フェイクニュースの現場より

先日、「フェイクニュース」をテーマにした座談会を見てきたのだが、フェイクニュースの成り立ちはいろいろあって、一つは明らかにある一定の方向性をもったプロパガンダである、という話になった。

これ自体は否定する必要もない事実だから、ふんふんと聞いていたら、そこで壇上の演者の1人が、

新華社は、その英語配信記事で尖閣諸島を「Senkaku / Diaoyu」と表記しており、アメリカなどのトップレベルの政策決定者がそれを受け入れて「Senkaku / Diaoyu」という言い方をするようになった。これは立派なプロパガンダです。我われは中国がこうしたプロパガンダをもって、尖閣諸島を実効支配しているのは中国だと世界が受け入れているようになっていることをもっときちんと認識するべきです。

と発言。

これこそが見事なフェイクニュースじゃん!と聞いててびっくり。

まず、「中国が尖閣諸島を実効支配していること」を誰が受け入れているって? そんな話、メジャーな世界では聞いたことないです。

次に、「Senkaku / Diaoyu」の表記が英語メディアでも使われているのは事実(というか、個人的には英語メディアが先に使用して、中国の英語メディアはそれに従ったという印象)だが、その言葉を他者が使うことのどこが「実効支配しているのは中国だと受け入れた」ことになるのか?

三番目に、どうみても「Senkaku / Diaoyu」の表記の方が、そこが紛争のある地区であることを鑑みるならば公平な表記といえる。もちろん、日本政府は紛争があることを公的に認めていないので、日本メディアが「Senkaku」と書くのは「政治的に正しい」表現なのかもしれない。となると、どちらの表記が政治的意図をもったプロパガンダなのか、いわずもがなだろうに。

それを、堂々とジャーナリストあるいは準ジャーナリストたちを前に、「中国のプロパガンダ」と論点をすり替えて論じる某新聞従業員出身者の「フェイクニュースづくりの現場」を目の当たりにした。

わたし? もちろん、質疑応答で「それ、フェイクですね」と名指しで申し上げました。壇上にいた津田さんに後で、「ふるまいさんがぶんぶん首を振っているのが見えました(笑) ぼくが進行やってたらあの時点でふるまいさんに振りましたね」と言われたでござる(笑)。

この座談会はあとで雑誌記事になるらしいので、編集者がそこのところをいかに処理するか、大変興味があるところです。

現場からは以上です。#フェイクの現場

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