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「美白」じゃないのは、女を捨てていますか?

ある日、友達と温泉旅行に行ったときのお話。

朝ごはんをおなかいっぱい食べたあとは市内に出かけようと、ふたりで身支度をして、さあ出かけるぞ!と部屋を出ようとしたとき。

彼女は、大事なことを忘れてた!と、外に出かける前に日焼け止めを塗っていないことに気がついて、急いで全身に日焼け止めを塗り始めました。
わたしは「ある理由」があって、今年は日焼け止めを塗らないと決めていたため、日焼け止め塗りなよと差し出した彼女の手を丁重に拒みました。

そんなわたしに彼女は、「え、女捨ててるじゃん」と呟きました。


わたしが今年日焼け止めを塗らないワケ

わたしが今年日焼け止めを塗らないと決めた背景に、留学経験がとても大きく関係しています。

わたしは数ヶ月前まで、スウェーデンの片田舎に留学していました。

北欧に旅行に行ったことがある方、北欧が好きな方はご存知かもしれませんが、北欧はほんの短い夏を終えると、毎日ほとんど日が昇らないような、真っ暗な秋と冬を迎えます。

スウェーデンももちろん例外ではありません。
わたしが住んでいた街は秋を迎えた途端、1日に数時間しか日が登らないような真っ暗な毎日が始まりました。

夏といえば、花火、夏祭り、プール、海とパラソルの下で食べるかき氷。
日本特有の、じりじり照りつける太陽と、ジメジメした湿度。
わたしが夏に持っていたそんなイメージは180度覆され、金木犀の匂いで秋の訪れを感じることなく冬を迎えるという初めての体験をしました。

そんなふうに、太陽の光に急にさらされなくなったわたしの体には、こんな変化が起きました。

・日に焼けないため肌の色が青白く、不健康に見えるようになった。
・免疫力が下がって体調を崩しやすくなった。
・朝に陽が登らない(冬はだいたい10時くらいの)ため、朝起きられなくなった。

そんな毎日だからこそ、美しいデザインを慈しんだり、ホームパーティーを楽しんだり、幻想的な森に散歩をしに行ったりなど、北欧でしか味わうことができない日々を楽しんでいたのですが、

上記に挙げたような急激なギャップに適応することが、アジア生まれのわたしには心身ともにストレスになっていきました。

ビタミンや鉄分のサプリを飲んだり、少しの日照時間を散歩や運動に当てて有効活用することで、少しずつ適応していきましたが、

わたしにとっては「陽の光を浴びることの大切さ」をはじめて実感した貴重な体験でした。

そんな体験をしたのち、わたしはニューヨークに移りました。

当時のニューヨークは例年稀に見る暖冬で、気温は低いものの毎日カラッと晴れ、雪のない道を好きなだけ散歩できることがとても幸せでした。

それ以上にニューヨークでは、今でも思い出すだけで胸が熱くなるようなたくさんの感動的な出会いがありました。

午前中は語学学校に通って午後はインターンシップをこなす、そんな慌ただしい毎日を過ごす中で、
各国から集まったクラスメート、インターン先の上司や同僚、シェアルームをしていたルームメイト、現地で出会った日本人留学生など、様々なバックグラウンドを持った人々と出会いました。

そんな出会いを通してわたしが再認識したことは、「自分自身のアイデンティティ」でした。

日本人で、生まれも育ちも日本で母国語は日本語、英語と韓国語がちょっぴり話せる。肌は少し黄色味がかっていて、髪の毛も瞳の色も黒色。
〇〇は苦手だけど、××は誰にも負けない。

他者の存在から、自分自身を再認識して、等身大の飾らないわたしを肯定できるようになりました。

だから、今までのように数十年後の自分を心配して「美白」な肌を目指すことよりも、健康と自分のマインド維持のために、今年はイヤというほど陽の光を十分に浴びたいという選択をするに至りました。


決断したからこそ大切にしていること

冒頭のお話に戻りますが、「え、女捨ててるじゃん」と友達に言われたのち、わたしは自分が日焼け止めを塗らない理由を簡単に友達に話しました。

難しい言葉は一切使わず、端的に、
「北欧マジ暗かったから、今年は太陽とズッ友になりたいんだよね」と。

こんな決断をしたからこそわたしが大切にしていることは、肌を白くしたいから日焼け止めは欠かさないと決めたことも、健康的な肌を目指して日焼け止めは塗らないしむしろ日サロに通うと決めたことも、どんな選択も、否定しないということです。
だからわたしは、彼女の発言に抗議することはしませんでした。

どんな人にもその決断をした理由や背景があります。
だからこそ、その選択を否定しない、固定概念を持たない、自分の意見を押し付けないということが大切だと思っています。



おしまいに

自分自身の選択を分析してみるときっと、
最終的に「自分の美しさの定義ってなんだろう」という疑問に至ります。

わたしは留学を通して、
・健康のために陽に当たることの大切さ
・自分のアイデンティティとしての肌の色を愛すること
を実感した結果、自分の美しさの定義のために、今年の夏は日焼け止めを塗らないという決断をしました。

自分の美しさの定義、選択の背景は人それぞれです。
その選択に自分の意見を押し付けず、肯定することは、相手を大切にすること、ゆくゆくは自分を大切にすることにつながるのかもしれません。

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