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  • 今頃読んだ通信

    書いて字の通り、「今頃読んだのか」「まだ読んでなかったのか」という話です

最近の記事

村上春樹「ノルウェイの森」(1987)を読んで: 安易な理解への抵抗とその不徹底のこと

casualties──作者の訳するところの「犠牲者」についての物語であるとされるらしい「ノルウェイの森」には、序盤と終盤に示される命題がある。『死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。』(上48P)『その場所では死とは生をしめくくる決定的な要因ではなかった。そこでは死とは生を構成する多くの要因のうちのひとつでしかなかった。』(下226P)。 死は「ノルウェイの森」を構成する多くの要因のうちのひとつでもあるが、決定的かどうかはともかく、それを抜きにしては作品

    • とっちらかり月報(2022/01)

      幽霊の正体見たり巻頭言(と、泣き言) 昨年夏に島荘「占星術殺人事件」の感想を上げたっきり、noteをあまりにもほったらかしすぎたが、今になってちゃんと使ってやりたいと思うようになってきた。しかし、ぼくなどという怠け者にとって、不定期更新などは事実上“初出時点で無期限休載”にほかならない。かといって、現状のプライベートな状況下では日記という形も非現実的な目標と言うしかない。やるなら最低でも月報というところになるわけです。 となったとき、読書メーターやFilmarksのちまちま

      • 島田荘司「占星術殺人事件 改訂完全版」(1981,2006)

        ※物語とミステリ要素の核心部に触れるので、未読の方におかれては留意のこと。なお表題の作品以外のネタバレは努めて避けています ■個人的な話ぼくがミステリ(と、ひいては小説読み)にはまり込むきっかけになった作品を、約13年ぶりに再読した。横溝と島荘が自分にとってのミステリの花形だと思っていたが、両者とも実際ファンと呼べるほどに作品を読めてはいない。それで、今になって島荘を大量にかき集めて積読し、読もうとなったきっかけについて一度書きかけたが、度を越して長くなったので、やめて

      村上春樹「ノルウェイの森」(1987)を読んで: 安易な理解への抵抗とその不徹底のこと

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