近代以前の社会を知って、ある社会を理解する

今いる国の社会の仕組みは日本とは違うところが多く、日本人にとって理解が難しいです。しかし理解をあきらめてしまってはいつまでたってもうまく付き合うことができないことになりますので、なんとか理解していかないといけません。ここの組織で働く人たちの言動を見ていると古い昔の「荘園」というものが想起されます。どういうことかと言いますと、荘園が存在していた時代、荘園に住む人たちはそれぞれの領主のほうを向いていました。もし別の領主の荘園が隣接していた場合でも、その隣の荘園とは地縁に基づくつながりが生まれず、個々に独立していました。ここの国のいろんな組織もそのような感じで、たとえば大学は教育省に従うほかに、分野によって管轄省庁があり、農業大学なら農業省、法科大学なら司法省というふうになっていて、それらの大学は横の他の大学は見ずに、上の自分の親分の省庁を見ています。もちろん教育省だけに従っている大学も多いのですが、それでも横の連携が少なく個々に独立しています。会社などでもそのような傾向があるように見えます。とにかく横の連帯がないように見えます。これを荘園制の社会であると思えば、そういうこともあるかもしれないと理解できます。おそらく外見上は近代国家なのですが、中身は近代以前の要素をたくさん残しているということなのだと思います。ですので、外見が近代国家なので近代国家のルールで理解しようということでは、よく分からないことになってしまいます。近代化しろというのは簡単ですが実際にはなかなかそうなるものではないと思いますので、実態にできるだけ寄り添って、ここは完全な近代国家ではないという見方で様々な現象を理解していくことが求められると思います。

(2022年2月16日、アメーバブログに投稿した記事)

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