【ぶんぶくちゃいな】「東京五輪は民族精神高揚の舞台」中国選手選抜に異変

中国はすでに新型コロナ大感染は過去のものとなり、人々は10月1日から始まる1週間の国慶節ゴールデンウイークにウキウキ状態。もちろん、スマホに表示される健康コードあってのお出かけではあるが、今年の旧正月はすでに新型コロナウイルス不安の真っ最中だったから、自由な連休を味わうのは1年ぶりとなる。

その直前の9月末には、「スポーツの秋」とばかりに各種スポーツの大きな大会が次々に開かれた。選手たちも不自由な練習期間を終えてやっと全力を尽くして臨める大事な試合だったはずだ。しかし、その試合の数々でさまざまなどんでん返しが続き、スポーツファンの間で大騒ぎになった。

まず9月26日、青島で行われた全国水泳選手権大会。この大会は直接代表選手を選抜するものではないものの、その成績は選抜のための重要な参考にされることになっている。

男子50メートル自由形予選で余賀新選手が過去記録を破って予選トップに。また女子100メートル背泳ぎ予選でも傅園慧選手が、出場選手の中で唯一1分の壁を破る、59秒48の成績を上げた。だが、二人はそれぞれの決勝戦に進めなかった。

翌日、女子1500メートル自由形の予選が行われ、ここで18歳の期待の新星、王簡嘉禾選手がアジア新記録の15分45秒49でゴール。しかし、王簡選手(中国人は一字姓が多いが、彼女は父の「王」姓と母の「簡」姓を合わせて正式な姓としているという。中国では戸籍上こうした手段をとることができる)もまた、決勝に進めなかった。

実はこれより先、9月9日に行われた全国陸上協議選手権大会でも、短距離走者の蘇炳添選手、女子砲丸五輪メダリストの鞏立ギョウ選手(「ギョウ」は「女」偏に「交」)、三段跳びのリオ五輪メダリスト董斌選手、国内男子400メートル走トップの呉磊選手ら、中国陸上競技界の「メダル期待選手」の名前が大会参加資格者名簿から消えていた。

29日にも2019/20年度の全国フェンシング選手権大会が開かれたが、エペ種目の孫一文(リオ五輪銅メダル)、林声(国際選手権で団体で出場、数々のメダル受賞歴あり)の2選手が決勝に進めなかった。

スポーツファンたちの間で大論争が巻き上がった。一体どうしたというのだ? 予選ではトップに立ったのをしっかり目にしたのに、なぜ決勝戦に彼らの姿がないのだ?と。

彼らが姿を消した理由はすべて同じだった。彼らはみな、今年2月に国家体育総局が施行を決めた「ナショナルチーム体力測定テスト」での結果が合格点に達さず、決勝、いや予選にすら参加できなかったのである。

●フェンシング予選の種目は「縄跳び」

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