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戯画の思い出

戯画との出会いはまず2010年ごろ、OPを通してであった。当時オタクになる経路としては、『とある魔術の禁書目録』であったり『灼眼のシャナ』などが代表的であったわけだが、それらのアニメのOPを担当しているのはI've soundであった。当時はI've soundのことはあまり意識していなかったが、KOTOKOや川田まみのことが好きになれば、自然と彼女らが歌唱しているエロゲソングにも目が行くようになる。そして当時発売間もなかった、BALDR SKYの主題歌『jihad』や『Restoration~沈黙の空』を知ることになった。戯画作品との出会いということだとここが始まりになるだろう。

しかし当時はエロゲープレイヤーではなかったため、『BALDR SKY』という神ゲーがあり、『jihad』はその主題歌らしい。といったレベルの認識で戯画というメーカーの名前も意識していなかった。そもそもゲームはポケモンぐらいしかやったことがなかったためゲームに歌がつくってどういう状況なんだと?思った覚えすらある。(余談だがポケモンはよく考えると極端にストーリー性が削がれていて、OPもついてはいるものの、毎回流れるので飛ばすものである。というか子供のころはAを連打していたのでちゃんとフル尺で聴いた・見たこともなかった気がする。そのように考えると大量のテキストを読ませて、歌や音楽で演出するというノベルゲームは真逆の存在だ)

当時、周囲は割とエロゲーをやっている人が多かったのだが、自分はあまりオタク趣味を積極的に開示する感じではなく、ゲームもやっていなかったので一番盛り上がっていた頃のノリというのは残念ながら体験できなかった。Twitterアイコンに空を使っている人が当時のフォロワーにいた覚えはある……程度の距離感であった。エロゲー曲は聴くものの、エロゲメーカーについては「Key, Leaf, Type-Moonが戦争をしているらしい」程度の認識であった。

2013年ぐらいになると携帯端末からYouTubeが観れるようになったことも相まって、『いろとりどりのセカイ』『猫撫ディストーション』『グリムガーデンの少女』などのムービーにも力が入ったエロゲソングを視聴する機会が増えた。戯画作品のなかでは特に2013年の『BALDR SKY ZERO』のOP『WING OF ZERO』を繰り返し見ていた。イントロが完璧すぎると思う。

エロゲーを本格的に始めるのが2014年ぐらいからである。そのころにはソーシャルゲームの台頭に伴って、エロゲブームもかなり下火になっていて、周囲でやっている人も少なかった。ようやくそのころになって戯画という大きなメーカーがあり、いろんなブランドは戯画のパートナーブランドだったりするらしいといった認識をするようになった。流石にそのころになると名作と呼ばれる『BALDR』シリーズが名高い作品であることもそのころになると明確に認識するようになっていた。しかし『BALDR SKY』のプレイ動画などを見ても古臭さを感じて、イマイチ魅力的に見えなかったこと、そもそもアクションゲームが苦手であったこともあってプレイには踏み切っていなかった。

BALDRシリーズをプレイするきっかけになったのが、エロゲソングのコンピレーションライブEGG2016である。KOTOKOの『jihad』『Face of Fact』は会場が壊れるレベルで盛り上がっていたのだが、その前に歌われた、BALDR HEARTのOP 『Sign of Suspcion』のOPが映像含めてカッコ良かったことも印象的に残った。(今見てもEGG2016のセトリはすごい。好きな曲しかない。EGG2016のCDもすごいので伝説的。)

『BALDR HEART』は絵が好きだったこともあって、プレイしたいと思ったのだが、どうも続編であるという情報から、まず『BALDR SKY』を手始めにプレイした。特に『BALDR SKY』は体験版にレインルートがほぼすべて入っていて、試しやすかったということもある。体験版をプレイすると、重厚なSF設定がなされた世界観に一気に引き込まれ、すぐに新宿のソフマップに(当時はまだエロゲを売っていた!)本編を買いに行った。アクションが苦手なので時間はかかったものの、なんとかクリアした。長いゲームなので多少ダレている感じは感じたものの、最後の戦闘で流れる『jihad』のシーンなどは胸が熱くなり、今でもエロゲー屈指の名シーンだと思っている。
世間的には『BALDR SKY』 の方が高評価であるが、その次にプレイした『BALDR HEART』の方が個人的には好きである。まずアクション部分がだいぶやりやすくなっていた気がする。兵装少女システムのおかげで、どの武装を使いこめばどの武装がアンロックされるかが分かりやすいし、敵を破壊した時やフォースクラッシュ発動時に入るボイスも可愛くていい。(「愛の前には無力です!」とか。)またシナリオ面も良く、「仮想世界の少女が花を摘みたいと願ってから、仮想空間に死体が残るようになった」という『BALDR Force』以来語り継がれている作中のフォークロアをうまく活用していたところが特に気に入っている。そんなこともあって、『BALDR HEART 』のサバイバルはなんかずっとやっていた覚えがある。また『BALDR HEART』をやり込んでいる海外のファンとも交流したりするきっかけとなった。
『BALDR HEART EXE』 も発売からは1年ぐらい経ってからだったと思うがプレイした。最難関ステージ、永遠の悪夢は結局あまりまともにクリアできなかったが…(重力でまとめて倒す奴をやってしまった。)

BALDRシリーズにある程度ハマっていた時に最終章となる『BALDR BRINGER』の制作が発表になった。体験版のファーストインプレッションはイマイチだったものの、しばらくやっていると兵装ガチャ的な部分が楽しく感じられ、結局購入に踏み切った。(といってもクリアするのはSky Zeroなどを先にプレイしたためだいぶ先になるのだが…)

同時に発売されたMASTER PIECE CHRONICLE も買った。クリスマスぐらいにクソデカい箱を持ち帰ったことをよく覚えている。現行OSに対応したBALDR Forceはこれぐらいしかなかったため、これのおかげでようやくForceがプレイできるようになった。

『BALDR BRINGER』には戯画ライブの先行抽選権がついていた。まああまり他の戯画の曲は知らないがKOTOKOは好きだし申し込んでみるかという気持ちで二部の通し券を買った。

ライブの翌日に海外旅行にいくことになったりで正直いってあまり乗り気ではなく、Twitterでチケットを譲ろうかなともツイートしていた覚えがある。しかしなんだかんだで、先行販売される『GIGA BEST ALBUM-戯画ベストアルバム-』が欲しかったこともあり、行くことにした。当日は桃井はるこが『LOVE.EXE』をやって、オタクが「EXE」の部分の振りをやるのを見て表現方法に感心したり(昼の部ではこの振りをやっているオタクは(おそらく)桃井はるこファンだけだったが、夜の部では他のオタクとも動きが一体化するようになっていて感動した覚えがある。)、「オワタ式バルド」という動画を投稿しているmomomoさんによるコンボ動画と併せたKOTOKOのBALDR曲の歌唱などを見れたりファンにとっては非常に充実した内容になっていた。他の戯画曲を好きになるきっかけともなり、戯画のカフェシリーズをまとめたRoyal Sweet Collectionを買う契機にもなった。

今は亡きディファ有明で行われたライブ。

戯画の晩年については、新島夕がライターをして、鈴平ひろが原画をしている『閃鋼のクラリアス』に興味を持ったりしたが、体験版のアクションがあまり楽しくなかったため結局買わずに終わってしまった。その他のVTuber企画やVTuberとのコラボ企画、ソシャゲの『BALDR ACE』なども正直言って興味の対象外でありプレイしたりすることもなかった。『パルフェリメイク』もあまり絵が好みではないなと思って買うのを見送った。というわけで結局リアルタイムで買ったのは『BALDR BRINGER』までとずいぶん薄情なファンだったわけである。2022年11月に、メーカーの終了が告知された時も、悲しみもある一方で、あまり驚きはしなかった。特に戯画は結構開発にお金がかかりそうなゲームを硬派に作り続けている一方で、無限に人気キャラのタペストリーや抱き枕を作って売り続けるといった昨今では比較的手堅く見える(?)商売はやっていない印象で、経営が大丈夫なのだろうかと傍から見て不安になっていた。

終了告知直後には近年では最も評判だった『アオナツライン』を急いで買ってプレイしたり、名前が好きで気になっていた『君の瞳にヒットミー』を買ったりもした。

さて戯画のブランド終了が近づく中、様々なイベントが行われていて、それにも参加した。まずは、3/25に行われたKOTOKOのオンラインライブを視聴した。(最初の方だけまだYouTubeで観れる。)

伝説の電波ソング『さくらんぼキッス〜爆発だも〜ん〜』に始まり、KOTOKOが戯画とタイアップした全曲をやる伝説的なセットリストで、直前まで存在を忘れていたのだが、見始めてからは画面から離れられなかった。特にBALDRシリーズの楽曲をすべてやるのは後にも先にもなさそうで、本当にこのような機械があったことは良かったと思う。(できればリアルでもやってほしいが…!)
またエロゲーメーカーという性質上、歌手にも抵抗があるのかなとおもっていたが、ライブ中では『マテリアルブレイブ』や『閃光のクラリアス』などの有名とは言えないシリーズなどにも言及があって、KOTOKOが本当に戯画とチームとしてゲーム作りの一環として曲作りに取り組んでいる様が伝わってきて感動した。
そしてライブの後には謎のプロジェクト『BALDR SKY Full Dive』の告知がありファンを驚かせた。内容としては、KOTOKOのゲームソングアルバム『Bible』 にゲームソングに関係ないのに収録されていた『言弾-KOTODAMA- 』をバックに、カゲロウがインペリアルファイナルで神父を攻撃する3DCGアニメーション新規要素も入った新規映像で見ごたえがあった。このライブに触発され、DL版の最終セールで何本かゲームを買ってしまった。(香典)

ライブをきっかけに、流石に流れ惜しくなり、あまり興味のないコラボカフェとかにも行ったりした。コラボカフェは展示があったり、OPが流れていたり、コースターもらえたのは良かったのだが、戯画を語り合える友達とかと行かないと面白くないかなという印象もあった。(友達がいない!)

入口。
BALDR HEART EXEのパッケージはBALDRシリーズの中でも一番好き。

メロンブックス受け取り館でやっていた展示(GIGA THANKS FESTA)も見に行った。パッケージイラストを展示するこじんまりとした展示であったが、何人か人が来ていた。

こじんまりとした展示。

そして正真正銘最後のイベントとなったのが、『戯画Final Day』である。情報公開が直前までなく、何をやるのかわかっていなか不明瞭だったが、3/25のライブの視聴会をやるとの情報を得て開店の12時に合わせ、チケットを買いに並んだ。開店ギリギリにつくと30人ぐらいの人間が並んでいた。会場では余ったノベルティの配布と過去作品の展示が行われていた。BALDR BRINGERのハンドスピナーなどの謎グッズや、Lyceeの配布カード、予約特典などの色紙などが配られていたのでもらった。BALDR SKY  Dive2発売時の謎の配布カードなどもあって面白かった。

BALDR BRINGER発売時はたしかにハンドスピナーが流行っていたなぁ

その後18時から行われたライブビューイングは最初はイマイチ盛り上がり方が分からずにシーンとしていたのだが、スタッフの方が積極的に煽って行ったことによって、徐々に盛り上がっていき、『jihad』ではゲーム内のセリフに絡めてスタッフがコメントをいれたり、最後の方は本物のライブさながらの盛り上がりとなっていた。声出しが解禁されていたのもタイミングが良かっただろう。

30年の歴史を感じさせる品々
コミケかなんかのセットですかね?
シュミクラムのフィギュアとかあったんですね(ガレキ?)
戯画ライブの色紙とか

イベントが終わった後も多くの人が名残惜しそうに展示品の写真などを撮っていた。あまりに寂しかったので、私も追加でDL版のゲームを追加購入してしまった。

戯画の解散に寂しさは当然ある。しかし、多くのゲームブランドが人知れず解散するばかりか、悪い場合は、未完成品を販売したり、ファンからの信頼や人気をダシに資金調達した挙句、延期をくりかえすクラウドファンディングを行ったりなど醜態を晒して終わってしまう。少なくとも現在の戯画は多くの人に惜しまれており、まだ求められているうちに、そして記憶されているうちにブランドに区切りをつけたのは英断だったようにも思える。

終わるとはいっても、とりあえず『BALDR SKY Full Dive』という企画はあるようなので、続報を気長に待ちたい。あとできればfengみたいに『戯画Final Complete Album』みたいな楽曲をまとめたやつも出してほしい。昨今ますますCDは売れなくなってきているので厳しいかもしれないが……。サブスク配信とかでもいいので、名曲を埋もれさせないようにしてほしいという思いがある。

ありがとう戯画!

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