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【キャロットクラブ】これまでの収支と出資理由と戦略と(後編)

前編では11頭の合計収支、オードゥルルド・サンブルエミューズ・ロスヴァイセの個別収支と出資理由、それからその3頭の厩舎への感想、ラヴェルの現時点のおおまかな収支、そして全体的な出資戦略を書いた。

後編ではチャリスウェル・エピカリス・ゴールドティア・ファジェス・ナミュール・ラクスバラディー・ヴァーンフリート・ラヴェルの個別収支、厩舎の感想、選定時に重視する項目、NG項目を書いていこうと思う。

さて、いきなり話は脱線するが、僕は今年×1最優先でマラコスタムブラダに、一般でダイワプロパーに申し込んだ。

たまたま2頭とも大人気になってしまったが、特に動きがよかったのがその2頭だった。

最優先をマラコスタムブラダにしたのは、これまで牝馬の方が自分の見込みの精度が高かったからというのと、この後チャリスウェルのパートで語るが、ダイワプロパーは兄弟が全く走っておらず、このパターンは動きがよくてもレースにいってさっぱりということがよくある話であるというところが理由だ。

ただ、いずれにしても、ネット上の予想では、どちらの馬も×2抽選・最優先抽選のボーダーぎりぎりで、抽選に持ち込めたとしても当選確率は1割に満たないのではないかと考えられる。

ただ、それでも僕が全クラブの中でキャロットクラブが最も良いと思う理由は、待つことさえできれば、必ず自分の出資したい馬に出資できるからなのだ。

他のクラブと違い、キャロットクラブの出資条件は極めてフェアな制度といえる。

実績がなくても、いつかは出資したい馬に出資できる。
それに、5口制限についても、サラリーマンの自分にとってはまさに絶妙な設定だ。

人間の能力で大事なものはいくつかあると思うが、僕は「待つことができる」という力が、そのなかでもかなり重要だと思っている。

仕事でも、アウトプットを報告するタイミングで評価は変わる。
恋愛でも待つことで関係が好転する場面は多い。

満を持すとは、弓を満月の如くいっぱいにひきしぼったままの状態で構えること、十分に準備をして機会を待つ状態のこと。

おお、まさに武豊の、日本ダービーの直線のようではないか。

唐突だが、僕が出資を後悔している馬は、チャリスウェルとファジェスだ。

チャリスウェルは、サンブルエミューズがよく走ってくれたので、ダイワメジャー産駒に出資したくて予算との兼ね合いから安易な選択をしてしまった。

ファジェスについては、脚の可動域は広かったがスピード感に乏しかったのと、ロベルト×ロベルト(しかも牝馬)という血統に疑問を感じつつも、やはり予算との関係で安易に出資してしまった。

一方、ゴールドティアのように、収支がマイナスであってもその時点でベストな選択をした場合に後悔はない。

そこのあたりの考え方の整理もしていきたいと思う。

▶ チャリスウェル

チャリスウェル 6戦0勝 ※ファンド解散まで
・出資金:10万円(2口)
・維持費等:5万2,284円
・賞金等:3万9,463円 ※引退清算含む
▲11万2,821円

チャリスウェルについては、正直なところあまり印象もない。
この時期はあまり一口馬主に真剣に向き合っておらず、ダイワメジャーの仔にリーズナブルな金額で出資したいという、今では考えられない安易な理由で出資を決めてしまった。
なので、出資口数にかかる自分の信念を守れず、わずか2口の出資に留まっている。

チャリスウェルはデビュー前、坂路を抜群の手応えで上がってきます、というようなレポートがあったので、ひそかに期待していた。
しかしながら、レースでは切れずバテずばかりで、見どころはなかった。

チャリスウェルは自分が出資した馬で唯一の未勝利馬だ。
ただ、ひとつだけ教訓を得た。

兄弟が走っていない馬は疑う必要があるということだ。

安易に出資したとはいえ、募集時の動きは悪くなかった。
デビューしてから怪我もなく、脚元も良好だった。
牧場のコメントで抜群という評価は、これまでの出資馬で初めてだ。(募集中は除く)

ここまで走れないとは想像していなかった。
気性なのか、成長なのか、根本的な能力なのかはわからないが、やはり兄弟が走っていないということは、募集時の動きがよくても、1年経った後にレースを走るにあたって、何かの理由・傾向があるということなのだと思う。

▶ エピカリス

エピカリス 12戦4勝(ヒアシンスS、北海道2歳優駿、UAEダービー2着)
・出資金:36万円(4口)
・維持費等:51万9,684円
・賞金等:94万81円 ※引退清算含む
・確定申告の還付:2万4,144円
+9万2,541円

エピカリスについては、正直なところあまり多くを語りたくない。
僕が一口馬主で初めて出資した駿馬だった。

国内をデビューから4戦4勝した。特に地方交流重賞の北海道2歳優駿では、のちのジャパンダートダービー馬のヒガシウィルウィンを大差でぶっちぎって勝ってしまった。

ただ、この勝利で風向きが変わった。萩原調教師はそれまで、折に触れて、これからの馬だから大事に使いたい、と言っていたのに、UAEダービーからベルモントSというクラブ馬としては信じられないローテを進み、故障し、2度と輝く走りを見せないまま、引退となった。

アメリカ遠征をせず、故障することなく4歳の完成した走りを見たかった。
おかげで、後に厩舎の1年後輩であるルヴァンスレーヴがダート重賞を席巻しているときに、心から応援することができず、暗い嫉妬を抱えることになった。

僕はこの年の出資から、募集動画を何周も見るようになっていた。
エピカリスは歩様が頗るスムーズで、これまでで初めて自信をもって申し込んだ馬だった。

前編で書いたとおり、当時の僕の出資ボーダーは募集額3,000万円だったが、あまりの動きの素晴らしさに、ボーダーを超えてに申し込んでしまった。

結果的に、エピカリスへの出資以降、僕は少し戦略を修正することにした。


まず、エピカリスが強い馬だったことから、自分の中に一定の基準ができた。

正直なところ、エピカリス以前の出資馬は半信半疑で申し込んでいたのだが、自分がここまでよいと思った馬はそこそこ走るのだ、という成功体験ができた。

ただし、強い馬が応募時に全部わかるというわけではない。
例えば、エフフォーリア、マルシュロレーヌ、ヴェラアズール、レシステンシア、タスティエーラあたりについて、募集額や馬の動きなどから、自分の検討ゾーンだったと思うが、申し込みを迷うほどの検討はできなかった。
あくまで、自分が得意なタイプの馬に限っては、一定の精度で強い馬(大体3勝程度はできる馬)が募集時に選定できる、というほどのものだ。

次に、3,000万円というボーダーは必ず守るべき基準ではないということもわかった。

結果的にエピカリスの収支はプラス10万円程度になってしまった。
仮に、例えば、怪我もなく無事に国内で走り、ヒガシウィルウィンと同じ2億2,000万円程度を稼いでいれば、エピカリス単体で優に100万円を超える黒字になっていたはずで、そうすれば僕の出資戦略を用いた場合に2-3年分のプラス分を確定できたと考えられる。

仮に、募集額3,000万円のボーダーをあまりに頑なに守ってしまうと、エピカリスのようなチャンスを逃してしまう。
そうすると、1頭未勝利馬が出てしまった場合には一気に赤字路線を突っ走ってしまうので、一回もミスがゆるされない薄氷を踏むような出資を続けていかないとならない。
つまり、未勝利馬を1回引いてしまうと、3勝馬を引き続けてもそのマイナスをいつまでたっても回収できないということだ。

そういう点では、当時エピカリスに出資できたことは大きかったと思う。

▶ ゴールドティア

ゴールドティア 20戦3勝(響灘特別)
・出資金:60万円(4口)
・維持費等:30万8,686円
・賞金等:68万4,832円 ※引退清算含む
▲22万3,854円

ゴールドティアは、募集時の動きが本当によく見えた。
また、申し込むにあたっての不安材料は厩舎のみで、本当に自信があった馬だった。

まずはその自信の根拠を書こう。
・歩様、スピード感、可動域の広さがどれも抜群によかった。
・ヒストリックスターの仔を分析し、①牝馬②募集時の体の大きさが標準以上、を満たしているのがハープスターとこの馬のみだった。
・母馬の出産年齢も許容範囲

さらに、大好きなベガの血統。

最優先抽選に漏れてしまったり、一旦は出資に至った馬が1歳で死亡するなど、数年出資が適っていなかったこともあり、募集額基準の倍であったが、迷うことなく出資を決めた。

結果的には3勝し、一般に言われるアワーブラッド入りの基準を何とか満たして競争生活を終えた。

今のところ、ゴールドティアが最大の赤字馬だ。
自分で設定した募集額の上限を超えた3,000万円分が、ほぼ赤字となった。
ただ、出資を後悔しているかと言われるとそうでもない。
ベガ直系の母馬優先権を得たことは大きい。
競争成績もイマイチだったので、産駒はリーズナブルな募集価格になるはずだ。

今にして思えば、サンデーサイレンスの血がなくて切れ味に乏しかったことと、得意な京都競馬場が改修に入り、ほとんど使えなかったことが悔やまれる。
そして、池添学厩舎はなぜか本馬が坂が苦手なことをわかっているにもかかわらず、阪神などのメインどころの競馬場で出走を繰り返し、出資者を幻滅させた。
小倉や北海道などに狙いを定めて調整してほしかった。
京都の1勝クラスで2馬身離して勝ったクラヴェルは、その後重賞で善戦していたのだから。

ただそれでも、ゴールドティアは突き抜けた馬ではなかったと思う反面、 空振りではなかったことが確認できてホッともした。

▶ ファジェス(牝5)

ファジェス 20戦2勝(1勝クラス)
・出資金:34万円(4口)
・維持費等:26万9,848円
・賞金等:33万2,132円
▲27万7,716円

ファジェスは来年2月に引退となる。
すでに成績は頭打ちであるので、それまで赤字を重ねるだけだと思う。
恐らく、これまでの出資馬で1番赤字が大きく、かつアワーブラッド入りもできない、反省すべき出資になると思う。

先に触れたとおり
・可動域は広かったが、動きが絶好というほどでもない
・ロベルト×ロベルト、しかも牝馬
・短距離ではなさそうだが、安田隆厩舎
・自分の上限金額をやや超えている
といった部分があったのに、安易に出資してしまった。

特に、ロベルト×ロベルトという、いかにもパワーに寄った配合で、しかも走らせてみるとダートや道悪は苦手ということで、血統も検討材料に入れなくてはならない要素だと改めて実感した。

難しいとは思うが、あと1勝して、せめてアワーブラッド入りを果たしてくれると救われる。

▶ ナミュール(牝4)

ナミュール 11戦3勝(チューリップ賞)
・出資金:13万円(2口)
・維持費等:10万4,276円
・賞金等:65万2,729円 
+41万8,453円

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