝えしたいです。


友人一同は「同人出していれば落丁乱丁はいつか出てしまうもの」と言ってくれました。もちろんそれにあぐらをかいてはいけませんが、基本1人で制作とチェックをするものなので、何冊も出していればありえる事なのかもしれません。出てしまったものはしょうがない でも頑張って作った本なので安易に廃棄を選ばず、冷静になり、できる限りのことを早く広く告知する、がとりあえずの正解なのだと思いました。 自分一人で決断せず周囲に聞いたことで冷静になれたので「相談は大事」とよくわかりました… 友人一同にも本当にありがとうございました

そして落丁本をお手にとってしまった皆様へ再度お詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした。
今後はこのようなことが無いよう、さらに気を付けて制作いたします。

RH わらび



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