【ぶんぶくちゃいな】「娘砲」バンザイ、マッチョよさようなら

今週に入って、SNS「WeChat」のタイムラインに「娘」「娘」の文字が躍っていた。

「娘」と書いても、中国語の「娘」は「ムスメ」「daughter」の意味ではない。びっくりするなかれ、「お母ちゃん」なのだ。あと、王朝時代には王妃など身分の高い女性に呼びかける時に「娘娘」を使ったらしい。だが、それも「若い女性」に限らない。

だが、今週「娘」が話題に上ったのは、おかーちゃんがどうした、という話でもなかった。きっかけはテレビの全国放送局である中央電視台(CCTV)で、小学生向けのエンタメ番組「開学第一課」だった。ネット時代にふさわしく、学生たちに人気のタレントを招いて、タレントのファンたちの力を借りてネット上でも話題作りをしようとしたらしい。

だが、ゲストの男性タレントたちが「娘砲」だと視聴者の保護者たちの間から不満の声が噴出した。

「娘砲」とは、「女々しい男」を意味する。髪を明るい色に染め、目鼻立ちだけではなく体つきもスリムで、ペンダントやブレスレット、ピアスや指輪などのアクセサリーを身にまとい、色白な顔に唇をほんのり赤く染めた男性タレントばかりが集められたことに、「子どもたちに間違った概念を与える」という声が上がり、「娘砲」是非論が勃発したのだった。

付け加えておくと、この「開学第一課」という番組、今年度の初回放送だった先週は、番組開始の時間帯になっても長々とコマーシャルが続き、クレームが殺到してCCTVが謝罪する騒ぎになった。無理もない、消費が縮小しつつあるという昨今、親たちの教育にかける熱意は逆に高まっている。国の権威的テレビ局であるCCTVの子供新番組にスポンサーが殺到したのもうなづける。だが、CCTV側がのべつまくなしにそれらを受け入れた結果、番組時間から10分以上経っても番組は始まらず、CMが流れ続けるという事態を引き起こした。

2回目の今回もまた大きな騒ぎを引き起こし、子供のいないわたしのような人間にも番組の存在をイメージ付けられたのだから、番組にとっては良い宣伝になったことだろう。だが、問題は親たちが「娘砲」と批判する男性タレントたちは、子どもたちにとっては憧れのスターだ。子どもたちは大喜びしたのに保護者が憤る。それは明らかにこの「娘砲」問題に対する世代間ギャップの一面を表していた。

●火付けは鹿晗ブーム

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