【ぶんぶくちゃいな】「外国製品叩き」に透けた中国国営テレビ局の欺瞞

3月に入り、恒例の政治協商会議と全国人民代表会議(全人代)も終わった。前者は中国共産党による各界、各地方、そして各合法政党との協商、つまりご意見伺いの場で、後者はいわゆる中華人民共和国の国会と呼ばれる会議のこと。3月に行われるのはどちらも、1年に1回だけ代表(議員のこと。中国では「人民の代表」と呼ばれる)が全員一堂に会し、政策議決を行う場だ。

共産党のご意見伺いの場はともかく、「国会」とされる全体会議が1年に1開始から開かれないというのは、なかなか意味深である。実際にはその他の議案や政策決定は、全人代の常務委員(166名)を招集して行う。

この166名は「常務委員から成るチーム」が次期常務委員候補者(任期は5年)を指名して、全体会議で投票を行って決定することになっている。つまり、人民代表大会の名目内ですべてが完結する仕組みだ。だが、3月に行われる全体会議では毎年、政府トップが施政演説を行うために、昔から注目が集まっている。

ただ、そこで行われる発表は政府の姿勢を表すものとしてニュースを飾るが、実際には商業や経済が大きく世界とリンクするようになり、以前政府が経済の采配のすべてを握っていた計画経済の時代に比べて象徴的な指針を示す以上の意味は持てなくなっている。

それでも、3000人以上の全国の「代表」が集まってくると、北京は厳戒態勢に入り、道路はそんな「代表」たちが縦横無尽に動き回るため、交通規制が行われ、北京の街に「またかー」といったムードになる。愚痴を言っても始まらない。そういう季節なのである。

毎年、それが終わって人々がほっと一息ついた頃に「315」、3月15日がやってくる。国際消費者機構(International Organization of Consumers Unions、IOCU)が1983年に定めた「世界消費者の権利の日」である。日本ではメディアですらそれを取り上げることはほぼないが、中国では毎年、「消費者の権利を守るため」と称して、全国放送のテレビ局、中央電視台が放送するショー番組で同テレビ局が「調べ上げた」消費者権利に反する商品やサービスがセンセーショナルに取り上げられ、批判される。

だが、情報がほんの一部のメディアに限られていた時代に比べて、テレビ局制作のこうした番組にどれほどの威力があるのか? またその信頼性は? といった話題がネットを賑わせるようになってから、その「315晩会」という番組自体が「消費者権利を歪ませている」と批判されるようになってきた。

そして、すでに日本のメディアでも報道されているとおり、今年は無印良品と中国国内でスーパーを展開しているイオンが取り扱う一部日本製商品が槍玉に上がった。それらが福島原発事故後に放射能の危険性があるとされ、中国で輸入禁止になっている地域で生産されているというのだ。

●東京都心に飲料品生産工場が?

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