【ぶんぶくちゃいな】「高齢化中国」、その解決策はどこに?

中国の最高議決機関と称される全国人民代表大会(全人代)が11日、閉幕した。今年は5年を1期とする、第13期の第3回(3回目)会議にあたるが、1985年以来ほぼ3月に約2週間の会議で行われてきたが、昨年は新型コロナ感染事情の影響を受けて5月に7日間、今年はいつもどおり3月に開かれたもののやはり会期は7日間で終了した。

以前はずるずると2週間もかけて、全国から選ばれた人民代表(とその家族)が北京に集まって展開されてきた政治ショーも、実は1週間で終えることができるのだ。毎年3月のほぼ3週間、北京の街は全人代とその諮問委員的な役割の政治協商会議の関係者が特権を振り回すためにあちこちの道路で大渋滞が起き、市民の日常生活は大きな影響を受けていた。北京市民からすると、「なんだ、やればできるんじゃん」みたいな気分だろう。

いや、本当は中国政府は何事も「やればできる」のだ。「民主」や「一国二制度」を口にしながら、香港市民に諮問もせず、香港国家安全維持法(以下、国家安全法)や選挙制度までひょいひょいと一足飛びに制定できるくらいなのだから。ただ、その「やる気」がなんのきっかけで飛び出し、どこに向けられるか、が問題なのだ。まるで受験生みたいだ。その「やる気」の行き着くところ、神のみぞ知る。

そんな全人代で今年最も注目された議案は、もちろん香港の選挙制度の改訂案だった。中国では逮捕されたのと同時に有罪と見なされるのと同じように、全人代に提案された時点でその議案は可決されたも同然。問題は誰がその人を逮捕すると決めるか、誰が議案をまとめて提出しようとするか、そしてそのタイミングであって、最高議決機関での決議はただの「手続き」的な意味しかない。そして、詳細な内容抜きに議決が行われて、あとは再び非公開の世界に手渡されて形が整えられていく。

今回の香港選挙制度については、今は多くのメディアが論じているのでそちらにお任せしつつ今後おいおい触れていくとして、わたしはこの期間中もう一つ気になった話に触れてみたい。

それは、「老人問題」である。

14億人の中国人民にとっては香港の政治制度など、自分とはほぼ関係ない話だが、今回正式に決まった、法定定年年齢を引き上げは人々の生活のみならず、産業構造を変えていく可能性があり、大きく注目されている。

●「民生、福祉」としての定年引き上げ?

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