人権問題はパンドラの箱に残った希望
■ウイグル人強制労働に反対したはずだが
中国はウイグル人に対し、強制労働を実行していることが知られるようになった。そしてウイグル人の活動が、アメリカのトランプ前大統領によりウイグル人権法に発展する。トランプ前大統領は中国と対立していたので、強制労働に関与する企業に対する制裁の動きも出た。
だがバイデン大統領に変わると、ウイグル人強制労働に関与する企業名が明らかになっても、中国との関係を維持する企業は存在する。さらに、企業がウイグル人強制労働に反発するコメントをしても、バイデン大統領は守らないことが明らかになった。
中国がインテルに反発、新疆製品の使用禁止通達で
https://jp.reuters.com/article/china-xinjiang-intel-idJPKBN2J2077
■茶番が好きなバイデン大統領
バイデン大統領は、中国によるウイグル人強制労働を悪と見なしている。さらにアメリカで、ウイグル強制労働防止法が成立したことも事実。バイデン大統領が署名したことで成立したことは事実だが、米インテルを守る言動が無い。
米、ウイグル強制労働防止法が成立 大統領が署名
https://jp.reuters.com/article/usa-china-xinjiang-biden-idJPKBN2J21GR
バイデン大統領の建前は、人権が大事な大統領。本音は、中国に逆らわず金が欲しい大統領なのだ。バイデン大統領が真にウイグル人強制労働を嫌うならば、前述の米インテルの言動を肯定し、中国の批判から守ることを公にするはずだ。
企業の対応は、ウイグル人強制労働を認識し、中国との関係を続けるか断ち切るかの二者択一。もしくは、金を選ぶか人権を選ぶかの踏み絵。そんな時に、世界の強国であるアメリカが、ウイグル人強制労働に反対する企業を守らない。ならば、どうなる?
守られないなら、米インテルの様に謝罪することは明白。それどころか、中国の顔色を窺い、中国に都合の良いコメントや商売をすることになる。人権よりも金を選ぶ企業は安泰。人権を選ぶ企業は、中国から排斥されて市場が小さくなる。
余程の覚悟がなければ、中国市場から撤退しない。さらに、中国からの経済制裁に対抗しなければならない。これを自社だけで対応するのだ。だから、企業としては覚悟が求められる。国家レベルの問題ならば、国家の庇護が無ければ企業活動はできないのが現実。
バイデン大統領が率先して米インテルを守らないのだから、各国の企業は中国を選ぶ。アメリカでウイグル強制労働防止法が成立しても、実行しなければ絵に描いた餅。実際に、ウイグル人権法・香港人権法が成立したが、未だにウイグル人・香港人は救われない現実が存在する。
今のアメリカは法律を成立させたが、法律を使わない。何のための法律なのか?飾りが目的の法律なのだ。バイデン大統領が真に法律を使い、ウイグル人を強制労働から救うことが目的ならば、米インテルを守り、既存の人権法を盾に中国と対立する。結論を言えば、バイデン大統領は茶番が好きなのだ。
■何故人権を失うのか?
チベット・東トルキスタンが、中国に併合されたことは知られている。だが、これが原因で、チベット人・ウイグル人は人権を失った。何故なら、国家が国民に人権を与えるから、国家が消滅すれば国民は無人権になる。
併合だから中国の一部になったことは事実。ならば、チベット人・ウイグル人は中国から人権が与えられるのでは?人権は併合した国の気分次第。中国は併合した人間に人権を与えていない。さらに、チベット人・ウイグル人から民族性を奪い、民族教育を否定している。
日本は台湾・朝鮮を併合したのは事実。日本と中国が異なることは、日本は台湾人と朝鮮人にインフラと教育を与えている。実際に日本は朝鮮に対して、ハングル文字を学校教育で教えている。しかも法律で台湾人と朝鮮人を保護している。
国家主権
外交二権:外交・軍事
国内三権:行政・立法・司法
国家主権は外交二権と国内三権に区分される。外交二権は外国に委任できるので、この場合は、独立を維持したまま中心の国に国防を委任する。これは連邦制。何故なら国内三権を持っているので、独立国家として人権は維持される。
チベット人・ウイグル人の場合は、外交二権・国内三権の国家主権そのものが消失。さらに中国が人権を認めないので、自国民と称しても無人権の民にされた。さらに無人権だから、言葉の判る奴隷と見なされた。だから、ウイグル人強制労働が公然と行われている。
■何故世界は黙認するのか?
世界は中国がチベット人・ウイグル人にしている非道を知っている。だが世界は黙認。その理由は、前述した国家が国民に人権を与えるので、国家が消滅したことで無人権と認識したことが原因。
難民として世界に逃げた場合、チベット人・ウイグル人の人権は、受入国の気分次第。さらに中国との外交・貿易を考慮し、入国や生命の保護は時として左右される。だから、同じイスラム教徒の国だとしても、ウイグル人を助けない国も出る。
実際に、スンナ派のサウジアラビア、シーア派のイランは、それぞれのトップだとしても、ウイグル人を助けていない。ウイグル人がイスラム教徒であることは知っている。だが、東トルキスタンは消滅したので、ウイグル人を無人権だけではなくイスラム教徒として見ていない。これは仏教国も同じ。だからチベット人を仏教徒と見ていない。これが世界の現実なのだ。
国連総会決議3314における侵略の定義(実質的に定まっていない)
1:侵攻だけでは侵略ではない。
2:他国を併合するものでないかぎり国際的には承認されていない。
3:外国が敵国を軍事的に占領し、そこに新しい国を建設すれば侵略にならない。
第一次世界大戦後の国際連盟は、初めて体験した世界大戦の経験から、戦争回避の美名に動く。そこで戦争を否定する目的で、侵略の定義から始める。だが世界は、侵略の定義を確定することができなかった。
答えは簡単。侵略の定義に参加した国は、自国に都合が良い条件を考えた。自国の過去を否定せず正当化したい。さらに、将来の戦争で自国を否定しない条件を考えた。その結果、侵略の定義を文章化できたが、無意味な結果に終わった。端的に言えば、過去も未来も侵略国として定義できないのだ。そのため国連決議3314は、今も保留状態になっている。
戦前の日本を用いると、軍隊による国外への侵攻は侵略に該当しない。台湾と朝鮮を併合したので、侵略に該当しない。さらに満州国を建国したので、日本は侵略に該当しない。つまり国連決議3314が正式に発効されても、日本は侵略国にならないのが現実。
中国はチベット・東トルキスタンを併合した。だから世界は、国連決議3314を用いて中国を批判しない。さらに世界を見ると併合の歴史は多いので、中国を批判できない。これが世界の現実で、感情論だけでは世界は動かない。
■人権を取り戻すには?
チベット人・ウイグル人が人権を取り戻すには、中国から独立しなければならない。独立とは新たに国家主権を生み出すことだから、併合した中国から離脱か奪うことで回復する。これはアメリカの独立戦争の様に、イギリスから独立する戦争を開始することで国家主権が得られる。
だがチベット・東トルキスタンの地勢は、海岸から遠く離れた位置に存在する。しかも周辺は中国の覇権下なので、外国が独立戦争を支援することが難しい。チベットはインドを中継して独立戦争の支援は可能だが、世界はチベット人の人権回復よりも、中国との貿易で利益を得ることを優先した。だからチベット人による独立戦争は、世界から助けが無いのだ。
この様な場合は、中国と対立する強国の支援が必要。だが世界の強国であるアメリカは、建前では人権を使うが、本音では金を優先してチベット人・ウイグル人を捨てている。では日本は?
北朝鮮に拉致された国民の救出すら放棄。戦争を回避できるなら、拉致被害者を平和の生贄にしたのだ。自国民を助けない日本が、外国人であるチベット人・ウイグル人を助けない。それよりも、金になる中国との関係を選んでいる。
現段階では、チベット人・ウイグル人は救われない。世界の強国アメリカですら、中国から得られる金を選んだ。日本は思考停止で中国の下僕。ならば残された希望は、中国経済の崩壊。中国大企業の経営破綻が世界規模に拡大すれば、中国経済が崩壊する可能性が有る。
この時に、経済破綻が中国の政治を破壊すれば、中国は国家として消滅する。この時だけが、チベット・東トルキスタンが独立できる唯一の可能性。現段階では中国経済の破綻の可能性は有るが、中国が崩壊するかは不明。現状は、希望だけが残るパンドラの箱が、悲しい現実になっている。
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