M-1GP2019ミルクボーイ 最終決戦 ネタ分析

こんにちは!ホスピタリ将です!

こないだ久しぶりに某有名店のハンバーガーを食べました。
元々学生の頃とか、一人暮らしでもハンバーガーって食べない人だったんですよ。
でも昼めし作るのが面倒で、
おいしそうな月見のCMもしてたんで、
久しぶりに食べたんですよね。

そしたら腕と首と脚がチクチクして蕁麻疹みたいの出ちゃって。

実はホスピタリ将、これ最近あるあるで。
以前も北海道で有名な水産会社のレストランで食べた後も軽い蕁麻疹出たんですよ。
その後もタガが外れたように、事あるごとに蕁麻疹出るので
怖くなって血液検査も行ったんですけど、
結果食べ物のアレルギーは無かったんですよね。
結果は「ほこり」とかに弱いねくらいだったんですよね。

でもさすがに家でも店の食事でも、夜中寝ぼけていても
ほこりは食ってないと思うんですよね。

だから俺の細胞が「この食材、食べ方はもうお前に合わないよ」
ってのを教えてくれていると思うんですよね。

それは僕の体調になのか、年齢になのか、生活に合わないのかわからないんですけど
舌は喜んでも体はあんまり好きじゃないってのを教えてくれていると思うんですよね。
ちょうど食に興味を持ち始めたので、これは体とコミュニケーション取って
今後の生活に役立てたいなと思います。

ボタニカルとか有機とか興味あるワードなのでね。

でもびっくりするぐらい妻がアンチ・ボタニカルで
何ならウェルカム・ケミカル、バッチコーイ・ケミカルなんですよね。
でも僕より健康なんです。腹立つね。

妥協せず、好きなもん食うのがどうやら健康の秘訣だそうです。
確かに僕より、悔しいほど病気していないw

そんなわけで、今日はミルクボーイさんのM-1GP2019優勝ネタ分析です。
牛乳がお腹に合わない人にも大丈夫だと思います。

●分析方法●
漫才ネタの文字起こしして、面白い部分・視聴者からの笑い声が発生した部分を笑える箇所として、その笑える箇所の前後のやりとりのみ抜粋しています。(内容や視聴者の笑い声を聞いて総合的に私が笑える箇所として判断しています。)笑える箇所は時間軸に沿って掲載しています。(皆さんには参照映像等と共に本ブログを見て頂くとわかり易いです。)また笑える箇所・解説を太字で加工しています。

笑える箇所を「ウケる技術」という本に記載がある40の技術を使って振り分けをしています。「ツッコミ」「カミングアウト」etc…などのウケる技術に振り分け、解説を付け加えています。
内容によっては「ツッコミ+カミングアウト」など2つのウケる技術を組み合わせることもあります。こちらも私の主観であり、恐らく「こういった印象を与えたいだろう」と推測している内容になります。

省略のため以下の「ボ」「ツ」「ボツ」でネタの役割を表現しています。
「ボ」=ボケ役の発言
「ツ」=ツッコミ役の発言
「ボツ」=ボケ役・ツッコミ役の両方の発言

●分析対象ネタ●
M-1GP2019・ミルクボーイ・最終決戦
漫才時間269秒
笑える箇所41回(約6.6秒に1回発生)
ネタ前半に笑える箇所20回、ネタ後半に笑える箇所21回。

●シナリオ●
起:母が好きなお菓子の名前を忘れる
承:最中が最有力になる
転:最中の家系図がわかる
結:結局最中ではない

●漫才ネタと笑える箇所と分析●

笑える箇所と前後の文章を載せています。

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ツ:どうもミルクボーイですお願いしまーす
ボツ:ありがとうございますうー
ツ:あーありがとうございますー!今「ねるねるねるねの2の粉」をいただきました!ありがとうございますねーもうこんなんぼあってもいいですからね!(ウケる技術「ロールプレイング」+「サプライズ」:お客さんからプレゼントを貰う演技をする。一部にだけ嬉しい懐かしいプレゼントを受け取る。)

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ボ:いきなりですけどねぇ
ツ:ええ
ボ:うちのおかんがね
ツ:もうーわからへんのがあるんでしょ?(ウケる技術「カウンター」+「天丼」:決勝ネタと同じネタの出だし。毎回このパターンで漫才が始まる。相方も慣れているためかぶせ気味で返す。)
ボ:そやねん
ツ:そうや思たわー、うーん。

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ボ:好きなお菓子があるらしいねんけどな
ツ:あ、お菓子ね?
ボ:その名前をちょっと忘れたらしくてね(ウケる技術「サプライズ」+「決まり文句」:好きなお菓子なのに名前を忘れてしまう。ミルクボーイのお決まりのパターン。)
ツ:お菓子の名前忘れてもうてん?どうなってねんそれ!(ウケる技術「ツッコミ」:好きなお菓子なのに忘れるという矛盾を指摘する。)
ボ:いろいろ聞くんやけどなもう全然わからへんねんーな!

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ツ:わからへんの!ほなら俺がおかんの好きなお菓子?一緒に考えてあげるからどんな特徴言うてたか教えてみてよ
ボ:あのー和菓子でね
ツ:あ、和菓子
ボ:薄茶色のパリパリの皮で餡子を挟んだやつ(ウケる技術「裏切り」:ほとんど答えが浮かびそうなものである。)
ツ:もー、最中やないかい!その特徴はもう完全に最中やがな!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」:ミルクボーイのお決まりのツッコミ「○○やないかい!」。)

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ボ:俺も最中やと思ってんけどな
ツ:そうやろ?
ボ:おかんが言うにはスーパーで子供がそれ欲しくて泣いてたって言うのよ
ツ:あ~ほな最中と違うか
ボ:うん
ツ:最中で子どもごねへんもんねー(ウケる技術「同調」:最中でごねる子どもの光景を思い浮かべられないことに納得する。)
ボ:せやねん
ツ:最中はあんなに甘いくせにね子どもから全く人気が無いんやから(ウケる技術「カウンター」:最中にとって耳の痛いところを冷静に分析して言う。)
ボ:せやねん
ツ:下手したらね俺らより人気ないんとちゃう(ウケる技術「便乗」:最中が人気無いのに乗じて、若手芸人がそれを踏み台にして自分の人気を確認しようとする。)
ボ:それはないやろ(ウケる技術「カウンター」:自分たちのことだが、色を付けて判断せず、歴然とした差を感じている。)
ツ:それは無いかー!最中の方が上かー!最中の方がまだテレビ出てるかあれねー(ウケる技術「自分ツッコミ」:芸人ゆえ、判断がテレビに出てる回数で売れるかどうか人気かどうかを判断する。)
ボ:せやでぇ(ウケる技術「同調」:同じくテレビを基準にした判断に納得する。)

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ツ:悔しいけどねぇ!最中とちゃうがなほんだら!もう一度詳しく教えてくれる?
ボ:食べたら皮が全部上あごにひっつくいうねん。(ウケる技術「裏切り」:悩ませて申し訳ないが、最中寄りの発言を暴露する。)
ツ:最中やないかい!全部上あごに持ってかれんねんから!皮とあんこのハーモニー感じたことないのよあれ!最中に決まりやそんなもん!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「悪い空気」:最中を好きな人や関係者に悪いが正直な感想を述べる。)
ボ:わからへんねんで?!
ツ:何がわからへんのこれで!
ボ:最中やと思ってんけどね
ツ:そうやろ?
ボ:おかんがいうには、1個食べ出したら止まらない言うて(ウケる技術「裏切り」:先ほどの違い、最中と逆寄りの発言を暴露する。)
ツ:ほな最中とちゃうやないかい!最中は一口食べたらすぐ止まるのよ!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「カウンター」:最中を激しく否定する。最中であることを否定しているより、最中自体を否定しているように聞こえる。)
ボ:おお
ツ:最中2個目入ってる奴見たことないんやから!(ウケる技術「レッテル展開」:最中が食べだしてもすぐ止まることを強調したい。)
ボ:そやねん
ツ:最中の大食いギネス記録は2やねんあれ!(ウケる技術「レッテル展開」:最中が食べだしてもすぐ止まることを強調したい。)
ボ:そやねん

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ツ:あれ、ほなもうちょっと何か言ってなかったか?
ボ:皮の模様がなんか怖いらしい
ツ:最中やないか!あれ菊の花とかね、家紋とか見た目怖すぎんやから!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「悪い空気」:最中というスイーツに感じる可愛さよりも怖さを漏らす。)
ボ:そやねん
ツ:最中と山根会長は見た目怖いのよあれ!(ウケる技術「ボキャブラリー」:見た目の怖さと中身の違いを時事ネタで例える。)
ボ:そやねん
ツ:最中に決まりよそんなもんわ!!何がわからへんのよこれで!
ボ:最中やと思うねんけど
ツ:そうやろ!
ボ:おかんが言うにはお菓子の家を作るとしたら、絶対そのお菓子も使ういうてんねん!(ウケる技術「裏切り」:先ほどの違い、最中と逆寄りの発言を暴露する。)
ツ:ほな最中ちゃうやないかい!お菓子の家の施工にね最中は関わらへんのよ!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「ボキャブラリー」:建築用語を用いてツッコミを行う。)
ボ:そやねん
ツ:だって最中の模様は怖いんやから!お菓子の組事務所みたいになるからね!最中ちゃうやないかいほなら!もうちょっと何か言ってなかったか?(ウケる技術「詭弁」:模様が怖いことを押し出して屁理屈つけて説明する。お菓子の家は洋風だからあの模様は確かに合わない。)

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ボ:関係性でいうと、マカロンの先祖らしい。(ウケる技術「裏切り」:先ほどと違い、最中寄りの発言を暴露する。)
ツ:最中やないかい!どこか面影あるやろ!マカロンの曾曾曾爺さんが確か最中なのよ。最中に決まりそんなもん。(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「ディテール化」:最中の家系図を事細かに作り上げる。)
ボ:わからへんねんけど
ツ:何がわからへんねん!
ボ:最中や思ってんねんけど
ツ:そうやて!
ボ:おかんが言うには、お菓子というよりもスイーツに近いという。(ウケる技術「裏切り」:先ほどと違い、最中と逆寄りの発言を暴露する。)
ツ:ほな最中とちゃうやないかい!最中はお菓子というよりお供え物やねんあれ!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「ボキャブラリー」:仏壇の上にあるイメージが確かにある。お菓子から神格化したイメージとなる。)

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ボ:うん
ツ:最中ってそういうもんやねん、最中ちゃうやん!ほなもうちょっと何か言ってなかった?
ボ:関係性でいうともみじまんじゅうの従兄弟らしいねん!(ウケる技術「裏切り」:スイーツと言ったが、いとこが和菓子だと言い、最中寄りの発言を暴露する。)
ツ:最中やないかい!何となく似てるやろあれ!最中の親父と弟の子どもがもみじまんじゅう!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「ディテール化」:最中の家系図を事細かに作り上げる。」)
ボ:わからへんねんだから!
ツ:何がわからへんの、これで
ボ:最中やと思うんやけど、おかんが言うにはなこうやって喋ってたら食べたなってくるって。(ウケる技術「裏切り」:最中は喋っていても食べたくなるものではないと思っている。)
ツ:ほな最中とちゃうやないかい!誰も今最中の口になってないもん!絶対最中ちゃうよ!あれほなもうちょっと何か言うてなかったか?(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「カウンター」:最中が人気が薄いお菓子であることを混ぜながらツッコむ。)

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ボ:関係性でいうと八つ橋の腹違いの兄弟らしいねん。(ウケる技術「裏切り」:先ほどと違い、最中と逆寄りの発言を暴露する。)
ツ:最中やないかい!あれ見た目は違うけど、他人とは思われへんやろ!最中の親父が京都に単身赴任した時にできた不倫相手の子どもが八つ橋とおたべやないかい!最中で決まりよだから!他なんか言うてなかった?(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」+「ディテール化」:八つ橋と最中の家系図を事細かく作り上げる。)
ボ:関係性でいうと最中の双子らしい。(ウケる技術「裏切り」:最中寄りではない発言から一転、最中の双子、つまり最中と言う。)
ツ:最中やないか!最中の双子は最中や!おかん家系図わかってる?最中の家系図わかってる?(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」:最中の双子は、婉曲的に最中であることを視聴者に気づかせている。)
ボ:家系図?

ツ:マカロンの先祖が最中や、ほな最中の従兄弟がもみじまんじゅう、ほんで、最中の腹違いのが八つ橋とおたべ、ほんで最中の双子が最中、ほんで最中とアイスの子どもがモナ王やないかい!(ウケる技術「ディテール化」+「キャラ変」:ツッコミ役が最中の家系図でボケ役のようにウケを狙う。おさらいだけでなく、モナ王という新しいキャストも出る。)

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ツ:わからんことない、おかんの好きなお菓子は最中や!
ボ:おかんが言うには最中やないって。(ウケる技術「裏切り」:最中の双子と言っていたが、はっきり言って最中ではないと言い切っていたらしい。)
ツ:ほな最中ちゃうやないかい!だから先言えよ!俺が家系図言うてるときどんな気持ちやったんや!(ウケる技術「ツッコミ」+「決まり文句」:これまで最中の家系図をエネルギーを使って説明していたが、無駄な努力だった。)
ボ:申し訳ないよだから
ツ:ほんまにわからへんがな、どうなってんねんな!
ボ:おとん言うにはな(ウケる技術「裏切り」:新しい登場人物で、しかもおかんと関係が長くよき理解者と思われる。)
ツ:おとん!
ボ:ピザポテトちゃうかって(ウケる技術「ミスマッチ」:スイーツでも和菓子でもない。)
ツ:絶対ちゃうやろ、もうええわ!(ウケる技術「ツッコミ」:これまでの母のヒントに当てはまらない。)

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●技術紹介●

漫才ネタ中に出てきた笑える箇所のウケる技術を紹介いたします。
なお、このウケる技術は「ウケる技術」という本の中に紹介される40の技術を参考にしています。

~空気・共感~ 【場の空気を読みその空気を拾う技術】
「ツッコミ」相手の面白さに気づいて拾う 14回
「同調」相手のネガティブな期待に応える 2回
「カウンター」普通ためらうところを即レスで返す 5回
「悪い空気」雰囲気の悪さを共感し合う 2回
…小計23回

~キャラ~ 【空気・共感モノとは逆に場の空気を作り出す技術】
「便乗」厚かましく相手にねだる 1回
「ロールプレイング」相手を設定に巻き込み演技させる 1回
…小計2回

~前後~ 【会話文の前と後で逆の関係を作ることによって聞き手の期待の逆を行く、良い意味で裏切る技術】
「自分ツッコミ」行き過ぎた自分にツッコミを入れる 1回
「キャラ変」態度を急変させる 1回
「裏切り」相手に次の行動を読ませておいて逆を言う 12回
「サプライズ」相手の期待をいい意味で裏切る 2回
…小計16回

~クリエイティブ~ 【新しい組み合わせを作る技術とベタな共感しやすい連想を展開する技術】
「詭弁」屁理屈をつけて説得する 1回
「ディテール化」話の細部を具体的にして転がす 4回
「ミスマッチ」話の文脈と違うものを組み合わせる 1回
「天丼」一度受けた言葉を再度登場させる 1回
「レッテル展開」相手の行動を一つのレッテルで解釈する 2回
「決まり文句」決まり文句を場面に当てはめる 13回
「ボキャブラリー」面白さが増す語彙を会話にまぶす 3回
…小計25回

〔ウケる技術使用回数 合計66回(17種類)〕
(※笑える箇所は41回ですが、ウケる技術の使用回数が66回ということは一度に2つ以上ウケる技術が使われている部分があるためです。)

●印象●
6.6秒に一回笑える箇所があり、非常に多く感じます。
しかもウケる技術の使用回数は66回。

宇宙の法則の都市伝説では「3・6・9」という数字に大きな意味があり
3が破壊、6が維持、9が再生とされています。
6がこんなに揃うネタは、偶然なのか。狙ったものなのか。
何となくネタの運びも同じリズムの「維持」っぽい雰囲気ありますよね。

すみません、あまりに「6」という数字が多くて興奮して都市伝説方向へ話がずれました。

ウケる技術は一番「ツッコミ」が使われています。
ツッコミが多用されている=優勝への切符になりうると言えますよね。
銀シャリ・ミルクボーイ・霜降り明星・マヂカルラブリーという近年の優勝コンビがウケる技術「ツッコミ」を二桁の数使用しております。

ボケツッコミというべきか、ツッコミが笑いを取りに行っていましたね。
ちょっと最中の人気に対して失礼なことも混ぜて言っている。
このあたりは「カウンター」という技術の使用になりますが、歴代チャンピオンで最多の利用でした。
ツッコミという立場、さらにあの角刈りの正統派な見た目の口から出る、最中へのいじりですから意外な笑いが発生したと思います。
ウケる技術の「便乗」の利用は初めてでした、のっけの便乗はスムーズで
しかもツッコミ役が言っていますからね、出来心が見えて面白かったです。

ウケる技術の「裏切り」と「決まり文句」はもうセットですね。
「ほな○○やないかい!」は彼らの代名詞となりました。
流行るほどのワードではない、関西なら日常会話だと思われます。でも耳に気持ちいい位に連呼されます。

「ほな最中やないかい」「ほな最中ちゃうやないかい」裏切られては「○○やないかい!」と言わざるをえない。これは1stラウンドからの使用で、まごうことなき彼らの「決まり文句」として確立しています。

先も興奮して触れましたが、ウケる技術の合計使用回数は前年と同率一位66回と多く、面白い箇所は41回でした。1つの面白い箇所に1つのウケる技術ではなく、平均して1.6個のウケる技術を使用されています。つまり、単純なリズムの中にもちょっと変わった、複雑(視聴者が悩まない程度)に捻った笑いが含まれています。
この1つの笑う箇所に対して平均1.6個のウケる技術が使用されているという平均値も歴代チャンピオン一位の数でした。

笑える箇所のスピード感としてのシナリオにクレッシェンドはありませんでした。前後半で笑える箇所に違いはなく、印象通り、淡々とタン・タン・タン♪と同じリズムで最中の肯定と、最中の否定と、また肯定と、やっぱり否定と…いうリズムで成り立ちます。面白い箇所がネタの後半に向けてラッシュをかけているわけではなさそうでした。

ボケ役はそこまで大きなボケはしていないんですよね。
しかも発言の割合も2:8でツッコミ役が多いと思います。
ボケ役が楽にみえると思いますが、心が動じずにボケが淡々と悩み通す。
「俺もそう思ったんだけど」「ツッコミのその考えは俺も一周してんねん、でも違うらしいねん」という気持ちが味噌ですね。

こんなにツッコミ役が頑張っているのは百も承知だけど、俺の悩みも深海より深いねんというオーラです。

僕ら視聴者が気にしているのはこのありきたりなリズムの中での、肯定と否定の理由の証明やこじつけにあるのではないでしょうか。
一つの話題を「○○か○○じゃないか」をずっと喋っていて、形態はずっと同じ。でもその内容、雑学、ちょっとした陰口、脱線の仕方…の部分、枝葉の部分で素人とは違う表現をしている。
この証明やこじつけが普通であれば、リズムもボケもツッコミも普通の
M-1GP一回戦敗退漫才だったと思います。

正直ネタ分析してこれほど美しいネタはあるのかと感動しました。
一つの話題でこれだけ広げられるのは凄い。

正直、少し古いというか、勝てるネタのリズムじゃない気がするんです。
でもこの舞台で見せるからには、勇気や自信を感じるんです。

やり方に親しみがあり安定していて、奇をてらいすぎて失敗する漫才なんかよりずっといいです。

●引用文献●
小林昌平, 山本周嗣, 水野敬也(2007)「ウケる技術」新潮文庫

●参照動画●
アマゾンプライムM-1動画


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