社会人は会社人?

ふつう社会人というときの人物像というのは、会社で働いている人、それでなければ公務員というようなイメージではないかと思います。そこには商店主や農家というのはあまり含まれなさそうです。私は小さな商店の子どもとして育ちました。ごく短い間だけ会社で働いたことはあり、そのときはいわゆる社会人だったと思いますが、それ以外の人生の大半はそうでない生活をしています。そういう人間からすると、社会人として恥ずかしいとか言われたときに、そういう感覚は知識としては分かりますが、常に違和感があります。いわゆる社会人というのは、会社人(会社の人間)、組織人という意味なのではないでしょうか。今の世の中、社会のすべてのところで、この会社(あるいは役所)のような、大きな組織の論理が正しいとされていて、その論理に従わされる範囲がどんどん増えていっているように感じています。商人、職人、農家、漁師など、そういう論理とは違う仕組みで仕事をしている人も少なくないと思いますが、どんどん組織の論理に取り込まれていっているような気がします。少し前に話題になった日本学術会議の問題もそういう傾向の延長だと思いました。学者とか、大学という、専門的で、独自の論理で動いている世界に、組織の論理を当てはめてそれに従わせようとしているように見えました。以前は、社会の中に部分社会が認められて、部分社会には部分社会独自の論理がある程度、許容されていたと思うのですが、それが薄れているように思います。芸人に社会人の自覚を求めたりとか……。

(2022年1月30日、アメーバブログに投稿した記事)

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