集団的自衛権の価値と対中国包囲網

■共同訓練
 トランプ前大統領が中国共産党と対立すると、対中国共産党の種が世界に撒かれた。アメリカ大統領選挙で敗北したが、撒かれた種は芽を出した。中国共産党による強引な手法が明らかになり、一帯一路構想の危険性を認識する国が増加。

 さらに中国共産党自身が、率先して戦狼外交を展開。戦狼外交で相手国を脅して譲歩させるので、中国共産党を危険視する流れが生まれた。イギリス・フランス・オランダ・ドイツなどは、インド太平洋に軍艦を派遣することを決定。

 イギリス・フランスは自衛隊との共同訓練を明らかにし、インド太平洋での連携を公にするようになった。イギリス空母打撃群は年内にも日本に寄港するが、フランス空母打撃群と海上自衛隊の共同訓練は、5月1日にアデン湾にて行われた。

海上自衛隊 自衛艦隊(公式)
https://twitter.com/JMSDF_SDF/status/1390182736535588865

 アデン湾は海上交通路の要だから、インド太平洋の自由と安全を守る活動。これがフランス・アメリカ・日本の共同訓練だから、明らかに中国共産党を意識している。それだけ中国共産党は、世界から脅威と見なされている。

■集団的自衛権
 集団的自衛権は白人世界の概念。さらに国際社会のマナーの多くは白人世界の概念。これは世界の強国を継承しているのは白人世界なので、自然に白人世界の概念が国際社会のマナーとして採用されている。

 集団的自衛権は白人世界の経験則から生まれた。A国とB国が戦争している時に、C国は火事場泥棒をした。これで当事国のA国とB国はC国に報復。するとC国はA国とB国に報復。これが連鎖して白人世界は疲弊した。

 白人世界も馬鹿ではなく、自然発生的に暗黙の了解が作られていく。国際社会の現実は強国の世界。だから強国が軍隊派遣を要請すれば、覇権下の国は軍隊を派遣する事になった。これは軍隊を派遣することで、「自国は火事場泥棒ではない」ことを示すため。

 だから強国の要請に応じて軍隊を派遣することは良いことであり、代わりに強国から外交的発言権を得られる様になった。つまり軍隊を派遣しないと、火事場泥棒として認定される上に、外交的発言権を得られない。だから各国は、要請されたら参加する。これは後で外構兼を得ることが目的で、平和維持活動は表向き。

■国際社会は強国の論理で動く
 強国が地域紛争に巻き込まれた自国民保護で軍隊を派遣する時は、強国に参加して自国民保護に軍隊を使うことになる。別の言い方をすれば、「かくれんぼする者この指とまれ!」。これは国際社会の暗黙のルール。

 国際社会では軍隊を派遣して血と汗を流すから信用が得られる。それは自国が利己的ではなく、自国は利他的な国であることを宣伝もしくは証明することが目的になっている。さらに、国際社会で外交発言権を獲得するには、共同の軍事作戦に軍隊を派遣しなければ得られない。

戦例:
1914年の第一次世界大戦
日本は英仏から軍隊覇権を要請されたが直ぐには派遣しなかった。日本の軍隊派遣は遅れ、南太平洋のドイツ植民地への侵攻と地中海への派遣などが行われた。遅れたことで、日本は火事場泥棒と認識される。

1927年の第三次南京事件
日本はこの時に参加せず単独行動を採用。これが原因で日本は、イギリス・アメリカから火事場泥棒と見なされ敵視される。この時の幣原喜重郎による幣原外交(宥和外交)は、日米戦争の遠因となる。

2008年ソマリア海賊問題
日本も補給活動や、P-3C哨戒機などを派遣して貢献している。

2011年のリビア空爆
この時は、アメリカ・フランス・イギリスが中心になりNATO加盟国も参加。

 戦前の日本は集団的自衛権の意味を知らなかった。第一次世界大戦で日本は連合国側として参戦したが、直ぐには軍隊を派遣していない。これは日本独自の視点で、「国益が無い、穏便にしたい」だけの認識だった。

 日本が軍隊を派遣すれば事が大きくなる。だから参加戦力が少なければ、戦争も大きくならないとの考え方だった。これは日本では通用しても国際社会では通用しない。当時の強国はイギリス・フランスだが、日本は強国の要請を何度も無視。

 当時の日本は、執拗な要請に諦めて南太平洋のドイツ植民地に日本軍を侵攻させた。これは遠いヨーロッパ戦線に軍隊を派遣するよりも、目の前に敵国の植民地が有る。これを占領すれば合理的だと判断したようだ。

 だが、これは最悪の策だった。国際社会では、要請以外のことをすると火事場泥棒と見なされる。同じ敵国への攻撃だとしても、南太平洋のドイツ植民地は要請していない。それを勝手に日本が実行したのだから、イギリス・フランスは「日本が火事場泥棒をした」と認識した。

 当時の日本は、遅れて日本海軍を地中海に派遣。これで対潜水艦作戦に参加したが、現場の海軍軍人が律儀に活動しても、政府レベルで国際社会のマナーを無視すれば無意味。戦前の日本が白人世界から敵視された理由は、日本の政治家のマナー無視に原因が有る。

 戦前の日本の政治家は、国際社会のマナー無視を連続。これで白人世界は怒り、後にアメリカを中心としたABCD包囲網に発展する。その後アメリカから戦争を売り付けられ、当時の日本はハル・ノートに怒って開戦した。

 戦争の種は日本の政治家が撒き、行き着いた先の戦争を軍人に押し付けて逃げた。戦後の日本は集団的自衛権を完全に理解していないとしても、強国の要請に応じて自衛隊を参加させている。だから戦後日本は白人世界から信用されている。

■戦前と戦後の違い
 戦後日本は戦争を忌避しているが、集団的自衛権は今の平和を肯定する世界観。だから集団的自衛権で自衛隊を参加させることは、日本が平和を求める意思表示。軍隊派遣をするとしても、各国の国力に合わせて参加することもマナー。

 だからドイツ・オランダは、軍艦一隻の派遣で対応している。わずか一隻の派遣だとしても、これで平和を求める意思表示になる。自衛隊の参加戦力が少ないのではなく、一隻でも参加すれば日本は平和を求めた意思表示をした。

 しかも日本は火事場泥棒ではないことを示したのだから、戦前の失敗を繰り返していない。これは日本には良いことだか、今度は中国が戦前とは真逆の道に進んでいる。自ら国際社会のマナーを否定し、中華思想を押し付ける戦狼外交を強行。

 このまま悪化すれば、イギリス空母打撃群が日本に寄港した時が戦争開始のタイミングになる。ドイツ海軍の軍艦は、夏に日本に寄港する予定を明らかにした。ならば戦力が集まるとすれば、夏が開戦のタイミングかもしれない。

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