民俗小ネタコラム③「芝居」の由来

「芝居」の由来は”芝に居る”?単語の由来となった祭は12月中旬、奈良で行われています。
皆様、「芝居」という言葉は聞いたことあると思います。「舞台」ではなく「芝居」。演劇が好きな方でも、そうでもない方でも、耳にしたことはある単語でしょう。この単語の由来となった祭が12月中旬に、奈良で行われます。それが12月の奈良最大の祭礼「春日若宮おん祭」です。


12月といえばイベント尽くしの月間だが、最大のイベントはおそらくクリスマス(イブ含む)でしょう。クリスマスといえばサンタクロース。このサンタクロース、実は1931年、赤い服に白いあごひげをたくわえたやや太った姿の陽気なおじさん姿が、コカ・コーラ社のクリスマスキャンペーンの時に描かれたのがきっかけです。

以来今日に至るまで、サンタクロースといえばこの姿。おじさん姿が好評だったというより、それだけ世界中でコカ・コーラが飲まれていたのです。さすが世界企業。

さておき、日本文化に話を戻して、いざ、本題。
「芝居」という言葉の由来をば。
皆様、「芝居」という言葉は聞いたことあると思います。「舞台」ではなく「芝居」。演劇が好きな方でも、そうでもない方でも、耳にしたことはある単語でしょう。

この単語の由来となった祭が12月中旬に、奈良で行われます。
それは、12月15~18日にかけて春日大社で行われる「春日若宮おん祭」。「おんまつり」と発音します。厳密には7月から始まっているのですが、クライマックスが12月の3日間でして、1136年に始まって以来今日まで880年間途切れることなく行われてきた祭礼です。

その歴史もさることながら、この祭は日本に伝わる様々な伝統芸能がみることができるお祭としても有名です。あらゆる伝統芸能が奉納されるのですが、その奉納が今回の本題。

12月17日の行事で、「お旅所祭」というのがあります。この時に神様に対して、あらゆる芸能をお見せすることで「おもてなし」をします。このお旅所の地面が芝生なんです。そして芸能を行う場所は「芝舞台」。お客は芝に座って奉納される芸能を見てきました。
芝に座る・・・芝に居る・・・芝居
芸能を見るために芝に座る・・・芝に居る・・・から「芝居」という言葉が生まれたというわけです。芝の上で芸能を奉納する、この行事が由来というのはあまり知られていない気がします。

ちなみに「座」という言葉を演劇集団名や施設名に使うこともありますが(例:歌舞伎座、明治座、前進座)、この「座」・・・公的な場所や市場内における特定の座席(座ってみる席)という説もあります。芝に座る姿を連想しちゃいそうです。

この祭、実は伝統芸能「能」にも深い関わりがあります。能舞台を見たことありますか?能舞台の後ろの壁にデデンと、必ず松が描かれております。これも、おん祭由来です。

おん祭の最中、田楽や猿楽などの古典芸能者が一之鳥居の傍らにある一本の松の前で芸を披露することになっておりまして、その松が春日明神が影向する(ようごう。神仏が仮の姿をとって現れること)とされております。
つまり、じつはこれ、松ではなく神様なんですね、実は。そんな祭での奉納の名残が、現在の能舞台に残っているというわけです。

12月の奈良最大の祭礼「春日若宮おん祭」。他にも「埒が明かない」の語源となった芸能もあったりしますが、なにはともあれ、是非一度「芝舞台」を現地でご覧いただけたら嬉しいです。

「あー、これが『芝居』ね」と納得いただけるかと思います。
そして舞台を見る時などに、ちょっとしたコネタに使える気がしますよ♪

今回は「芝居」のルーツのお話でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?