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相手の成長のペースを信じる、ということ

40代ともなると、仕事でもサークル活動でも年下の方に何かを教える機会が増えてくる。

自分自身の経験してきたことが、誰かの役に立つことは教える側の喜びでもある一方で、思ったように伝わらないことも多い。

クライアントからの仕事に関してのお話の中でも、部下(もしくは上司)に対しての不満を聞くことがある。

「やる気のある人が少ない」
「何度言っても、その通りにやらない人が多い」
「最近の新入社員(バブル世代の人)は自分から学ぼうという気持ちが少ない」

一方で、今の時代はパワハラと受け止められる可能性もあり、教えたいのに伝わらない苦悩をされている方は多い。

教える側がどんなに頑張っても、教わる側の気持ちが変わらないことには成長に繋がらない。その先には、相手のやる気を出すには?という話題になりがちだ。

さて、この課題にどう取り組むか。


手段と目的が逆になっていないか

仕事であれば、部下の成長が業績につながり、結果的に上司の成果にもなる。

いろいろ経験をして優秀な上司ほど、自分の能力をみんなに教えて、素晴らしい成果が上げられる、と思うだろう。

しかし、部下も人間であるし、他人を思い通りに動かすことは、できない。

過去と他人は変えられない
あなたが変えられるのは自分自身と未来だ

カナダの精神科医 エリック・バーンの言葉

では、なぜ部下が思い通りにならないといけないのか?

チームの業績を上げたい
自分のやり方が正しいことを証明したい
自分が部下を動かせる人だと感じたい

会社のために頑張る、と言うのもあるけど、
自分のやり方が通用していない、部下を育てられていない不安もあるのかもしれない。


本来の目的は、より良いチームにして業績を上げること。
その手段として、上司が部下に自分の経験ややり方を教える
しかし、その手段がうまく効いていない、ということ。

教えたのにやれるようにならない部下を変えることに時間や労力を割くことは、手段が目的になってしまっているのではないか。

私たちは、本来の目的を達成するために、別の手段を選べるのだ。


プールで学んだこと

話は変わるが、ここ一年くらい、週一回程度プールで泳いでいる。

水の中は、逆らうほどに、進まなくなるし、体力が奪われる。
前に進もうと焦って力が入ると、さらに抵抗が増してくる。

力を抜いて、水の流れを感じながら、自分の進みたい方向に指先をむけ、水をかく。
いきなりグイッと力を入れると抵抗になるので、慌てず、焦らず、今のスピードよりほんの少しだけ力をかければいい。と気づいた。

水の中は、全てを見透かされたような気持ちになる。

力を抜いて、頑張りすぎないくらいが、よく進む。

ふと、水の中は人生と同じなのかな、と感じた。


頑張って、熱を入れて部下に指導すること、自分と同じようにできろと願うことは、水の中で力任せに水をかくのと似ている気がする。

水には流れがあって、一番抵抗の少ないフォームでこそ、水中を楽に進むことができる。

人にはその人の流れがあって、その人の一番スムーズなペースがあって、それが一番無理なく楽に進むことができる。


本当に必要な助けは何か?

本来の目的は、このチームの最大の力を発揮させて、会社の業績に貢献すること。無い袖は振れない。

そのためのあらゆる手段を試す。
自分の経験ややり方を力任せに教えるのではなく、相手のペースを信じて一番抵抗のないフォームを一緒に探す。

待つ、ということは受け身に見えるけど、心に余裕がないとできない最も難しい育成方法だと思う。


聞き屋自身の反省

私自身、コーチの仕事もクライアントの変化をサービスにしているため、人の成長についてはずっと向き合ってきた課題だった。

その一方で、クライアントが目に見える変化することが、コーチとしての実力と思い込んでしまい、なかなか一歩を踏み出せないクライアントへ焦る気持ちも感じていた。

今は、植物を育てるように、どんな方のお話しも聞いて、必要な肥料と水をお渡しするだけ。芽が出て、花が開くことを、信じて話を聞き続けて、待つ。

その人自身が心地よく安心できるペースが、必ずあることがわかったから、もう焦りはいらない。

日々、クライアントの皆さんからも学ばせていただいている。ありがたい。

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