見出し画像

セリーナ・ウィリアムズ、アレキサンダー・ハミルトン、最後のネイティブインディアンの長の伝記本の感想。

英語多読(11)

9日目。前回と前々回に続き、"Who is/was ....?"シリーズの伝記。伝記、本当、面白い。

Who Are Venus and Serena Williams?

画像1

YL2.8~3.8/語数不明。読書時間60分。

大坂なおみ選手が鬱のために記者会見を辞退からの仏オープンを棄権して話題になっているが、彼女の話題になるとSerena Williamsも一緒に名前があがる。なので、気になったので読んでみた。ビーナスは1歳年上の姉。二人は血のつながった姉妹。

父親が「娘たちをテニス選手にすれば金になる」という理由で子どもたちにテニスを教える(両親はふたりとも再婚で子連れのため、セリーナたちにはたくさんのハーフブロッドの兄弟姉妹がいる)が、テニスに一番興味を示したのがビーナスとセリーナ。父親と荒れたテニスコート、しかも治安が悪く発砲事件が周りで多発するような場所でテニスを始める。二人とも身体能力に優れており、テニス以外のスポーツも万能。サーブの威力と時速が半端ない。試合をすればほぼ全勝。プロに転向してからは姉妹で決勝戦で戦うこともあり、話題性も実力も伴う選手として有名になる。ゴルフのタイガーウッズのように白人が主なスター選手の大半を占めていた中で、黒人選手がのし上がっていく。ビーナスやセリーヌが黒人であることを誇りにテニス界の常識や規則に反するような行為をして警告や罰金を受けても「これが私、わたしはブラック」(セリフはうるおぼえ)と言って自我を通すの姿がカッコよく書かれている。こんなにかっこいセリフたちをこのWho is/was...?シリーズでこれまで読んだことがない。

二人に影響を受けて、黒人やヒスパニックの子どもたちもテニスをするようになったらしい。セリーナが怪我と病気で一度コートを離れて、復帰してランクを落としながらも最年長で成績を残すところでこの伝記は終わっているので、セリーナの結婚や大坂なおみとの復帰戦のことは書かれていない。それでも、思い返すは2018年全米オープン。伝記の中では「私はもう大人になった」と言っていたのだが…またやらかしている。審判に口答えしてポイントを失うということをまたあなたはやるんだよ、と伝記を読みながらちょっと思った。

話はずれるが、やっぱり思うのは、あのヤジというか、ブーイングはやっぱりどうなの?って思ってしまう。2018年のUSオープンの表彰式で会場からの一斉のブーイングに大阪なおみが涙しちゃってバイザーで隠すシーンは今でも覚えている。隣にいたセリーナがハグしてあげるのも記憶に残っているが、わたしは正直、「いや、あなたのせいでしょ」と伝記を読む前は思っていた。が、セリーナも過去に大坂なおみと同じような歳の時に観客からブーイングを受けていたことをこの本で知って驚く。しかも決勝戦で。カリフォルニア州のIndiana Wellsの試合で、姉のセリーナが怪我を理由に大会を棄権した。が、それはセリーナに勝たせるための仮病だとみなした観客たちがブーイングを棄権したビーナスではなくて、セリーナの決勝戦でする。「白人の大人たちが一斉にブーイングをした。すごい騒音で何を言われているのか、どうしてそんなことをされているのかわからなくて混乱した」とセリーナが語っている。泣きながらもなんとはセリーナは勝利する。ただし、ブーイングをした会場のIndiana Wellsの試合にはその後、14年間出場しなかった。あまりテニスのことを知らないけど、観客のブーイング…やばい。


Who was Alexander Hamilton?

画像2

YL2.8-3.8/語数不明。読書時間60分。

ミュージカル『ハミルトン』をDisney +で観る前にこの本を読んでおけば…と思った。ミュージカルはラップ調でハミルトンの人生が語られるのだけど、何を言っているのかさっぱりなところが多々あって、ハミルトンの人生の予備知識がないので、細かいところがよくわからなかった。「カリブからの移民が政治のトップまで上り詰めた人物だからすごいのか」なんて思っていた。そうではなかった。

ハミルトンは本の表紙の通り、アメリカの10ドルのお札の人。Secretary of the Treasury(財務長官)に一番最初になった建国に携わった偉大な歴史家。日本の歴史でいうと坂本龍馬と西郷隆盛を足して二で割ったような感じかと…。(私の勝手な解釈なので間違っていたらごめんなさい。)

「この時代、みんな移民じゃん」と本を読んで気づく。当たり前ではあるのだけど、Disney+で『ハミルトン』を観たときはそんなことは思わなかった。「この時代に移民が活躍できるなんてすごいな~」と思っていた。いやいや、笑。当時のアメリカ(といっても東の13州だけ)はみんながどこからかやってきた移民。「移民」というステータス自体が異質なものではなく、当たり前。移民だからどうこうではなく、ハミルトンの生い立ちがすごい特殊。父親に捨てられ幼いときに母親とも死別。里親に育てられるも大学の費用を工面はできない。カリブを巨大なハリケーンが襲い縞をめちゃくちゃにし、その様子を別の島に住む父親宛ての手紙に書き、それがあまりも良い文章だからと地元紙に掲載される。彼の文才に島の人々は驚き、感銘を受け「こんなに賢いならちゃんと教育をうけるべきだ」とニューヨークの大学への学費を寄付で集める。島の人々も温かいけど、筆一つでのし上がるしチャンスをつかむのはすごい。

この時代の文化的背景もこの本からは学べる。一番びっくりしたのはduel(決闘)。duelが銃の一騎打ちというのは知っていた。が、duelをするのは西部のカーボーイ特有のものかと思っていた。が、ちがった。東側でもやっていた。NY州ではすでに違法になっていたらしいが、お隣の州では合法。duelはお互いの意見のすり合わせが口論や書物の交換でできなかった場合、duelで勝敗を決めるというもの。銃に込められる銃弾はお互いに一弾。宮本武蔵の決闘みたいに、日時と場所を決めて、立ち合い人が見守る中始まる。duelの申し込みを断ると卑怯者のレッテルを貼られる。大抵の漢がduelを受ける。ハミルトンもハミルトンの息子もこのduelを申し込まれている。結果はネタバレになるので書かないけど…。卑怯者でもいいじゃない、命が大事だよ、と思ったが日本も自身の名誉を守るために切腹する侍もいることを思い出して何とも言えない気持ちになる。もう一度読みたいと思う伝記だった。ミュージカルももう一度観よう。



Who was Sitting Bull?

画像3

YL 2.8~3.8(?)/語数不明。読書時間75分。

YLに?をつけたのは、YL4あるのではないか?と個人的に思ったから。正直、どの"How is/was...?" シリーズよりも難しかった。読書中に意味がわからなかった単語が10以上あった。自然に関係する語彙が私には少ないってことがよく分かった。彼らが武器にする道具の説明のページなんて、1ページに2つくらいわからない単語があった。

ネイティブアメリカンが、黄金ラッシュ時代にどんどんreservation(居住区)へ追いやられる。その最後の部族の長の伝記。血なまぐさくなるのだろうかと思ったけど、さすが子供向け。そんなことはなかった。子供たちがこの本を読んだらなんて思うのだろう。学校ではどのようにして子供たちにネイティブインディアンのことを教えるのか気になる。「先祖がやってきて、最初に住んでいたネイティブアメリカンたちを騙して、よそにやって土地を奪ったんだよ」なんて言えない…。でもこうして伝記としてちゃんと本にするのは偉い。


英語多読9日目を終えての感想。

最後の本、”Who was Sitting Bull”でわからなかった単語が10個を超えてしまい、ちょっとショック。他の本は5個以下だったので、そろそろYLレベルを平均4くらいにして次の本を探してみようかな~とかおもっていたが、今までがラッキーだっただけ。自然系の単語がわからない…。自然に関した図鑑系のYL2.5くらいの絵本寄りの児童書を探してみようと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?