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リセットボタンのシゲコさん

私は旦那の両親と同居している。この事実だけを友達に伝えると、たいがいすごいね!と褒められる。さらに、私が義母や義父に対して一言も文句を言ったことを聞いた事がないので、さらに褒めてくれる。
うーん。まわりは褒めてくれるのだか、やはり姑嫁問題が好きな主婦にとっては頭の中がクエスチョンマークらしい。なぜ、そんなにうまくいってるの?なぜ?なぜ?
うーん。自分でもよくわからないけれど。
とにかく、義母のシゲコちゃんはとっても気配りの人で尊敬。義父はとっても優しい人がら。
言ってしまえば、私はとても恵まれているだけなのだ。
そんなシゲコちゃんもそろそろいいお年をめしてきた。80歳を超えてくると、世にいうボケてきたのか??今のはなんだ??という行動がポツポツと増えてくる。
今までも同じ話題の会話が、食卓で何十回と繰り広げられてきた。その都度相槌を返していたが、最近は耳から耳へと抜けていってる。慣れとは恐ろしいもんだ。もう相槌すら義父任せ。
 ボケの始まりは、やはり物忘れ。料理に関して言えば、ひじきを作ると、にんじんを入れ忘れる。煮大豆を入れ忘れる。鶏肉を入れ忘れる。毎回どれかがひじきにはいってない。高野豆腐をたけば、にんじんを入れ忘れる。きんぴらに板こんにゃく。どうということはない、何かを入れ忘れても大丈夫。味付けが違っていても、うちは気にしない。そんなもんだとみんなたべてくれる。それよりもこわいのは、ガスレンジの火をつけっぱなしにしてる方が恐ろしい。
 前にお風呂の種火を一晩中つけっぱなしにしていた時はさすがに危険なので、かなり注意してもらうよう言ったが、今のところ家が燃えるような惨事にはいたっていない。
 あと私が、言ったことを忘れる。
これが1番厄介だ。
『聞いてない。』の一言で一刀両断されるので勝ち目がない。
旦那と2人で旅行に行く話しを食卓でして、ふんふんと聞いていると思ってたら、行き先聞いてないと後から半ギレで言われた時は、びっくりした。
旦那とあんだけ行き先を話して、義母も行ったことありますか?と話まで振ったのにも関わらずだ。歳をとると頑固になるとは、言うけれど。
なかなかキツいものがある。
言った、聞いてない説は、聞いてない!と強く言った方が勝ちだ。一度も私は勝ったことがない。
だから、最近は義父が聞いている前で話をすることにしている。そうすれば、義父が『前話してたやろ。』と訂正してくれるからだ。
かなりのスケット現る。
あとうちの家の予定事は、すべてカレンダーかリビングの壁にあるホワイトボードに書く。
言った先から、忘れたらこまるからだ。
いいお返事でも忘れてる時が、たまにある。
必ず字で残す。
これ鉄則。
子供のシフト、アルバイトの日程。
晩御飯の人数、晩御飯のメニュー。
電話がかかってきたら、メモとして使い、自治会の予定のプリントも貼っておく。
ホワイトボードはあらゆる情報で大賑わい。
とりあえず、リセットボタンを押させないための大事なわが家のツールなのだ。
みんないずれは、当たり前のように歳をとる。私もいつかリセットボタンを握りしめてる筈だ。だから、できるだけ、自分を責めないように私はフォローするだけだ。少しずつできなくなっていく事を受け入れて、笑ってささえあえるのが私の目標だ。そんな私も忘れたり、ボケたりするから意外といいコンビなのかもしれない。



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