【ぶんぶくちゃいな】中国#MeToo裁判その後・弦子と仲間たち

2020年は惨憺たる年だった。今年を「良い年だった」と振り返られる人はほとんどいないはずだ。やっとのことで勝利が伝えられた米国次期大統領のバイデン氏ですら、口が裂けても「良い年だった」といえないはずだ。前任者があまりにもひどすぎたに過ぎないのだから。

世界で唯一、のほほん、とした表情を浮かべて見せるのが中国だが、それもまた大量の資金と圧力を使って表面を装っているにすぎない。その一つがご存知の通り、日々ジェットコースターで滑り降りていくように激変する香港をめぐる風景であり、新型コロナウイルスの経済停滞により資金が破綻した不動産仲介会社をめぐり起きているマンション賃貸契約問題あり、経済不振後に起こりうる投機活動を警戒したアントグループ上場急ブレーキや不動産投資引き締めである。

堅めの経済メディアにはこれらの事情が毎日のように報道されているが、一般のポータルサイトでは嫦娥5号の月面着陸・発射だの、新型スマホの発売だの、といった華々しい話が並ぶ。経済メディアには経済界への警告を担当させ、生活ニュースなどひっちゃ混ぜのポータルサイトには深刻さを感じさせない話が並ぶ。中国のメディアもいつの間にか一律スイッチオン/オフではなく、こうした「役割」の分担によって「活かされている」ことを、さまざまなメディアを縦横無尽に見ているうちに気が付いた。

つまり、何をどう読むかによっていまの中国に対する印象はガラリと変わる。それは中国人でも、外国人でも同じ構造になっている。お硬いメディアもポータルサイトも、情報の出どころが確かであることは最も重要であるにしても、それをがっつり読みたいか、それともソフトに読みたいかで「読むべき」メディアが違い、人々が持つ印象が大きく変わる仕組みだ。

そのことを改めて思い知らさせてくれたのが、12月2日に流れた、「著名テレビアンカー朱軍氏セクハラ訴訟」開廷のニュースだった。

●国営テレビの「顔」vsインターン大学生

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