中国共産党の外堀を埋めるアメリカ

■中国共産党幹部への制裁と軍事強化
 アメリカは人権を武器に中国共産党に制裁を開始。7月9日にウイグル人への人権弾圧を理由に、アメリカ国内の資産凍結・アメリカ査証(ビザ)の発給拒否の措置が行われる。制裁対象は中国共産党幹部4人と、公安局長官。

米、中国高官4人に制裁 ウイグル人権侵害で初の措置
https://www.afpbb.com/articles/-/3293004

 さらにアメリカは同日、日本に対してステルス戦闘機F-35を105機売却することを公表した。公表では空軍仕様F-35Aを63機、海兵隊仕様F-35B42機とされている。おそらく航空自衛隊向けのF-35Aと海上自衛隊向けのF-35Bだと思われる。

■政治で追い詰める
 アメリカは同じ日に、政治と軍事で中国共産党を怒らせることを公表している。最近のアメリカは、人民解放軍とインド軍の衝突で中国共産党を批判。さらに香港に香港国家安全法を施行したことで中国共産党を批判している。

「米国は、中国政府による英中共同声明で定められた義務の度重なる不履行と、香港市民の権利と自由に対する昨今の攻撃を非難する」――ポンペオ国務長官
https://twitter.com/usembassytokyo/status/1281377595397828608

 アメリカは継続的に中国共産党を批判。その対象は、インド・チベット・ウイグル・香港など人権問題で、台湾・日本は軍事面で中国共産党を批判する武器になっている。アメリカによる経済制裁はアメリカ国内の資産凍結。見た目は効力が無い様に見えるが、共産党幹部の家族がアメリカへの脱出が不可能になった。何故なら仮にアメリカに脱出しても資産は無い。

 さらにアメリカ以外の国でも資産凍結されたら、中国共産党幹部と家族は海外脱出の道が閉ざされる。これは中国共産党の外堀を埋める行為。仮想敵国の弱点を知り、弱点を突いた策で追い詰める。これは戦前のアメリカが日本に対して行ったABCB包囲網やハル・ノートと同じ。戦前は日本だったが、今は中国共産党が追い詰められている。

■追い詰める意味
 アメリカが外堀を埋めながら敵国を追い詰めるのは理由が有る。国際社会では、軍隊を用いて先に開戦した国は悪の国にされる。理由は今の平和を否定するから、多くの国が相手国を怒らせる策を採用している。だからアメリカは、中国共産党を意図的に怒らせることを連発している。

 戦前の日本は怒って開戦を選んだ。当時の日本人の多くが国際社会のマナーを知らず、日本が白人世界を怒らせたことは知らなかった。そのため多くの日本人が、アメリカから売られた戦争だと思い込んだ。さらに悪いことに、当時の日本人は先に開戦した国が悪の国にされる国際社会のマナーも知らなかった。

 そのため、宣戦布告後に開戦すれば問題は無いと思いこんでいた。これは思い込みで、国際社会では宣戦布告は飾り。基準は軍隊を用いて先に開戦した国が悪になる。これで日本は悪の国にされた。

 今は中国共産党がアメリカの覇権に挑戦したから、アメリカは中国共産党を敵視した。これで戦争は回避不能。戦前の日本に使った古典的な策を、今は中国共産党に使っている。それだけアメリカは、中国共産党から開戦させたいのだ。

■貿易を考えていない
 アメリカは中国共産党の弱点を見抜いている。だから中国共産党との貿易を中止しても、困るのは中国共産党だけ。ここ数年間の中国国内は、ツマジロクサヨトウ・アフリカ豚コレラ・サバクトビバッタ・イナゴ・水害・武漢ウイルス(COVID-19)など災害続き。

 明らかに中国国内の食糧生産能力は低下している。しかも周辺諸国もサバクトビバッタ・水害などで農業に打撃を受けた。日本は水害で農業は打撃を受けており、日本国内の食糧生産能力が低下したことは間違いない。ならば中国共産党が頼れるのはアメリカの食料だけ。

 だがアメリカは中国共産党幹部に対して経済制裁を行った。これはアメリカが中国共産党と貿易する意志を持たない証。それに対して中国共産党は、アメリカと貿易停止すれば国内の飢餓を覚悟しなければならない。困るのは中国共産党だけ。だからアメリカは強気に出ている。

■軍事強化で追い詰める
 アメリカは台湾と日本の軍強化を進めている。台湾と日本を今直ぐ軍事強化できないが、10年後は確実に強化される。アメリカは兵器売却で利益を得て同盟国を軍事強化。そうなれば人民解放軍を軍事強化しても、人民解放軍の勝機が低下する。

 開戦が遅れると人民解放軍が勝てないなら、台湾と日本の軍事強化前に実行する道を選ぶことになる。仮にアメリカが想定する戦場が台湾と日本ならば、台湾と日本を軍事強化する理由になる。

 それは同時に、アメリカが想定する戦場が朝鮮半島の38度線から台湾と日本に移動した証。アメリカは韓国を捨てて中国共産党から開戦しやすい環境を作り出していると言える。アメリカは中国共産党を追い詰めるだけではなく、甘い勝利の果実を朝鮮半島に置いている。そうでなければ、台湾と日本を軍事強化する意味が無い。

■避けられない開戦 
 米中関係は悪化の一途。アメリカ主導の軍事同盟が、海から中国共産党を包囲する流れになっている。明らかに人民解放軍を海に出させない動きだから、中国共産党が海洋進出を諦めない限り戦争は回避不能。

 3000年の戦争史を見れば、大陸国家が海に進出すると海洋国家と戦争になる。戦争を回避した記録が無いので、米中戦争は回避できない典型的な流れになっている。しかも中国共産党に勝ち目が無い条件ならば、アメリカは中国共産党からの開戦を望むのは当然。だからアメリカは中国共産党に対して強気に出ている。

私は貴方のサポートを待っています。