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あふろとおバカな家族たち③ 「おとんのすかたん語録」


「すかたん」

①あてがはずれること。
②見当違い、とんちんかん、失敗。
③私のおとん

(※③は「あふろ辞典」より抜粋)


すかたんと言えば、おとん。
おとんと言えば、すかたん。
表がすかたんで、裏がおとん、
表裏一体で紙一枚。

タンタン!
スカタン!
スカタンタン!!


あふろは無表情になると
紅茶を一口すすり、
カップをテーブルにそっと置いた。

そして、
「おとんのすかたん語録」を手に取ると、
ページをめくりはじめた。




p.10
「見た目は……」


ある朝のこと。


テレビを観ていたおとんが

「この人、なんちゅう名前やった?」

と聞いてきたので、

「えー?」

とテレビを覗くと、
画面には三田村邦彦が。

私「あー、三田村邦彦や」

おとん「えっ?? なんて!?」

私(耳遠いなー)
 「みたむらくにひこ!!」

おとん「えー!? なに!?

 見た目はクリントン!?





p.29
「オーストラリア」


とある休日の朝。


テレビで情報番組を観ている
おとんとオネーギン。
そして、傍で新聞を読んでいるおかん。

番組の中で
オーストリアの紹介になったとき、
おとんが急に騒ぎ出した。

「うん!? ばぁちゃん!(おかん)
ワイら、学校で『オーストラリア』って
習うたなぁ!?」

おかん(新聞見ながら面倒くさそうに)
 「あー、それがどないしたん」

おとん「今、『オーストリア』に
 なってるんやなぁ!!」

おかん(無視して用事のため退場)

オネーギン(ウソやろ……)
     「いや、『オーストリア』と
 『オーストラリア』は別の国やで!!」

おとん「あー!? そんなことあるかい!!
 ほんなもん『オーストリア』と
 『オーストラリア』て、

 そんなおんなじような名前の国が
 あるわけないやろが!!」

オネーギン「あるわけないやろったって、
 実際にあるんや!!」

おとん「ほなどこにあるんか言うてみい!」

オネーギン「『オーストラリア』は
 南半球で、
 『オーストリア』はヨーロッパや!」

おとん「…………」

オネーギン「……」


しばしの沈黙のあと、



「……ほなまぁ、あれやな。

『大阪府』と『大阪市』みたいなもんやな」

オネーギン「いやいや、ちがいますて!!」


もはや、おとんは聞いておらず、
視線をテレビに戻し
またダハダハと笑っていた。




おとんのすかたんは
心の財産。

笑いの遺産は受け継いだ。


そして、
あふろ家には
先祖代々伝わるものがあり……


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