がんチームについて
今回はがんチームについてお話していこうと思います。
がんチームとは、主治医、看護師、放射線科医、病理診断医、栄養士、薬剤師などからなるチームです。抗がん剤による治療を行う方、これから行う予定の方たちに対して、包括的にサポートします。
血液検査や画像診断などから疾患を疑い、組織を採取して検査に出して確定診断を行います。年齢、現在患っている他の疾患、体力、生活環境、ご家族などのサポートを得られるかなど、いろいろな視点から最適な治療を提案します。患者本人やご家族が納得いく治療を提供します。
薬剤師はこのチームにどう関わるのかですが、薬学生や新人薬剤師さんはイメージがつかないかもしれません。
単純に使用する薬剤の作用機序、副作用、用法用量を知っていればいいわけではありません。以下のようなことにも思考を巡らせる必要があります。
使用する制吐剤
ミキシングや投与する時の注意点(閉鎖式デバイスが必要か)
起こりうる副作用に対する予防薬・治療薬、自分でもできる対処法
どの程度の副作用が起きたら減薬・中止となるか
投与前、投与時、投与直後、投与から数日~数週間経過した後など、色々な段階に着目し、考えなければなりません。
こういう時に役立つのが、ガイドラインというものですね。「化学療法 サイト剤ガイドライン」など、検索するとすぐに出てきます。
制吐剤に限らず、「疾患名 ガイドライン」と検索すると、該当の疾患に対する治療や診断のガイドラインが出てくるので、新人の時はよく見ていました。基本的に、治療の選択などはガイドラインにのっとって行われます。「この治療法を選択したのは、ガイドラインに記載されているから」くらいの信用度がありますので、疾患そのものや治療についてわからないことがあるときは、一度見てみてください。
副作用の程度に関しては、同じくガイドラインのようなものがあります。
Common Terminology Criteria for Adverse Events、略してCTCAEというものがあります。
これは、副作用の程度を見極めるのに使用されます。例えば、抗がん剤治療の重要な副作用に、好中球減少がありますが、1500/mm3ならGrade1、1500-1000/mm3ならGrade2、1000-500/mm3ならGrade3、500/mm3未満ならGrade4のように分けられます。
このように数値ですぐに判断できるものはもちろん、下痢のように数値で判断しづらいものもGrade分けすることができます(ベースラインから4回/日未満の排便回数の増加ならGrade1など)。
こういったものを参考にしながら、この副作用がGrade3だから、1段階減薬すべきかなど考えます。1回目の治療の際に嘔気が強く出たのであれば、前投薬の制吐剤を、催吐リスクが1段階高い抗がん剤の制吐剤を使用するなどの対応をすることもあります。
すべては、患者さんの意思決定のサポートと、行うと決断した治療の効果を最大限得られるようにするのが、がんチームの役割です。
ここに関わると、自分の知識はまだまだだなと痛感させられます。色んな職種が色んな視点で患者をみているので、とても勉強になります。敷居が高く感じるかもしれませんが、このくらいのことをやっていた方が、仕事として楽しいですね。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。今回は、がんチームについてお話してきました。漠然と就職先は病院かなと考えている薬学生の意思決定の手助けになれば幸いです。
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