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リセットボタンの頑張りと宇宙人の忘れ物

 私と旦那は宇宙人な息子が大学生になった頃から、2人で1泊ないし2泊の国内旅行に行くようになった。それまでは、頑張ってる受験生に気を使いスキーも我慢したし、旅行なんてもってのほか。日々、彼のサポート役に徹していたのである。
受験が終わり、彼もなんとか大学生。
大学生活も安定してきた頃から、宇宙人な息子が1人旅を満喫するようになり、それに感化されて私達も旅行を楽しむようになった次第である。
 今回の旅先はネットで見つけた、安価な青森・函館2泊3日。
『あんた、旅行に行くんやったら子供らの予定を書いておいてな。』
という、同居しているシゲコさんの不安を少しでも減らすために毎回雑用紙に日にちと、お昼ご飯の人数とメンバー。晩御飯の人数とメンバー。超低空飛行の娘ちゃんの仕事のシフト時間。宇宙人な息子のアルバイトの日程などを雑用紙に全て書いた。
なんと、今回は息子も愛媛へ一人旅に行っている日程と重なったため、少しややこしくなってしまっている。なのでいかにわかりやすく、雑用紙に書けるか?!に時間を要してしまったほどだ。
それをホワイトボードに貼り出したら、次は口頭で伝える作業。
口頭で伝え、とてもいいお返事をもらっていても、同じことを聞いてくる場合がある。
再度確認作業。
でもちゃんと書いてるから、そこは安心。
いざ青森に出発!
朝7時10分発の飛行機に乗るため、5時に起きて意気揚々に空港に向かった。
ところがどっこい、私達の飛行機は整備作業に時間がかかり、10分ほど遅れての搭乗となった。
まぁそれくらいは、飛んだら取り返せるさ、と軽い気持ちでいたのがいけなかった。
滑走路を機体がノロノロと移動して、スタート地点にスタンバイ。管制塔からのオッケーをもらい、さぁ今から離陸だろうとワクワクしていたら、そのノロノロのまま全然加速しないし、気がつけば滑走路を又1周するみたいに曲がっていく。
あれ?なんで?みんながおかしいな?って思っていたら機長からの機内放送。
『・・・・離陸時に電気系統のトラブルが見つかった為、当機は今から整備士に搭乗してもらいトラブルの確認作業を行います。もしトラブルが解消しなければそのまま搭乗口に引き返します。皆様お忙しい中ご迷惑を・・・』
うそやーん?!
心の声ダダ漏れ。
思わず旦那と顔を見合わした。
滑走路の中途半端な場所に機体を止めたまま、整備士が乗り込み復旧作業するそうだ。原因究明の作業に10分から15分かかりますと、原因がわからなければ投機は搭乗口に引き返すといってるぞ。
 こういうトラブル時の想像力は、悪魔的に恐ろしいもんだ。何一ついい事が思い浮かばない。
もう青森空港には行けないんだ、旅行はキャンセルで又一から日程を組み直さないといけないんだ。とほぼ撃沈状態で座席に座っていた私。
ポーン
暫くして、機長からの機内案内。
『作業を開始しましたが、電気系統のトラブルの原因がわからない為、投機は搭乗口に引き返します。トラブル復旧作業後、もう一度搭乗準備にはいり、準備が整いしだい皆様へのご案内となります。なお・・・・・』
がーん。
どうすんだよ、なんか機長言ってるけどほぼほぼ、頭にはいってこないよ。
わかったのは、トラブルは解消されず引き返し、再度作業にはいり、トラブル解消後、この飛行機で飛ぶって事。
なんだと!
乗り換えもなしかい!
なんやかんやともう1時間近く滑走路にいるじゃないか、他の飛行機はバンバン離陸してる。
羨ましいぞANA。
すると暫くして、
『・・・・・・・、今から給油作業に入ります。準備に10分から15分程かかります。』と機内放送。
あっー?
たかだか滑走路1周で燃料補給だと?
入れてなかったんかい?
燃料いれてなかったんかい?
今度はCAからの機内放送。
『今から、当機は給油の準備をして給油作業
を行いますが、皆様は安全の為に、シートベルトはお外しになって御着席ください。』との案内。
はっー?
みんな一回もう、わろてもうてるで。
シートベルトを外すの?
安全の為につけるシートベルトを外すということは、万が一に火がでたら、逃げる段取りをしとけってことか??
やけにCAが火気厳禁な事を言ってるのはそういう事か。
怖いじゃないか。
非常に怖いじゃないか。
ってか、人が乗ってる時にはめったに給油作業なんてしないのか?普通は?
もう、次から次に未知な体験ばかりで、逆に楽しくなってきたよ。
とりあえず座席の窓からは、ノロノロな給油作業がバッチリと見えた。
じっくりと作業を見させてもらったが、決してこの飛行機が、遅れている事を微塵にも感じさせない。ただ、給油してます。ぜって感じ。
さすが、プロです。
作業も安全優先。
そこは、仕方がない。
仕方がない、としよう。
泣き笑い。
ぼけっーと、作業をみてるとどんどん給油されていく、車の電光掲示板に301という数字が見えた。という事は、そんだけ入ったってことなんだろう。
これが、多いのか少ないのか、私にはさっぱりわからない。
あと機長が書類をどうこうとか言い出した時には、役所か?ここは役所か、書類作成の時間まで言うから、そんなんいわんでええで!と突っ込んでしまった。
こんなこと、あんなことしているうちに、いつのまにか1時間20分くらいはグタグタとやっていたと思う。
ああっ、青森のニッポンレンタカーさん。
私達は遅れます。
もっと朝、ゆっくり寝れてたよね。
給油が終われば、トラブルの説明もなく、しれっーと何事もなかったように、離陸した。
なんだったんだあの時間は。
私達の貴重な朝の時間を返してくれ。
途中の待ち時間に、あめちゃん配ってそれでチャラか。
ほんとに電気系統のトラブルか?
給油忘れじゃないのか?
旦那の疑念がはれないぞ。
そんな感じでスタートはしたものの、旅行は楽しく無事終わり、私達は帰路についた。
終わりよければ、全て良しなのである。
単純夫婦。
旅行途中で何度か、娘に連絡。
先に帰路についていた宇宙人な息子は、大学に行くのに朝早く起きれたか?と確認したがやはり1限目間に合うようには起きてなかった。
思わず、『おぬし、英語休んで大丈夫なんやね?』とラインしたら。
『うん。』とだけ返事が帰ってきた。
思わず、『その言葉信じるぞ。』と返してしまったじゃないか。
なんとか函館空港で土産も買い、2人で我が家に夕方には到着。
家に帰るとじいばあ、2人共に元気。
良かった。
娘もたまたま、休みで家にいた。
安心安心。
今日の晩御飯は、シゲコさんにお願いしていたので作らなくていいし、ラッキーだ。
『おかえり、あんた、塩がどんだけ探してもなかったから、それ買いにいったわ!それと、明日のあんたらのパンを買うの忘れてん!。』
はいはい、塩ね。
床下収納庫を開けて、はい、ここにありますよ。
それと、今日は高野豆腐たいてくれたんですね、新しいの買ってますけど、床下収納に前の残りありますからね。あら、白菜かったんですね、何かに使うのですか?そう、予備で買った。なるほど、明日買い足して、使わせてもらいましょうかね。パンは、チルド室にピザがあるから大丈夫ですよ〜。
これくらいなら、まだ想定内。
塩を探しただけ、偉いし、おしい!
あと一歩だった!
砂糖のとなりにあったんだけどね。
塩の袋が砂糖の袋に見えちゃったかな。
まぁ私達が不在中に何事もなくてよかったことよ。
私達が旅行に行ってる間洗濯された物は、娘が2階の寝室にもって上がってくれたみたいだ。
畳まれた衣服をタンスにいれていると、あれっ?みなれないLサイズのパンツと靴下発見。
おじいちゃんに、
『これおじいちゃんのパンツ?靴下ですか?』って聞いてみたけど、違うと返答。
ならば、彼に疑いがかかる。
大学に今言ってるから、帰ってきたら聞いてみよう。さらに洗面台で使う青いタオルが、私達が行く頃になくなってたんだよね。
帰ってきた彼に聞いてみると、
『パンツと靴下持って行くん忘れて、コンビニで買ってん。タオルは持って行った。』
うちの宇宙人は、愛媛の1泊旅行にいくのに温泉に入る為のタオルは持っていったけど、下着と靴下は忘れたと。
それで道後温泉には、入ったの?と聞くと。
『はいらんかった。』との事。
なんじゃいそりゃ。
旅行に普通、パンツと靴下を忘れるか?
1番先に準備しそうやけどな。
変わりに、使わんかったタオルは持っていったんだね。
うーん。やはり、宇宙人やわ。
思考の回路が読めません。



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