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2022年9月の俳句。

看板に 牧のアイス 秋暑し

今年の夏は 御宿町の町営プール、ウオーターガーデンで 売られているアイスクリームがおいしいという話を聞いた。なんでも 地元のO牧場の牛乳を使って作られたものだという。
しかしプールに行くこともないので買う機会もールもないままに プールは閉園してしまった。
しかし九月に入って 浜通りを歩いていると そのO牧場のアイスクリームありますという看板が出ていたという。
まだまだ アイスクリームがおいしい季節である。


干物焼く 宿に客あり 秋の朝

朝にゴミ出しで外に出たときに 近くの宿屋さんから干物を焼いているにおいが通りに漂っていた。
ああ、昨日はお客さんが入ったらしい。鯵の開きは朝食の定番メニューだからすぐにわかる。
昔民宿をしていたのでなんとなくなつかしくもある。
外国人のお客さんが来た時に朝食の鯵のひらきを見て、「オーフィッシュ」と言って驚いていたのが印象に残っている。


秋めくや 「今はもう秋」 歌ってる

人間 あまりに暑いと 歌う気もしないものだが、少し暑さが緩んでくると
自然に歌心が動き出す。
「今はもう 秋 だれも いない海」
人もまばらになった浜辺を見ると 本当に歌の通りだと思う。


山も海も 秋の土俵に 呼び出せり

日との声が一番通るのは 秋である。そして よく通る声と言えば相撲の呼び出しの声である。
今日も呼び出しの通夜のある声で 土俵に 山や海のしこ名を持った力士が登場する。


どこからか 浜の呼子よびこの 秋涼あきすずし

浜のどのあたりか 呼子ののような笛がゆったりと聞こえて来た。
夏の鋭い笛ではなく、のびやかな笛の音が秋の涼しさを伝えていた。


ほのかなる 調べをひいて 流れ星

流れ星そのものには 音はないのに 何かほのかな調べを創造してしまうのはアニメや音楽劇などでそれらしい音を聞いているせいだろうか。
ウインドチャイむという楽器があるが、これもどこか流れ星を思わせる調べである。


長き夜よに 五輪マラソン ラジオから

長き夜は 秋の季語である。夜の長さだけをとれば 冬の方が長いのだが、夏の時期から比べると明らかに夜の長さを感じ始めるのが秋なのでそういうことになったようだ。
ラジオを枕元に置いて長き夜の音もにしている人は少なくないだろう。
ラジオと家は音楽番組が中心であろうが、オリンピックなどの海外での実況放送も印象深い。特に マラソン中継などはそうだ。
バルセロナオリンピックで 銀メダルを取った有森裕子さんのときは うつらうつらしながら聞いているような寝ているような 感じのときに ラジオから突然歓声と拍手が流れてきて、はっと目覚めたときに、日本の有森裕子」ただいま 二番で スタジアムに戻ってきました」」というアナウンサーの声にはっとして意識が呼び戻されたのを今でも憶えている。


傘寄せし 君抱く猫に秋時雨

猫は雨が嫌いである。
突然降り出した 冷たい雨に 自分はさておき、知り合いの猫に傘を差しかける人は心優しい人である。

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