【ぶんぶくちゃいな】ポストBAT:中国スタートアップ界の話題の顔ぶれ

先週、中国のニュース情報サイトに、「『趣店』がニューヨークで上場!」という記事が並んだ。

あちこちのサイトがそれをプッシュしてきたからそれなりに注目されるニュースであることはわかった。

報道によると、オンライン消費ローンサイト「趣店」が米国時間の10月18日にニューヨークの株式取引所で、中国の金融関連テクノロジー業界として3者目の上場を果たした。初日の市場は一時40%以上の値上がりを見せたが、発行価格24米ドルより21.38%高値の29.18米ドルで取引を終えた。これにより同サイトの資産高は約96億米ドルとなった。

だが、なーんかおかしい。

まず、それを伝える中国語記事のタイトルに、どこのメディアにもなんとなく「含み」を持たせていたからだだ。

「あの、『趣店』が、ニューヨークで、上場、した。なんと!」

そんな「どうもオレたちはしっくり来ないぜ」みたいな雰囲気を漂わせたタイトルばかりで、「あ、これはなんかあるな」と感じた。

中国メディアはよく、こうやってタイトルで意思表示をする。記事を読んでも別にネガティブなことは全く書かれていないのだが、どう読んでもタイトルから「微妙な空気」を漂わせている記事がときどきある。彼らは政府の報道規制によって用語まで細かく制約されるという経験をたびたび繰り返している。だから、そんな中でも、慎重に言葉を選んで伝えたいニュアンスを読者に理解させるるという術を身につけているのだ。

たぶん、これも上場がニュースなのではない、きっとその主体が「趣店」であることがニュースなのだ、と経験上感じた。

もう一つ、わたしはそれまで「趣店」というドットコム企業の名前を見たことがなかった。もちろん、中国にはわたしが知らないドットコム企業がたくさんあることは理解している。だが、ニューヨークに上場するほどの業績を積んだ企業が、年がら年中、中国情報やIT業界事情を読んでいるわたしの目にひっかからないなんてそれも不思議だった。

続いて、「趣店上場」に刺激を受けたわけではないだろうが、前後して中国で注目のウェブサービス運営者を巡る報道が続いた。中国のITといえば、BAT(百度、アリババ、テンセント)のIT3巨頭が取り上げられるが、中国現地のメディアの関心は安定した地位を築いたBATよりも「ポストBAT」の動向に向かっている。

なので、今回はBATの3巨頭の陰に隠れてしまい、まだ日本ではあまり報じられない「ポストBAT」の旗手たちの話題を直近の中国メディア報道からご紹介したい。

●王興:「悲劇のSNS」創始者から富豪へ上り詰めた秀才

続きをみるには

残り 10,712字
この記事のみ ¥ 300
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

このアカウントは、完全フリーランスのライターが運営しています。もし記事が少しでも参考になった、あるいは気に入っていただけたら、下の「サポートをする」から少しだけでもサポートをいただけますと励みになります。サポートはできなくてもSNSでシェアしていただけると嬉しいです。