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3月7日、有明で神様に会いました。

「感無量」とか、「滂沱」とか、そういう言葉は大げさで、嘘っぽいものだと思って生きてきた。なのに、どういうことだ。

3月7日、東京ガーデンシアター(有明)で私が体感したのは、感無量であり、滂沱であった。そうとしか言えないのだ。

何があったのかというと。
「世界最高のメロディアスバンド」OneRepublic(ワンリパブリック)の来日公演があったのである!!!!!

胸がつまって、頼まれていた東京みやげを探すこともできず、ホテルの部屋で朝まで泣き、帰りの電車の中でも泣き続けた。涙が止まらないのだ。

OneRepublic? なにそれ?
という方も多いかもしれない。
昨年大ヒットした映画『トップガン・マーベリック』の挿入歌「I  Ain't Worried」を歌っているグループ、といえばピンとくるだろうか。
トム・クルーズ演じるマーベリックが、海岸で若い操縦士たちとキャッキャしているシーンで使われたあの曲である。

バンドのフロントマンであるRyanTedder(ライアン・テダー)は作詞・作曲家としても超有名で、アデル、ビヨンセ、テイラー・スウィフト、アリアナ・グランデ、マルーン5など、超一流アーティストたちの曲をいくつも手掛けている。洋楽をよく聴く人なら、必ず一度はRyanの作った曲を耳にしているはずなのだ。

そんな「世界のRyanTedder」率いるOneRepublicのライブに行けたという僥倖!!! もうそれだけで昇天しそうなのに、東京ガーデンシアターの観客席がめちゃくちゃステージに近いというアメージングな展開!!!
収容人数8000人の比較的小さなハコなうえに、ステージとの距離を縮めるためか、客席が急こう配のすり鉢状になっている。

おおおおお、この距離でRyanが???

スタッフのお兄さんが楽器を調節しにステージを行き来するたびに、過呼吸になりそうだった。

会場が暗転。
スポットライトを浴びてRyanがステージを歩いてくる。歩いてる。
っていうか、生きてる! 本当に存在してる!!
同じ空気吸ってる!!!

動画でしか見たことがなかった、遠い遠い遠い存在の人が、目の前にいる!

キラキラ輝くブルーのスタジャンを着たRyanが、大好きなナンバーを歌いだした瞬間、涙腺が暴発した。

とても個人的なことなのだが、ライブ前の数か月、私のメンタルは死んでいた。ものすごく辛いことがあまりにも続けて起こったために、精神がついていけず、身体は生きているけれど心が外界のことに反応できずにいた。
三半規管もおかしくなって、ふらふらと転んだりぶつかったりして体中にアザを作っていた。

それでもなんとか頑張れたのは、OneRepublicの曲があったからだ。
Ryanの歌声が、励ましてくれたからだ。
この声を聴いていたい。
生でRyanの声を聴きたい。
それが、生きる原動力だった。

私が手を振ったら、応えてくれそうなほど近い場所にいるRyan。
その距離で聴く彼の歌声は、すさまじかった。
歌唱力の高さでも有名なのだけれど、想像以上だった。

声量がすごいとか、ファルセットが天才的とか、そういう技術的な問題じゃない。
魂をひっぱりあげてくれる、そんな感覚があった。
高く、伸びやかに、跳ねるように、会場全体にその声が響いたとき、私の魂に羽が生えて、ふわっと飛び立つような解放感があった。
それまで抱えていた嫌なこと、悪いことを全部、断ち切ってくれたみたいだった。
ものすごく陳腐な言い方だけど、浄化された気がしたのだ。本当に。

気が付いたら、私は叫んでいた。
うわああああああって、震えながら叫んでいた。

海外でのライブ映像で、観客が同じように叫んでいるのを何度も観ていた。
そのたびに
「外国の人は大げさだなあ」
と思っていたのに。

あれは、無意識に出る叫びなんだと知った。
身体の芯から、感動が膨れ上がってくる。圧迫する。
それを抑えきれなくて、思わず出てしまう叫びなのだ。

Ryanの声には、そういう凄さがあった。
神がかりってこういうことを言うのではないか?
人智を越えた存在。
Ryanは、ホンモノの神さまだと思った。
Ryanが、OneRepublicが存在しているかぎり、この世は生きるに足る。
本気でそう思えた。

Ryanが手掛けた曲のひとつである、ビヨンセの「Halo」。
あなたは私の光(halo)である、と歌う感動的なバラードだ。
あの日、Ryanがカバーして歌ってくれた。
その歌詞をちょっと引用したい。

Baby I can see your halo
You know you're my saving grace
You're everything I need and more

Beyonce 「Halo」
作詞・作曲  ライアン・テダー、エヴァン・"キッド"・ボガート、ビヨンセ・ノールズ

これ、あなたのことです、Ryan。
あなたは私の光であり、救いであり、すべてです。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。 新しい本との出会いのきっかけになれればいいな。