とあるコンテストへの応募を直前で引っ込めた話。
ちょっと前まで、とある小説のコンテストに応募する作品を作っていまして、フンフン鼻息を荒くしていたんですね。
この後の話の事もあり、ここではコンテストの詳細は伏せますが、ただの小説ではなく、ちょっとひとひねりした形にして応募するものでした。
例えて言うなら、チャットアプリみたいな会話形式の小説にするイメージです。(例えですよ)
若者を対象にしたような、今の時代に沿った読みやすい形で、募集内容も1000〜2000文字以内と少ない上に、副賞も豪華でした。
これは応募せにゃいかんだろという事で、締切2週間前でしたが早速話のネタを考えます。
コントみたいなコメディはどうだ?
あまり時間が無いのもあったので、勢いでガッと書き進められるような会話メインのコメディーにしようとしました。
ですが、あれこれプロットを練っていく途中で、
「やっぱりこれはダメだな」と、作るのをやめました。
実は募集要項にはとある場所がテーマになっていたのですが、「この設定だとその場所はほとんど関係無いよなぁ」と思い、一旦白紙に戻す事にしました。
このテーマとなっている場所の特徴はいくつかありますが、その中でも特に象徴的なのがスクランブル交差点でした。(ほぼ答え言ってる)
この交差点を題材にして何かできないかなと考えていく中で、以前ここで発表した「空の雲行きがあやしい」の、別エピソードに使う予定で温めていたアイデアを思い出しました。
そのアイデアとスクランブル交差点をかけ合わせてみたら、みるみる物語が膨らんでいきました。
そして生まれた自信作
世の中にある作品のほとんどが、そりゃ作者の自信作に決まってるので、これが人の心を動かせる根拠はどこにもありませんが、少なくとも私は自分でめちゃくちゃ感動してしまいました。
それも、まだ一文字も書いていないのに、ストーリーを想像しただけでです。(くぐれるほど上がり切ったハードル)
そこから、応募要項の2000字以内に収めるためにあれやこれやと足したり引いたりして、渾身の自信作を書き上げました。
あとはこれを、先述した通りコンテスト用の形式に落とし込んでいくわけですが、その前にもう一度、応募に関する注意事項を読み返し、権利について改めて確認しました。
この一文は、初めに概要を確認した時に見て覚えていました。
こういった、作品の権利が全て主催者側に帰属するというのは、アマチュアから募るコンテストとしてそれほど珍しいものではないと思います。
その代わり、賞金でその部分をカバーされますし、注目が集まるコンテストだったら当然名前が売れます。
なので、もし何らかの賞を受賞した場合は、本を出そうが、ドラマ化されようが、全ての印税は主催者側に入ります。(だよね?)
その点、創作大賞2022はめちゃくちゃクリエイターに寄り添ったコンテストで、改めて応募して良かったなと思いました。(ちなみに結果発表は4月)
著作者人格権という権利
そしてもう一つ、作品には著作権とは別に、著作者人格権という権利があります。
簡単に言うと、クリエイターの「名誉」や「思い入れ」を守る権利で、公表権や、氏名表示権、同一性保持権、名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利があります。
「これは公表してほしくない!」とか、
「自分の名前を必ず表示してほしい!」とか、
「この作品を他人が勝手に修正したり、変な使われ方をしてほしくない!」と主張できる権利です。
著作権を譲渡したとしても、この著作者人格権を行使する事で、最低限自分の作品を守ることができるんですね。
ただ!
これを行使されたくないがために、契約書にその権利も放棄させる一文が書かれている事もあるのです。
それは別に「相手の権利を根こそぎ奪ってやろう」という悪意の基でやるものではなく、その後の展開を鑑みて、都度作者に確認したり許諾を得たりするのは大変なので、「悪いようにはしないから信用してください」という意味が込めてあったりします。
今回のコンテストも、応募規約のページを開いてみるとやはりこう書かれていました。
まぁそうだろうなとは思いましたが、ここでもう一度立ち止まって、ゆっくり考え直してみたのです。
最初に、勢いだけで作ろうとしていたコメディー作品を応募するなら、万が一受賞なんかしたらラッキーだし、そこからどう使われようが何も文句無かったと思うんです。
また、今出来上がった自信作も完全なフィクションであれば、もう少し気軽に手放せたとも思います。
ですが、今手元にある物語はそうではなかったんです。
少しノンフィクションも混ざっていて、
思い入れがたくさん詰まっていて、
「あぁ、これは他人の手で好き勝手に改変されるのはちょっとやだなぁ」と思ってしまったんです。
つまり利益の問題ではなく感情の問題が大きいので、むしろ著作権よりも著作者人格権を行使できない事が決め手となりました。
「やっぱり応募するのやーめた!」
このコンテストに応募する事を知人に公言したんですが、次の日にはあっさり撤回しました。もちろんちゃんと理由も添えて。
普段から割と有言実行を心掛けているのですが、時には初心貫徹よりも前言撤回のしなやかさの方が大事だったりしますよね。
そこに囚われ過ぎて、逃げ場を失い過ぎるのも危険だと思いました。(正当化とも言う)
このコンテストの結果が出て、もし受賞作品が大バズりなんかしたら、今度はまたグジグジ負け惜しみ言いにきますね。
で、この自信作とかいうのはどないすんの?
この作品は、次のnote創作大賞に回そうかなと目論んでいます。(また開催されるハズ)
本格的な制作が始まったら共有していきますね。
長々とお付き合いいただいてありがとうございました!
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