【ぶんぶくちゃいな】「あんたはなんのゴミ?」ゴミ分類で上海大パニック

香港のトップ大学である香港大学のニュースジャーナリズム研究所に、「中国メディア研究プログラム」という研究コースがある。ここでは中国の元著名ジャーナリストで、同コースの講師を務める銭剛氏が始めたプロジェクト「語象観察」では長年、「中国メディアに出現するキーワード」を数量統計し、中国内、特に政府が目を光らせるメディアにおいて「一体何がかがられているのか」を分析し続けている。地味だが、そこから浮かび上がる、政府のプロパガンダの傾向も含めて可視化するプロジェクトだ。

そのプロジェクトがまとめた最新のレポートでは、今年の6月に最も「沸騰」した文言は、「不忘初心,牢記使命」(初心を忘れず、使命を心に刻む)だったという。

これは今年3月に習近平・国家主席が中国共産党幹部を養成する共産党中央委員会党校(国家行政学院とも呼ばれる)で行ったスピーチで使われていた言葉だ。10月に建国70週年を迎えるにあたり、このスピーチを受けて全国でこの文言をテーマにした教育カリキュラムが展開され始めたことが大きくメディアに取り上げられているのである。

そして、もう一つ急激に注目されるようになったのが「「おまえはどんなゴミだ?」という言葉だそうだ。

これは決して「おまえはゴミみたいな人間だ!」と罵る言葉ではない。「おまえの(手にしているそれ)はどんなゴミだ?」という意味で、わたしのニュースチェックでもたびたびこの言葉をタイトルにした記事があちこちのサイトに現れ、明らかに人々の神経を逆なでする共通キーワードになっていることが見て取れた。

すべてのきっかけは、2016年12月に習近平が座長を務める中国共産党中央財経指導委員会がゴミ分類制度の拡大施行を決定したことによる。昨年11月に全国のトップを切って上海で「ゴミ分類は新たな流行」の掛け声で討論が行われ、その後可決。とうとう7月1日から市内全域で「ゴミ分類収集」が実施されることになった。

●ちまきの葉っぱはなんのゴミ?

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