見出し画像

壮大なるワンパターン…五木歌唱。「夜明けのブルース」③

五木ひろしさんの歌唱は、どの曲でも同じように聞こえる。


例えば、「そしてめぐり逢い」「暖簾」

「夜空」「よこはま・たそがれ」

「細雪」「長良川艶歌」「山河」、そして今回の「夜明けのブルース」

……といったオリジナルの数々。

そして、あまたあるカバー歌唱。


どれからも同じような響きが鳴ってくる気がする。


即興やアドリブなし。

全小節の隅々まで定型の「五木節」が浸透している感じだ。


どこを切っても……。

ひとつの壮大な曲を、小分けにちぎって、何十年も歌い続けている。

そう言ったら、どんな構図が見えてくかしら。


精密な機械をも連想させる……

どうでしょう?


しかし。

もちろんだけど…私は五木ひろしさんが大好きだ。

いつも安心できる。

たっぷり癒される。

何十年聴いて来ても、不安にさせられたことは一度もない。

絶えず心地よいそよ風に当たっている心持だ。

おそろしく使い勝手の良い機械かも。


これを「歌が上手い」と言わないで何と言おう。

天才である。

           ◇

ふと「宗教音楽」を連想した。

例えば、讃美歌、聖歌…(キリスト教)、声明や御詠歌(仏教)。

神仏の不変なる御意思を、音楽に変えたものだから、アドリブや即興は基本的に御無用である。

https://www.youtube.com/watch?v=ipOrKfE9IkE

ワンパターンだからこそ有難味が深まる。


20年ほど前、「グレゴリオ聖歌」のCDを繰り返し聞いて、

心が洗われた記憶がある。

私にとっては、五木歌唱につながるものがある。

心が折れそうになったら五木さんを聴こう。

               (続く)







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?