藁中のらくがきnote #8

2021年7月18日 15:44

先日、問題（この表現は間違っているかもしれません）になっていたイラストの模倣や、昨今多い無断転載について書いておりますので、（しかもめちゃくちゃ長いです）
見たくないよ！という方は、下の目次から「祈り」の項目まで飛んでくださいませ。

SNSのアカウントも、ひとつの「美術館」

昨今、展示会やイベントを主催してくださる方も多く、日々素敵な企画が開催されています。
絵を描く人も、きっとどんどん増えているのだと思います。
今や、絵を無料で見ることができるのは当たり前に近いことで、
ほんの数クリックでその絵を自分のものとして保存・使用できる時代です。
絵を公開しているのにはそれぞれの理由があると思いますが、
大抵は「せっかく描いたのだから多くの人に見てもらいたい！」という気持ちだと思います。
「いいのが描けたから、みんな使っていいよ！真似していいよ！」というつもりなのであれば、その旨を表記するはずです。

わざわざ全ての作品に「使用禁止！」と書かないのは、
言わなくてもわかることであるはずだからだと思います。

美術館で見た絵は触れたり、盗んではいけないことがわかるのに、
ネット上で見つけた絵は盗んでも、複製してもいいと思うのは何故なのか、どうしても理解ができません。

（もちろん、描かれたご本人に保存や使用の許可を取られたなら話は別です。待ち受け画像にしたい！といった、個人的な利用のみでも作家様に声をかけましょう。許可を頂けないこともあると思いますが、不快に思われる作家様は少ないのではないかと思います。）

何気なくSNSに載せた自分の顔写真を、全く知らない誰かが「これは自分の顔です！」としてSNSアイコンとして使っていたら？
その全く知らない誰かのアカウントが「アイコン可愛い（格好いい）ですね！」と言われて「え〜全然、可愛く（格好よく）ないです！」なんて答えていたら？
…不快に思わない人はほぼいないと思います。

「無断転載」や「模倣した作品の発表」はこれぐらい人を不快にさせる行動です。
作品の発表をした場所が、展示会などの場であれば、主催者様にも多大な迷惑をかけてしまいます。
その作品を気に入って、購入してくれた方がいらっしゃったら、ご購入者様をとても傷つけますし、「騙している」と私は感じます。

練習として、好きな絵を真似て描いてみるのは一つの上達方法だと思います。
でもそれは発表するべき作品ではありません。
練習のノートの中に収めておくものです。

模倣をされたうえに発表されてしまった作家さんはもちろんのこと、
世界はとても広いので、被害にあった作家さんのことを全ての人が知っているわけではありませんから、たまたま知らなかった人や、気づかなかった人が騙されてしまうのは本当に悲しいことです。

創作活動をされているSNSのアカウントも、創作作品の画像検索結果も。
全部ひとつの「美術館」だと思うべきなのではないかと私は考えます。
年がら年中、自分の作品だけの個展を行える美術館というイメージ。

別の美術館で見た素敵な絵を真似たり、場合によっては盗んできて、
その絵を自分の美術館に飾るのは恥ずかしいことです。
自分の美術館なんだから、自分の絵を飾りましょう。そのほうがずっと素敵です。

じゃあリツイートなどの拡散行為はどうだろう？
自分の美術館（タイムライン）を覗きに来てくださった方達に、
この作家さんの美術館もおすすめです！とDMを設置したり、おすすめする…ような感じかな？

偉そうなことを長々と書いておいてなんですが、
私はいつも絵を描く時に「どなたかの作品に似てしまっていたらどうしよう」と怖くなります。
私は植物をモチーフに描くことが多く、同じように植物をモチーフに描かれる作家さんはたくさんいます。
そしてもちろん、同じ植物をモチーフに描かれている作家様の作品が私は大好きです。SNSも拝見しています。

ですから、無意識にどなたかの作品に似てしまっていたら…とビクビクしていたりします。多分、同じように不安を抱えながら制作をしている作家さんは多いのではないかと思います。
似せられた！と感じた方からしたら、「無意識」も「知らなかったから（無自覚）」も同じ言い訳でしかないと思うので、
よくあるモチーフを描く身として、この意識は絵が凝り固まってしまわない程度に、持ち続けたいなと思います。