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書評「深夜特急」~東京発-自由行~

はじめに


前回に引き続き、書評を行っていきたいと思います。
第二回の書評は「深夜特急」沢木耕太郎(著)です。



深夜特急は、著者の沢木氏が自身の海外旅行体験をまとめた紀行小説です。多くの若者を触発し海外へと送り出したので、バックパッカーのバイブルとも呼ばれています。

1986年に出版された本ですがその影響力は衰えず、現在大学生である私もこの本に触発されバックパッカーとして海外へ送り出されました。

この書評では深夜特急の魅力を紹介していこうと思います。

魅力① 旅を追体験できる


知らない土地を訪れ、土地の人と心を通わせる。

街に繰り出して、猥雑な熱気の中に身を浸す。

思いも寄らない出来事に出くわし、自分の中の常識が揺さぶられる。


この本を読んでいると、私が見たことも聞いたことのない土地を沢木氏が旅しているにも関わらず、その土地を人間味たっぷりに動き回る人々の姿が目に浮かびます。感動も後ろめたさも包み隠さず描写することがその所以かもしれません。読みすすめると同時に、彼の旅を追体験できるのが大きな魅力の一つです。

魅力② 自由になっても良いと気付かせてくれる


沢木氏はすべての仕事を放り投げ、ニューデリーからロンドンまで乗り合いバスで行くという不毛な計画を立てます。
この旅をしようと思った動機は


「(前略)まるでなんの意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。」


とのこと。理屈とかそういう話ではないみたいです。
更にその不毛な計画も、香港を経由してデリーへ到着するまでに半年かかったり、気まぐれで行き先を変えたりとまるで風に舞う木の葉のようです。

旅が進むにつれて彼の心を縛っていたものが、一つまた一つと外れていき図太く、無神経で、自由になっていきます。
我々は仕事にお金、人間関係などさまざまなことに縛られています。しかし、この本を読んでいると我々を縛るものなどなにもない。自分を縛っているのは自分自身ではないかと気付かされました。


沢木氏ほど壮大な旅をしたわけではないですが、私も旅での体験を通じていくつもの心の枷が外れ、心が軽くなるのを感じることが出来ました。

魅力③ 前へ進む力をくれる


沢木氏は旅の中で、様々な困難に見舞われます。土地の人との衝突や、突然の病、常につきまとってくるな金欠などなど。ですが、どんな困難もなんだかんだでなんとかなってしまうのです。

この本から力をもらい、初めての海外旅行でインドへ行った時、もうダメかもしれないと思うことが何度も何度もありました。ですが、なんだかんだでなんとかなるものなのです。この旅行は私のネガティブな人生観を圧倒的にポジティブなものに変えてしまいました。


最後に


今はコロナ禍で旅に出るということ自体が厳しくなっているかと思います。ステイホームでフラストレーションを感じている人は、深夜特急を読んで沢木氏の旅を追体験してみてはいかがでしょうか。
そしてコロナ禍が明けた暁には、ぜひバックパックを背負って旅に出てみてください。心が軽くなるはずです。



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